ベスビオ山に行くのは初めて。ポータルは使えない。 「アッシュは力を温存なさい。あたしが全力で送り届ける」 全速で魔法の箒を飛ばすマリカ。しっかり掴まるアッシュ。 「たぶん、マリカさんの力も必要です」 「シバルタ1回分くらいは残しとくわ」 空を駆ける二人。間に合うか?
黄玉の剣を手にした人影が、マントをなびかせ荒野を行く。 その剣は、地脈の力を束ねた結晶。 トパーズの石言葉は友情、希望、誠実、潔白。 この状況では、どれもが皮肉。意志に反して、この身は破滅の運び手に。 「友よ…私は」 骨の手に、視線を落とす。ベスビオ火山が近くなってきた。
「敵の本命が来ます! 場所はベスビオ火山」 「まさか、火山を噴火させるとか?」 うなずくアッシュ。マリカの直感は、冴えていた。 「なんで、分かりました?」 「あたしは、あんたの妻になる女よ」 ムウの遺産には、人智を超えたものがあると。 マリカも、アッシュからよく聞いていた。