摂食障害の長い長いトンネルを抜けて～「痩せたい」と「食べたい」のその先へ～133

『自分にとって大切だったり必要だったりすること』……私も、そんなことをずっとずっと考え続けている気がする。

「新山さん、自分にとって大切なこととか必要なことって、案外みんなわかっているようでわからないんじゃないのかな、って思うんです」

グラスのワインを一口飲んでから、新山さんが静かに口を開いた。

「そうね、紗希さんの言う通りかもしれない。でもね、だったら尚更意識して考えていたい。自分の人生ですもの、自分にとって大切なことや必要なことを探して、大事にして生きていきたい。私はそう思うの」

「お待たせいたしました。○○の○○でございます……」

次の料理が運ばれてきたが、頭の中がごちゃごちゃしていて名前が聞き取れなかった。

『自分の人生ですもの、自分にとって大切なことや必要なことを探して、大事にして生きていきたい』

新山さんの言葉が、頭の中でずっと引っ掛かっていた。

「……そうですよね、自分の人生なんだから……」

そう言いかけて、言葉に詰まってしまった。

今日もありがとうございます。