【詩】石塊
好きだったけれど、好きだっただけだから、ずっと望遠鏡を覗いてるだけの存在だったんだ、わたしは。星になれないひとたち、遠くばかり見ているしかできないひとたち、憧憬ですね、弱々しくて、形なんてなくて、でもだからこそ憧憬だけはこの地球上でずっとずっと綺麗なのかもしれない、けれども今では、ずっと持っていたはずの望遠鏡さえも捨ててしまって、ああ、これがきっと死ぬってことなんだろう。
ただ、それでもわたしは、「あなたは変わってしまったんだ、堕ちてしまったんだ」って、ひとり勝手に失望して、ただその思い出だけに縋っていたい、そうやってあなたの人生を、ただ自分の心を埋めるように消費していたい、身勝手に祈り続けながら、あなたという幻想だけを想っていたい。
本当はあなたもきっと、星なんかじゃなかったんだね、どこかで知らないうちに滅びる、光るだけの石塊。