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今週の読書録

今週は積読も合わせて4冊を読了。
直木賞や本屋大賞の受賞作、候補作などを一気読みしました。
読書のおともはカルディで購入してきたスパイスたっぷりのシナモンロールと紅茶。
曇天の週末のささやかな楽しみです。

六人の嘘つきな大学生

2022年本屋大賞ノミネート&ブランチBOOK大賞2021受賞の話題の一冊。
浅倉秋成さんの『六人の嘘つきな大学生』は、以前から気になっていたもののついに手に取りました。
最近では、漫画化もされたようで、ますます注目を集めている作品で。

序盤は、よくある就職活動風景。
しかし、途中から漂い始める不穏な空気。
開けてしまった封筒に書かれていたのは…

数年前の就職活動の事件を解明するために動き出す人物。
ミステイクを誘う描写も謎の解明後には、納得。
300ページ近くあるものの、一気読みできる作品でした。

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

Amazon紹介より

塞王の楯

今村翔吾さんの直木賞受賞作。
ユニークな歴史物では先日読んだ『黒牢城』も興味深かったものの、こちらは正統派時代小説。
ただし、武器を手に人間相手に戦うことが主ではない戦国時代を舞台にした作品。

主人公は養育先の稼業で役立つ天賦の才を有した人物。
初出後、急に十数年の時を経た場面から本編が始まります。
有名どころの武将も登場する中、浅井三姉妹次女の夫である京極高次の人柄など、人と戦うだけでは見えない側面が興味深く感じました。

フィクションとは理解しているものの、人物描写や心の動きはリアルで引きこまれます。
500P超えという重厚さながら、飽きのこない流れ。
各所でネタバレもあるので、詳細は省きますが、これは次回作にも手が伸びます。

どんな攻めをも、はね返す石垣。
どんな守りをも、打ち破る鉄砲。
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!

越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。
幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。
匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。

秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。
一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。

大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。

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絞め殺しの樹

河崎秋子さんの『絞め殺しの樹』は最近の直木賞候補作の中で特に印象に残った一冊です。

いわゆる口減らしが当たり前だった時代、不休の労働とはいえ、縁のある家に居場所のあった主人公はまだマシだったのか?
現代の感覚では信じられない価値観ですが、苦難の中でも強く進む主人公の姿に疑問が浮かびます。

存在感際立つ脇役の坊守さんの言葉や行動は、苦難の中にあって主人公たちにどのように響いたのか?
帯に書かれていたあらすじ冒頭の一文は、読み手の心境によって受け取り方が大いに異なりそう。

渡る世間はクズばかり?
著者は何か嫌なことがあったのか?と思うほどわあらゆるダメ男が登場する作品。

あらすじから想像する重苦しい雰囲気を始終漂わせながらも、どこか救いのある結末で読了感は悪くない作品でした。

あなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ

北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、ボロ雑巾のようにこき使われた。しかし、吉岡家出入りの薬売りに見込まれて、札幌の薬問屋で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、そして長女の幼すぎる死。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの人生の道のりを辿ろうとする。数々の文学賞に輝いた俊英が圧倒的筆力で贈る、北の女の一代記。

「なんで、死んだんですか。母は。癌とはこの間、聞きましたが、どこの癌だったんですか」
今まで疑問にも思わなかったことが、端的に口をついた。聞いてもどうしようもないことなのに、知りたいという欲が泡のように浮かんでしまった。
「乳癌だったの。発見が遅くて、切除しても間に合わなくてね。ミサエさん、ぎりぎりまで保健婦として仕事して、ぎりぎりまで、普段通りの生活を送りながらあれこれ片付けて、病院に入ってからはすぐ。あの人らしかった」(本文より)

【編集担当からのおすすめ情報】
絡み付いてね。栄養を奪いながら、芯にある木を締め付けていく。最後には締め付けて締め付けて、元の木を殺してしまう。その頃には、芯となる木がなくても蔓が自立するほどに太くなっているから、芯が枯れて朽ち果てて、中心に空洞ができるの。それが菩提樹。別名をシメゴロシノキ。

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旅行者の朝食

米原万里さんの『旅行者の朝食』は、先日の紅茶セミナーで話題になったので手に取ってみました。
20年ほど前に刊行されたため、近隣の書店では見つからず、図書館で探しました。

紅茶の日記念セミナーで登場したハルヴァにまつわるお話をようやく読むことができました。
当日のセミナー移行ずっと気になっていた一冊です。

ハルヴァ

なるほど、作中このように扱われるとそれは気になるはず!と納得。

ロシアのヘンテコな缶詰からトルコ蜜飴まで、美味珍味満載!
著者初のグルメ・エッセイ集
「ツバキ姫」との異名をとる著者(水分なしでもパサパサのサンドイッチをあっという間に食べられるという特技のために)が、古今東西、おもにロシアのヘンテコな食べ物について薀蓄を傾けるグルメ・エッセイ集。「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」をモットーに美味珍味を探索する。
チョウザメのお腹にジッパーをつけ(むろん日本製)、何回もキャビアを取り出すという話、コースとして一品ずつ提供するフランス料理のサービスのシステムは、フランスではなく意外な国から始まったetc…オモシロ薀蓄ネタ、小咄ネタが満載!

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春賀
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