花豆RX

主に禍話用に作りました。 気が向けば何か。 各リライトに禍話本家のリンク及び禍話まとめwiki様のURLを貼ってますのでそちらも是非どうぞ。

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最近の記事

【禍話リライト】つながりの部屋

 昭和の時代の話らしい。  とある会社で、新入社員の教育のために過激な研修を行なわれていた。当時からして、連帯を強めるだとか、愛社精神を育むだとかの名目の、体罰とも紛うような理不尽な社員研修は珍しくなかったのだろうが、そこは若干カルトじみたものになっていた。  とりわけ成績の悪い、あるいは従順でない社員に対しては、「周囲との関わりを断つ」といって、監禁まがいのことをしていたとのことだった。  食事は入るものの、それ以外は真っ暗な部屋に閉じ込められるというもので、残念なことに「

    • 【禍話リライト】乳歯の山

       就職が早々に決まった先輩と、酒を飲んでいた時のことだ。  夏ということで、心霊スポットにでも行こうという話になった。とはいえ、近頃目をつけて行ったスポットはやたら電灯が整備され明るいとか、道が潰れてそもそもいけないだとか、どうにも外ればかりだった。 「何かないの、確実なとこ。せっかくの思い出作りだし」  先輩がそんなことを言っていると、一人の女子、仮にAが、怖いスポットではないかもですけど、と話し出した。 「怖いっていうよりも、不思議な習慣があって」  それは、彼女が今と

      • 【禍話リライト】死人の来る家

         ヤバい場所というのは、例え死んでしまうとかそういったことがなくても、何かに魅入られてしまう。  それが霊感のある者とは限らないし、かといって全く心霊を信じずバカにするような者とも限らない。  全ては、向こう側のさじ加減なのだ。  Aさんが大学四年生の頃の話だ。  Aさんは、夏頃に早々に地元で就職が決まっていた。所属のゼミには卒論はなく、単位もきちんと取っていたため焦って授業に出ることもない。あとは残りの青春をサークルなり何なりで過ごすような、そんな時期だった。  夏という

        • 【禍話リライト】忌魅恐NEO「黒い額縁の部屋の話」

           すみません、証拠はないんですけど。  Aさんはそう言って、語り始めた。  写真はもらったのだと言うが、一連の出来事の際にビビって消してしまったらしい。  大学二年生の時の話だ。  当時Aさんは体育会系のサークルに所属していたのだが、サークルには普段あまりやる気のない、飲み会でしか来ないような先輩が三人居たのだという。  しかしある時から、その三人がぱったり飲み会にも来なくなってしまった。 「これ、誰かガチで説教したんじゃない?」 「ここは飲みサーじゃねぇ!的な?」

          【禍話リライト】忌魅恐NEO「猫を殺した犯人を捜している話」

           大学生卒業から社会人一、二年の時分までずっと関わることになった、よく分からない、けどヤバい話があるという。  仮にAさんとする。  Aさんは春先の早々に就職が決まり、あとは卒論と思い出作りを残すばかりだった。  社会に出て自由がなくなる前に、やりたいことや後輩との交流をできるだけ、と思いながら、飲み会で奢ったりとしていたらしい。  その日も、駅前の飲み屋で後輩らと飲み会をした帰りのことだった。  大学近くの自宅に帰る道すがら、何やらビラを配っている人物がいる。  冷静にな

          【禍話リライト】忌魅恐NEO「猫を殺した犯人を捜している話」

          【禍話リライト】隔離小屋

          「普段は車無いし、他の奴におんぶに抱っこで連れてってもらってるんだけどさ、そこだけは誰も行ってくれなくてさぁ」  皆気持ち悪がっちゃって。だから連れてってくんない?  Aさんは友人の廃墟写真マニアに、そんな風に話を持ちかけられた。  初めこそそりゃ断るだろ、と拒否したものの、「昼なら!昼ならどう?」「ガソリン代も出すからさぁ」と、ガソリン代にしても些か多い額を提示され、Aさんはうっかり話に乗ってしまったのだという。  着いた場所は、鬱蒼たる森の中だった。  「大丈夫お前

          【禍話リライト】隔離小屋

          【禍話リライト】赦された夢

           Aさんには、小学校五、六年の頃からずっと見ている夢があったのだという。  行ったことのない、古ぼけた石段を登る夢だ。  登っていくうちに、それが神社の境内に向かう階段であることに気がつく。頂上に近づくにつれ、朱塗りの鳥居が見えてくるのだ。  その神社というのは、大したことのない小山、いわばドラえもんに出てくる裏山のような、そんな場所にあるイメージだった。  そして、石段を登り終えてそこから境内、という丁度その場所に、背を向けた誰かが立っている。  背格好からして、自分

          【禍話リライト】赦された夢

          【禍話リライト】……の家

             そこは両親に何かあったとかで、孫をおばあさんが引き取って育てているような、そんな家だった。  小学校にもしっかり通わせ、二人の仲も悪くない。親がいないとはいえ、傍目に見ても問題のない家だった。  一つだけあるとすれば、二時間サスペンスか何かをずっと家で流しているのである。孫の年齢からすれば、特撮やらアニメやらが見たかったのかもしれないが、おばあさんの趣味なのか、サスペンスものや刑事ドラマばかりがテレビで流れている。孫も仕方なく、一緒になってそれらを見ているようだった。

          【禍話リライト】……の家

          【お知らせ】禍話リライトの利用について

           こんにちは、花豆RXです。  現在細々と禍話リライトをアップさせていただいておりますが、拙作リライトの二次使用(三次使用?)について、簡単にガイドラインという形で私の立場を明らかにしておこうと思います。 ⚠︎「禍話」公式について  大前提として、禍話公式では放送中に語られた話については、一部かぁなっきさんがリライト禁止とするものを除き、いかなる二次使用も可の青空怪談とすると仰っています。  但し、営利利用については一言下さい、とのことなので、利益が発生しうる場合はかぁなっ

          【お知らせ】禍話リライトの利用について

          【禍話リライト】お嬢様の窓

           関東某所にある、病院というか、療養所のような廃墟の話だ。  そもそもこの廃墟、成り立ちからして不自然なものであった。  地域の外から来た人々が、山の麓に建てた四、五階の建物であり、そこにナース服や白衣を着た人が出入りしている。療養所といった風体ではあるものの、地元民はそこを利用することはなく、病院のように看板が出ることもなかった。  そんな場所であるから地元民は、ここはきっとどこかの金持ちか、何か重病な人を特別に収容するために建てた施設なのだろうと噂をしていた。塀は高く有

          【禍話リライト】お嬢様の窓

          【禍話リライト】男一、女二

           廃墟に行って、ゾッとするような体験をするのが好きなKさんという女性がいる。  そのKさんが、とある田舎の廃墟に行った時の話だ。  そこは、おそらくはキャンプ場だと思われる施設だった。Kさんは日中のうちにさしあたり周辺を全て見て回ったのだが、これは夜泊まってもそんなに面白くない、全部見たら帰ろう、とその施設に見切りをつけていた。  その中に、宿舎のようなスペースをKさんは発見した。恐らく、その施設の職員が泊まっていたのだろう。中には既にマットの無くなったベッドの残骸などがあ

          【禍話リライト】男一、女二

          【禍話リライト】真っ暗な洞窟の夢

           とある地区の子供だけが同じ夢を見ると、騒ぎになったことがある。  小学校の時分、いつの事かも混然としてはっきりしない頃のことだ。  しかし、絶対に何かしらの記憶が混ざっているのは間違いない。 「だって、そうでもないとこんな事起きちゃいけないでしょ」  そんな、訳の分からない、気持ちの悪い話だ。  Aさんは、もうじき学校で山登りの遠足があるという頃、夢を見た。  自分が、真っ暗闇の中を進んでいる夢だ。  自分の手も見えないほどの完全な真っ暗闇。そんな暗い場所を体験した事

          【禍話リライト】真っ暗な洞窟の夢

          【禍話リライト】まことくん

           片桐さんには、大学時代に嫌な思い出がある。  彼女は大学入学後、とあるサークルに入ったのだという。  所謂「飲みサー」で、一応対外的に何か発表するような活動はするものの、実態としてはふわっと勉強した後皆でお酒を飲んだり遊んだりといった程度のものだ。  適当に選んで入った所ではあったが、雰囲気も良く、そこで片桐さんは大学生一般が経験するような遊びを覚えた。  七月に入ると、そのサークルは毎年夏合宿を行なっていた。  お酒を飲んで花火をして、川遊びをするようなものらしい。

          【禍話リライト】まことくん

          【禍話リライト】桐の箱

           A君が久しぶりに田舎に帰った時の話だ。  法事でもなく、急に思い立って帰省した割には、幼い頃に遊んだ懐かしい面々が集まり、酒盛りとなっていた。  童心に帰り、懐かしい思い出を語るうちに、ふとこんな話題になった。 「そういや昔、肝試し行こうとしたことあったよな」 「そうそう、あの神社な」  ところが、その神社に行こうとすると何をやっても怒らない祖母が、烈火の如く怒るのだ。何なら、財布からお札を抜くようなことをしても怒らない祖母だ。そんな祖母が本気で怒るという曰く付きの神社だ

          【禍話リライト】桐の箱

          【禍話リライト】朗読おばさん

           地域をすり合わせるのはやめましょう、と言われた話がある。  決して夢ではないのだが、見間違いとか集団幻覚ではないかという昔の記憶が、Aさんにはあった。現在になって禍話を聞くようになり、私それでようやく腑に落ちました、とAさんは言う。  Aさんが学童保育にいた頃の話だ。  その頃両親は共働きで、Aさんは学童保育にいる子供たちの中でも特に遅くまで残っているような子供だった。  ある時から、学童保育に読み聞かせのボランティアが来るようになった。読み聞かせといっても意外と退屈

          【禍話リライト】朗読おばさん

          【禍話リライト】中の叫ぶ顔

          実在しない洞窟と石仏の話と、同地域で語られた話だ。  当時小学生だったAさんの近所にはもうすぐ取り壊されるアパートがあった。  Aさんの友人にはそのアパートに住んでいるお兄さんがいたのだが、同じ地域に実家があるのだという。  大学生のお兄さんはどうやら一人暮らしをしてみたかったとのことだが、どうにも意味がない。Aさんは子供心に、家族と折り合いが悪いのだろうか、と思っていた。  そんなお兄さんの家に行くのに着いてきてくれないかと、友人に誘われたことがあった。  ボロボロの、

          【禍話リライト】中の叫ぶ顔