【詩】恋は星空
わたしの言葉はきっと、生まれたときからずっと、わたしのものじゃなかったよ。
あなたがわたしの言葉を、心から想いながら捻じ曲げる。あなたのなかで、わたしの「死ね」は「好き」になっていて、「死にたい」は「生きたい」になっていた。あなたのなかで、わたしの憎悪は愛情になっていて、希死念慮は生きる希望になっていた。物語みたいだね。あなたにはきっとわたしのことなんて一生分からないよ。
それでも、あなたが言った好きという言葉だけが、ずっとずっと本当であってほしいと思っていた。心からのものであってほしいと思っていた。好きになっちゃったのかもしれない。たぶん、すべての曲解も無理解も、愛で、恋でした。
「ぼくたちふたりを取り巻く空間がね、きみの言葉で、一気に温度を持つようになるんだ。季節がいきなりやって来るみたいに、鮮やかな色彩を放ち始めるんだよ。」
あなたは、わたしが発するどんな言葉に対しても、愛おしそうな顔をしていて、けれど実際、何も分かってなんかいないまま、ずっとわたしを好きでいたいと思っている。わたしも思っていた。ずっと昔から、あなたの言葉も、わたしの言葉も、きっと誰のものでもないから、何も分からないままでよかった。何も知りたくなんてなかった。すべての言葉が空中分解して、茫然とただ綺麗な星空を眺めているだけのことが、きっと恋ってことだよ。