短編小説:バブル期の日本:帰国子女の間違った処世術
私がその子に気が付いたのは、1987年10月に東京の鷲知(しょうち)大学で行われた入試の面接の時だった。
英語学を学ぶその学科には筆記試験と面接があり、筆記試験をパスした私の所には面接の通知が届いた。
5年間イギリスの北西部で中学生と高校生時代を過ごした私は帰国子女枠で入試に臨んだ。言語学を学んで本気で英語と言う言語に正面から向き合いたい。将来は教員免許を取って教師になるか、または翻訳家か通訳になるという夢もあった。
面接は約10分。たったそれだけの短い時間で結果が出る