話に臨む姿勢
これまでこうしたコラムを400回近く綴ってまいりました。
テーマ選びや言い回しなど、なるべく炎上したり突っ込まれたりしないように気をつけているつもりで書いてきたこともあってか、同じ内容をブログなどに掲載してきましたが、幸いにも嫌な思いをするようなコメントを残されたという経験はそれほど多くはありません。
ただ、ごくたまぁ〜に、「どうしてそんな言い方とか訊き方をしてくるんだろう」というコメントに出くわすことがあります。
そうしたコメントにも、細心の注意を払って回答をしようと思うと、本当にこちらが主張したいことは控えることとなって、とにかく当たり障りのない我慢して抑えた、個人的にはつまらない表現方法になりがちです。
こちらの主張は控えるわけですから我慢したことに対してのモヤモヤもありますが、こうしたコメントをいただいた時には、それとはまた違った要素の「気持ちのザラつき」を覚えます。
この気持ちがザラつかされる理由は一体何なんだろうと考えてみると、おそらくはコメント主との向き合い方が「対話」になっていないからなんですよね。
こちらは、自分のコラムですから、炎上させるつもりはないとしても、あくまでもテーマに沿って自分の考え方や価値観や経験に基づいた話を肉付けして綴っているわけです。
なので、全く違うご意見の方がいらっしゃったとしても、そこはある程度良識のある大人の方でしたら、「いいね」も押さずにスルーするという流れになるのかと。
ましてや、こんな素人の文章に毎回目を通してくださるということは、奇特な方ではありますが、これまでの内容に多少なりとも関心も持ってくださっていたり好意を持って受け入れてくださっていると思うのです。
ですから、こうした方々とのコメントのやり取りというのは、対話というか穏やかな交流になるのですよね。
ところが、こちらの気持ちをザラつかせてくるコメント主の特徴はというと、対話の対極にあります。
議論とか討論という単語にある「論」という文字ですが、「論う(あげつらう)」という訓読みもします。
辞書には
とあります。
最近だと「論破」するのがカッコいいみたいな風潮もありましたが、この論破というのが対話という単語のまさしく対極に位置する単語なのではないかなと感じています。
鴻上尚史さんも著書の中で同様のことを述べられていました。
人の話をフラットに受け止めるのではなく、自身の中に強く思っている絶対的な信念や考えがあり、譲歩することなくその正しさを上から目線で突然押し付けてくる。
こういう方は、いきなり強いコメントを残していかれますので、もともとの関係性も希薄ですから、正直言ってどのようなトーンで主張されているのかもあまりよくは分からないのですが、ただ何となく感じるのは「圧」なんですよね。
こちらとしては、「そういう考え方もありますよね。それに今回はそういうことを言おうとしているのではなくて、むしろこっちのテーマについて述べたいのですけれども」、というようなトーンのつもりなのですが、圧を与えてくるタイプの方は、「これはおかしい」「それならば、こういうことについてはどのように思っているのか?」などと決めつけてこられたり、詰問調のコメントを残していかれたりされます。
Aという主題について綴っていて、話を分かりやすくするために挙げた一例の中にBという副題が含まれていたとして、そのBについて詰問口調でコメントを残されても、あまりそこについて掘り下げようという態勢はこちらとしては整っていないのですよね。
あえて回答しない、というのもひとつかと思いますし、本来であればこちらの勝手なのですが、他の人には丁寧に答えているのに特定の人を無視しているように捉えられるのも何ですし、そう思ったコメント主当人からまた厳しいご意見をいただきそうだなと考えるとそれも面倒くさくて、結局放置するわけにもまいりません。
ただ、まあ言いたいのは、そちらがどのようなご意見をご自身のブログやコラムで書かれたとしても、私は圧を与えるようなコメントを残すことはしませんから、できればそちらもそういうスタンスであって欲しいなあ、ということなのです。
こうした他者との距離感は、やはり匿名性の高いSNSというのはどうしても難しいですよね。
有名な老夫婦とロバの4枚の絵があります。この絵を見た第三者はどのような意見を持つのか。
つまるところ、「批判してくる人は、何をしても批判してくる。批判したいだけの人たちなので、相手にしないことが賢明。」というのがアドラー心理学における対応方法になっていますね。
ビジネスSNSであるLinkedIn(リンクトイン)をしていて思うのは、お互いの情報開示がしっかりとなされている環境であるからこそ、それぞれが立場をわきまえやすくもあり、お互いを批判しないとても大人な分別のあるお付き合いができているのだなということです。
今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。