シェア
風何(ふうか)
2022年12月27日 18:18
わたしの言葉はきっと、生まれたときからずっと、わたしのものじゃなかったよ。あなたがわたしの言葉を、心から想いながら捻じ曲げる。あなたのなかで、わたしの「死ね」は「好き」になっていて、「死にたい」は「生きたい」になっていた。あなたのなかで、わたしの憎悪は愛情になっていて、希死念慮は生きる希望になっていた。物語みたいだね。あなたにはきっとわたしのことなんて一生分からないよ。それでも、あなたが言った
2022年12月20日 17:04
じっと遠くを見ている、なんにもないのにね。きみの目には、その瞬間、なんにも映らない。ぼくはそこに映らないし、目の前の日常すべて、なかったことにされたみたいに映らない、それは憧れ、信じること、恋や愛、きっと、そういう類のものなのかもしれなくて、それで、ぼくには分かっている、なんにも見たくないから、遠くを見るのだということ。そこにあるのが、曇り空だろうが晴れた空だろうが関係なく、その空に、星があろうが
2022年12月13日 18:05
愛されたいな、星みたいに、そう思っている横で、誰かが苦しそうに吐いていること、そして、吐いても吐いても止まらなくなって、それが少しずつ街の一部になってゆくこと。わたしは目が離せなくて、じっと見ていた。ねえ、きみはもう、愛を受け止められなくなったのかもしれないね。気持ち悪くて気持ち悪くて、仕方がなくなっちゃったのかもしれないね。もう二度と愛が体の一部に生まれ変わらないこと、それはたぶん、誰か
2022年12月8日 11:18
好きだったけれど、好きだっただけだから、ずっと望遠鏡を覗いてるだけの存在だったんだ、わたしは。星になれないひとたち、遠くばかり見ているしかできないひとたち、憧憬ですね、弱々しくて、形なんてなくて、でもだからこそ憧憬だけはこの地球上でずっとずっと綺麗なのかもしれない、けれども今では、ずっと持っていたはずの望遠鏡さえも捨ててしまって、ああ、これがきっと死ぬってことなんだろう。ただ、それでもわたしは、
2022年12月6日 21:27
枯れてしまったねって、ぼくは、惜しむようにその花瓶を見つめていて、すると誰かが横から、昔は咲いていたっていうその思い出も、ほんとうは、ぜんぶがぜんぶきみの勘違いに過ぎないのかもしれないよ、とそんな風に言ったような気がした。教室だね、きっと教室がそう言ったんだでも、べつに勘違いでもよかったよ、陽が差し込んで、その花瓶が透明に、けれども確かに煌めいていること、それだけで、淡く今にも崩れてし
2022年12月1日 18:14
どれだけ正しく嫌いと言えるか、そのことにすべてが賭かっていた、夏。教室は夏みたいで、夏は青春みたいだ、なんてきっと、ぜんぶぜんぶ忘れてるだけだよ。あのとき、あの子もあの子も、すぐ近くにいるのにまるで地平線の先にいるみたいだった。すぐ近くにいて、声もすぐ近くで聞こえているはずなのに、それは熱で膨張して浮かび上がったみたいで、その熱でわたしものぼせてしまったみたいに、ずっとひとごとだった。本当に同じ教