見出し画像

大手保険会社にて「会社の成長を支えるナンバー2育成戦略」セミナーを実施しました

今年も大手保険会社からご依頼を受けて、先日、『社長の右腕ナンバー2育成』をテーマにセミナーを実施しました。中小企業白書のデータを活用し、右腕人材の重要性や育成の課題について解説しましたので一部共有したいと思います。

中小企業白書から見る右腕人材の現状

冒頭、2023年中小企業白書掲載の右腕人材に関する各種データを引用し、中小企業における右腕人材の存在の割合や貢献度、社長が重要視するスキルなどを踏まえて、右腕人材の育成について解説させて頂きました。

■右腕人材がいる中小企業は65.6%

2023年中小企業白書

「持続的成長を遂げている会社には優れた右腕がいる」という認識はあまり一般的ではないと個人的に思いますが、65.6%の中小企業には右腕人材がいるというのは意外な結果に感じる人もいるかもしれません。

しかし、右腕人材という肩書を持った存在がいたとしても、必ずしも社長の期待通りの活躍をしているとは限りませんから、統計には現れない課題も多いように感じます。

■重要視されるスキルの1位は営業

白書のデータによると、右腕人材の保有する知識、スキルの圧倒的1位が営業とあり、経営者の右腕人材に対する期待が「売上に貢献する能力の有無」であり、右腕人材は営業で実績がある人材から選ばれる傾向が強いと言えます。

個人的に興味深いのは2位の経営企画で、営業の半数以下という結果です。

穿った見方をすれば、経営者は右腕人材に対しては数字を作ってくれさえすれば、経営への関与については期待していないとも言えますし、当人も数字を作ることに夢中となって会社全体のことを考える余裕がなかったり、意識が低い可能性もあります。

売上作りは会社継続の最優先事項ですから、右腕人材を選ぶのであれば営業について知識やスキル、実績があることが前提と考える経営者が多いのは当然と言えると思いますので、逆から言うと人事や総務などのバックオフィス系から右腕として選ばれることは中小企業では難しいのかもしれないとも言えそうです。

■分野によっては外部登用の割合は高い

こちらは右腕人材選定の際に重要視した要素についての結果ですが、直近の回答で右腕人材の保有する知識やスキルが営業に偏っていることから、業務経験やスキルの中身は営業に関することだと推測されます。

一方で、コミュニケーション能力も重視しているのは、数値目標達成において必要な能力のひとつとして認識している証拠かと思います。

3つの統計データを見て取れることは以下のようなことです。

・右腕人材に対して期待されている最優先事項は売上作りの能力と成果
・経営への関与に関する期待は低い、または能力や育成が不足している
・なんにせよ、コミュニケーション能力は高い方がいい

経営者の立場で言えば、売上作りに貢献できることを前提に、できれば売上作りだけでなく経営上の補佐役をしてくれたら最高であることが本音で、私の経験上、経営者の不満や課題はこのあたりにあると感じています。

営業とマーケティングは使う頭の部分が異なりますし、人事労務や経理、財務は経営では最低限押さえておかないといけないことでもあります。また、DXという文脈においてもITやデジタルの知見も今後ますます重要になってくる分野でしょう。

ただ、一人の人間に多くのことを求めることは現実的でないというのも経営者としての達観かもしれませんが、ここに経営者の負担がいつまでたっても軽くならないという現実が見えてくるように感じます。

統計では、「外部から確保した右腕人材」の割合が示されていますが、経営者にとって大きな課題と感じる分野においては外部人材の採用、登用が手っ取り早いという判断であるということが読み取れます。

営業、経営企画の分野が顕著ですが、内部で育てるより、ある程度出来上がっている人材を採用した方が早いというのが中小企業の経営者の考え方なのでしょう。それだけ、右腕人材の育成は難しいということを示しているような気がします。

例えば、私自身は会社員時代に資金調達以外のことは積極的に学びましたし、外部専門家と折衝できるレベルで実際に仕事としてほとんどやり切りました。常に最高の右腕であるという誇りを持っていたからです。(某大手銀行に勤務していたこともあるので資金調達も基礎的なことはそもそも理解していました)多分、私は右腕として機能するために自ら学び続けるという稀有な存在だったような気がします。

セミナーでの中小企業白書の統計データの解説は、全体の10分の1にも満たない分量ではありますが、右腕人材育成は、経営者が一人で抱える課題を解決し、持続的成長を実現するための鍵であることのイントロとしては良かったのかなと思います。

■経営者の立場では
経営者であれば、自社で右腕人材を育成するために、営業や経営企画以外の分野にも目を向けてみて欲しいと思います。優秀な営業マンであっても経営幹部としてより大きな視点で会社経営に関与してもらいたいと期待するならなおさらこの視点は大切です。

■右腕の立場では
そして、すでに右腕である場合やこれから経営幹部を目指す人なら、営業だけが会社経営の全てではないこと。逆に、営業に関して門外漢では経営幹部として十分に評価されないことを知って頂けたらと思います。もしそうであるなら、得意分野を軸にして売上に貢献できるスキルを磨くことも重要であり、学ぶことが多くて楽しいと感じて欲しいところです。

中小企業の65%には右腕人材がいると言っても、経営者ごとに右腕の理想像やイメージは異なりますから課題もさまざまでしょう。

ちなみに帝国データバンクの後継者不足に関する統計データでは、52.1%が後継者がいないそうです。右腕=後継者候補ではもちろんありませんが中小企業の課題がより鮮明になるような気がします。

中小企業における右腕育成を後継者候補として考えるのか、中長期的な事業継続のための人材として捉えるのかといったスタンスによっても右腕人材の捉え方が異なるかもしれません。

帝国データバンクから引用


中小企業における右腕人材の育成は、経営の持続的成長を支える重要なテーマです。営業のスキルは重要ですが、それだけでなく幅広い視点やコミュニケーション力を持つ右腕人材が育つことで、企業全体の成長が促進されると思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。


ナンバー2育成ガイドブックの無料ダウンロードはこちらから









この記事が参加している募集