英語格闘記:暇潰しの早口言葉
年寄りの独り言として読んで頂きたい。
もうかれこれ40年近く前の事。
筆者はイギリスで日本人学校を卒業した後、インターナショナルスクールに放り込まれた。
まずは付属の語学ユニットで勉強をするのだが、この語学学校では月に二回程、外部の演劇学校の先生がやってきて授業を行っていた。
「自己表現と発音を磨き、発話を促進する」という目的の元、ロールプレイングゲームなどを沢山やったのだが、中でも皆が好きだったのが「早口言葉」だった。
「早口言葉」は様々な国からやって来た生徒が英語を自信を持って発音できるようにする目的があったらしい。
確か五つほどの早口言葉を紙に印刷してもらい、皆でどこまで早く言えるか、相手に伝わっているか、そもそも早口で言えるかを毎回競い、出来なければ大笑いが起きると言う楽しいものだった。
苦手な発音があった筆者は、授業の後でもこの早口言葉をたまに練習した。
子音の発音が苦手だったため、どの早口言葉も役に立った覚えがある。
その後、転校して別の学校に行ったある日。
顔見知りの中学一年生のクラスの子達が浮かない顔をしてぶらぶらしている。
聞いてみると、「退屈だ」という。
やることが無いんだな。その途端、例の早口言葉が頭に浮かんだ。
筆者は二人の子達に言ってみた。日本人の子とスウェーデン人の子二人だった。
「それじゃチャレンジやるよ。今からいう言葉をゆっくり、一言ずつ言ってみて」
まずは最初の行を一単語一単語ゆっくり行って見る。
二人ともなんとかついて来られた。
「それじゃ次に一つのセンテンスで言うよ。付いて来てね」
筆者は単語単語で区切らず、一つの文章として一行目をゆっくり行って見た。
これも、二人とも何とか付いて来られた。
「じゃあ、これを倍速で言ってみよう」
つっかえる所は人それぞれだが、「a peck of」が鬼門の様だった。
一文とてもじゃないけれど言い切れない!となって大笑いになってしまった。
筆者はその子達と何度か一行目を早く言ったり普通の速さで言ったりを繰り返した。
三回目ほどで二人とも早口はクリアできた。
「本当は四行ある詩で、あと三つあるから聞いていてね」
筆者はゆっくり残りの三行を言い、その日はそこでおしまいにした。
二人とも楽しんだようで、これなら後30分ぐらいは楽しめるかもしれない。
そう思った翌日、筆者はスウェーデン人の同級生から声をかけられた。
見ると、昨日の男の子が同級生と並んでいる。
「Anna、うちの弟になんか教えた?」
二人は兄弟だった。ぱっと見はあまり似ていないのだが、近くで見るとどこかしら似ている兄弟だった。
「あ,兄弟だったんだね!昨日は楽しかったよね」
弟君が頷く。
「じゃあ、お兄ちゃんも巻き込もうか」
ノリノリになった弟君を囲んで三人で座り、昨日やったことをもう一度繰り返して見た。
案の定、「a peck of」のあたりでお兄ちゃんもつっかえていた。
早口になるとお兄ちゃんの方は全滅だった。
弟君は、四行のうち三行目と四行目を忘れてしまっていたようで、その二つをもう一回二人で言って見た。弟君は完璧に出来ていたので、「お兄ちゃんとお家で遊んでね」と言ってその日は終わった。家に帰って兄弟がどうなったか、想像するだけでも可笑しかった。
早口言葉は、話を職業とする舞台俳優やテレビのアナウンサーなどが取り入れており、英語の早口言葉は日本の学校の英語教育でも取り入れられているのではないかと推測する。
英語の早口言葉には、日本語に出てこない子音がバンバン出て来るので、口周りの小さな筋肉を鍛えるのには最適な方法の一つと言えると思う。
いくつか覚えているのは以下のものだ
外国語の発音は、往々にして口周りの小さな筋肉のトレーニングをやると少しずつではあるが発音が上達していくことがある。
早口言葉は、口周りの小さな筋肉を鍛えるには最適な方法の一つだと思う。
ネットを叩けば、上記5つはすべて音声サンプルが出て来る。
Youtubeやその他ホームページにある音声ガイドを使って、楽しみながら練習してみてはいかがだろうか。
あまりやりすぎると翌日口周りの筋肉が軽い筋肉痛になるので用心していただきたい。
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