風何(ふうか)
小説のまとめです。遠くのなにかを見つめているみたいな小説を書きます。
詩のまとめです。感情が滲み出てくるような詩を書きます。
長めの詩です。
短い物語をまとめています。
小説と詩以外のまとめです
ぼくの言葉が、ただぼくのためだけにあってほしい、 ぜんぶがぜんぶひとりよがりでも、 好きと言うことで煌めいて、 嫌いと言うことで輝いて、 ただ意味もなく、確かにそこで燃え続ける星みたいな。 けれど、そんな風に言うあなたは知らない、 その星明りが毎夜、気付かないうちに誰かを照らしていて、 切り取られた星空のなか、 今日も誰かに線で繋がれていること
めをひらいて当たり前みたいにぼくはぼくの部屋にいるはずなのに、まるで眠ってめを瞑っているときのリバーシブルみたいな白で、からっぽ。いやからっぽというよりは真っしろ、飾りのないことをからっぽと云うならそのたとえもあながち間違ってないのかもしれないけれど、もしそうでないのだとしたら、真っしろ、真っさら、誰の筆跡も感じられないほこりかぶったキャンンバス、みたいな、味気ないくすんだ白、虫の死んだ匂い、リノリウム、とそこまで想起して、ぼくはここが病院だと思い出す。 そうして、ぼくは
まるでわたしの手指が独立した生物のように、っていうのはあながち大袈裟な比喩じゃないかもしれないですね。(ともだちがいないから、誰に話しかけるでもなく。ひとり言以上、誰にも吸われない空気みたいな)事実、その仕草は、わたしの脳髄をほとんど経由することなく表出してた。わたしの行動は、ドーパミン。自分のことに自分で責任を取れるひとになりたいって思いながら、放出していた。百点、百点、また百点って繰り返し殴り書きされる赤い字、でも、問題がなんだか可哀そうだと思いました。意識が遠のいて途
左脳が揺れるように痛んで、 何かを拒否するように頭を振れば振るほど痛くなって、 けれども僕は、そのときになって初めて、僕が今まで、痛みでしか嘆いたことがないのに気が付いた。 海底から急浮上するように。 海底から急浮上して、顔を出して、広がる水平線を目にするかのように、そこから始まればよかった、そこから広がればよかった、人生みたいななにか。と夢想しながら、僕は変わらず、嬉しくも悲しくもなく、誰にも宛てる気のない手紙を書いている。
彼は作家を志していた。どこまでも、自分の人生を目一杯希釈したような、そんな薄いことしか書けなかったけれど。 万年筆のペン先でも、きみの首を掻き切れる。 そう、彼は昔、彼以外の全員がこの世界からいなくなればいいと本気で思っていたのだ。そうして自分の作品で、他人を傷つけることばかり考えていた。 けれども、彼は真面目だった。作家として大成するために、寝る間も惜しんで勉強をし、「教養」を身に付けていった。でもいつしか、他人を傷つけたいとは思わなくなった。 もちろん彼は作家にな
「どこまでも画一的でない様々な商品が、この世界にあらゆる形で存在していることで、一つの利器に頼らない、それぞれの用途に合わせた使用法や、役立つ局面があるのだ。」 と、僕たちを立案、設計した神はきっと言っている。 それはいいけどさ、 だったら、個性とかではなく、「誰かに認められたい」って、そう思わなければいけない設定がみんなにあるのは、何だかおかしいね。 だって、 それだと友達がいない人ばかりが、苦しいじゃないか。 ウィーン、ウィーン。 不調をきたすまでもなく、不調をきたしてい
呻き声をあげる。 人生のなにもかもが、まるで足を折られた兵士の眼前に粛々と突き付けられた階のようだ。 僕は、泣いてばかりいる。 堅牢として佇むそれが、実は数多の砂で出来ていて、いつしか、僕の涙で溶かすことが出来るという幽かな可能性に懸けて。
革命家は革命を起こしたかった。けれども、革命の起こし方を知らなかった。 だからとある本を読んで革命家は、「恋」をしようと思った。けれどもいつしか、心から「恋」をするようになった。さながら、鳴かぬ蛍のように。さながら身を焦がすように。
余生。 「まるでそうじゃない部分があったみたいな言い方をする。」 余生。 「まるでそうじゃない部分があったみたいな言い方をする。」 僕はひとりでそう呟いて、ただ目的もなく冬の公園を歩き続けていた。さながら犬のように。 逆説的に、それはきっと、満たされている人が創った言葉だ。僕はただ、日記を書こうとして、何度も挫折しているような僕のことを、無条件に面白いと言ってくれる、そんな誰かが、いつしか現れてくれるのをずっと待ち続けていたのだ。 ねえ!(まるで大人の間違いを指摘する子どもみ
「喩えば、僕と君の心臓が切れない脈で繋がっていて、お互いなにも言わずとも、まるで共鳴するように、分かり合えたらいいのに。」 彼は、心から純粋な顔をして呟いている。 分かり合えたら? 分かり合えたら? 分かり合えたら????? 違う。彼はきっと、ただその相手が、彼そのものになればいいと思っていた。 彼は彼自身にしか恋出来ない。 彼の恋だと思っているものは、永遠に単なる近似値だった。
誰からも愛されていないことには、疾うの昔から気が付いていた。 夜7時、ひとりで残業をしながら、仕事場の誰かが少しだけ遠くで話していることに耳を傾ける。丁度、僕のことを褒めているみたいだ。少なくともそう聞こえる。もちろん、確証は持てない、持てないけれども、褒められているかもしれないと思いながら、僕は、ずっとそれを養分として生き長らえてきた、この二十五年間。 与えられた仕事をこなし、束の間の充足を得て、ねえ、僕は(と、そう告白する友達もいないけれど。)幼い頃から、絵を描く才能がな
遠くの席だったのによく目が合って、あの子は、僕に、他でもない僕に、笑いかけてくれた。綺麗な綺麗な笑顔で、ただそれだけで、その教室には、その世界には、僕とあの子のふたりしかいないような気がしていた。 灯りを消した子ども部屋。暗順応してきてうっすら見えてくる丸い蛍光灯。まっさらな天井。まるでパレットみたいだ。自由に、あの子との光景を描き出す。そして、あたかも羊を数えるように、ぐるぐる、あの子に伝える言葉を考えていた、あの頃。 秒針が何秒分か進んで、僕はじきに二十五になる。けれども
その花火は、水のなかを足掻くように弾けている。 それも長らくその光は、なにかを主張するように迸っていて、なかなか消えてはいかない。そんなこともあるのだと僕は思った。 それは、炎タイプは水タイプに弱いという常識を軽く覆していた。拝啓、そのときだけ友達だった岩下くん。足首に、優しく撫でるような冷えた海水を感じながら、僕は、もう少しだけ生きてみようと思った。自分の周囲で、まだこんな珍しいことが起こっているのなら、それは僕に、まだ生きていろということだろう。そうして、僕を駆り立ててい
「僕には誇れるものなんてなにひとつないけれど、それでも君のことが好きだから、僕はこの命に懸けて、君を一生守っていこうと思うよ。」 そんな純粋にも見える言葉が、ただなにもないことの言い訳だと悟られずに、君から、ずっと愛されていたかったのに、そうなるには僕ら(僕らと思っているだけの僕)、ぜんぜん才能が足りないみたいだった。口下手はただの怠惰だし、誰も僕のことを分かってくれないのも、みんなと友達になる努力を怠ったから。「純粋に恋がしたかっただけなのに」という単純な言葉だって、僕には
※ 出ていってやるという母の言葉を僕は今まで何度聞いてきただろうか。だいたい夜中十時ごろ、母の金切り声が聞こえてくる。ただ黙りこくってしかめ面をしつつも、ずっと日経新聞から目を離さずにいる父に向かって、母はいつも吐き捨てるように、その少ない語彙で罵声を浴びせていた。いつだって母はその瞬間、本気で父を陥れようとしていた。全力で父を傷つけようとしていた。そうして、なかば無理やり幼い僕の腕をつかみ、嵐のように、狭い家の廊下を走り去る。自身の存在
綺麗かどうかを棚に上げて、 雲によってしか、そこに模様を描くことができないのなら、空もまた虚ろだ 僕と同じようにからっぽ、と言って 死骸の瞳がそうするように、青空を眺めて 空に空という名前をつけた人となら、友達にだってなれるかもしれないと思いながら 本当は、その世界で自分だけ、自分で自分を満たせるくらい、清潔になりたかった。