後藤ゆうこ(認定IFSプラクティショナー/認定NVCトレーナー)

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後藤ゆうこ(認定IFSプラクティショナー/認定NVCトレーナー)

IFS 内的家族システム認定プラクティショナー/NVCの認定トレーナー https://gotoyuko.com 著作「私の中に住む人たち: IFS(内的家族システム)へのお誘い」 https://amzn.asia/d/evdad9K

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最近の記事

迎合とパワーアンダーの違い

ポリヴェーガル理論における迎合 「迎合」はトラウマ心理学からの用語で、ポリヴェーガル理論の文脈では、他者を喜ばせたり迎合することで対立や危険を避けようとする生存反応を指します。ポリヴェーガル理論(Dr. Stephen Porgesによって開発)は、私たちの神経系が脅威を感じた際、「戦う」「逃げる」「固まる」という3つの主要な反応を説明しますが、「迎合」はこれに加わる適応戦略です。対立を避けるために、自分のニーズを犠牲にして他者を優先します。 迎合の主な特徴: 他者を喜

    • 怒りはひとつの「パーツ」の感情

      IFS(内的家族システム)のコアとなる考え方の一つに、私たちの内側にはさまざまな「パーツ」が存在しているというものがあります。怒りのパーツ、悲しみのパーツ、不安なパーツなど、それぞれのパーツは私たちの一部であり、それぞれのパーツなりに私たちを助けようとしています。 IFSの目標の一つは、これらのパーツと「関係性を築く」ことです。つまり、パーツに自分を完全に乗っ取られることなく、自分とパーツを区別して向き合うということです。 もし怒りのパーツに乗っ取られてしまうと、自分とパ

      • NVCの傾聴:「伝え返し」とは?

        カール・ロジャースはカウンセリングの中で、相手の心を映し出すように言葉を返すことが、相手が自分自身の内面と深くつながる手助けになると考えました。これは、単に相手の言葉を繰り返すのではなく、相手の感情や考えを鏡のように反映させることで、相手が自らの気持ちや考えに気づき、自己理解を深めることをサポートする方法です。彼のカウンセリングでは、この「伝え返し」がカウンセリング全体の8割を占めていたとも言われており、相手に寄り添い、共感的に理解を示すために非常に重要なスキルとされています

        • セラピストのあり方について

          去年、センサリーモーターサイコセラピー(SP)のトレーニングの通訳チームに入らせていただき、多くの学びがあったのですが、その中にあった6つの原則がとてもいいなぁと思っていたので、チャットGPTに訳してもらいました。 引用元 https://sensorimotorpsychotherapy.org/about/ 有機性 (Organicity): 有機性とは、すべての生きたシステムに内在する知恵を指します。セラピストはクライアントを「癒す」のではなく、癒しの力と知恵は各

        マガジン

        • NVCを深める
          21本
        • NVCを日常で実践する
          3本
        • IFS内的家族システムでセルフ・セラピー
          4本

        記事

          SUP体験と遊び〜学習トラウマの克服

          先日、海に遊びに行って初めてSUPに挑戦してきたんですが、これが本当に楽しくて!以前の私だったら、こんなふうに心から楽しむことができなかったんじゃないかなって思います。というのも、私には「学習トラウマ」があったんです。 学習トラウマと遊ぶことへの怖さ 幼い頃から、私は人と同じようにできないことに強いストレスを感じていました。一生懸命やっていてもなぜかみんなと同じスピードでは出来ないので、保育園のころから気がつくといつも1人遅れていて、先生になにか言われたり、1人でぽつんと

          IFS内的家族システム:公式トレーニングの振り返り

          アジア初、アジア人向けトレーニング 6月〜8月の頭にかけてIFS(内的家族システム)のレベル1のトレーニングにプログラム・アシスタントとして参加しました。 このトレーニングは、アジアで初めて行われたアジア人向けのIFSトレーニングで、約2ヶ月にわたる14日間のトレーニングでした。 トレーニングの構成とその素晴らしさ 私がIFSレベル1に参加したのは、2019年でパンデミックの前はすべてのトレーニングが対面でしたので、前半と後半の2回に分けてオーストラリアまでいって受け

          IFS内的家族システム:公式トレーニングの振り返り

          ChatGPTを使ったIFSパーツワーク

          IFSコーチというChatGPTのツール、対話形式でパーツワークをガイドしてくれます。 日本語で試してみたら結構いい感じです。ところどころ日本語が変です。たとえばパーツを部品とか部分と言ってくるので、その場合は「Part=パーツと訳してね」とか翻訳を修正してあげると使いやすくなります。 以下、私が携帯で日本語で話しながら音声対話した例文です 【IFS Coach】というGPTです。リンクはこちら↓ これはChatGPTの中にあるMy GTPという機能を使って作られたも

          心と体を落ち着かせる体感につながる

          もし、今トラウマ反応で辛い思いをしているなら、このいくつかの方法を試してみてください。 まずは、今この瞬間、あなたの心と体を落ち着かせる方法をいくつか試してみましょう。いくつかの方法を組み合わせてもいいですね(例:呼吸と背筋を伸ばす、ストップのジェスチャーとグラウンドを組み合わせるなど)。 何かポジティブの変化が感じられたら、それがあなたのリソースとなります。そのリソースがもたらすプラスの効果に気がつきましょう。もしかしたら、よりリラックスしたり、エネルギーが落ち着いたり

          NVCを使ったフィードバック・ループ

          フィードバック・ループとは、プロセスにおいて情報が循環する仕組みのことです。グループの中で自分の振る舞いがどんな影響を与えているか知ることは、それに基づいて、何かを調整し、改善し、より多くのニーズを満たし合う関係へと成長していく機会となり得ます。フィードバック・ループは、組織や個人の成長、学習、改善を促進するために重要です。 フィードバック・ループの種類 ポジティブ・フィードバック(正のフィードバック):誰かの言動によって満たされたニーズを明示的に伝えることで、その関係性

          IFS アラニス・モリセットの体験談

          「悪い私はいない」の序文 IFSの創始者のリチャードが書いた一般書「悪い私はいない」が3/20に発売になりました。予約注文も順調な出だしということで翻訳者としてはうれしいかぎりです。 この本の序文を書いてくれているのは、あの一世を風靡したシンガーソングライターアラニス・モリセットです。何度も来日しており、洋楽ファンの人じゃなくても、きっと聞いたことのある曲があると思います。 序文ではアラニスが自分自身の体験を通して、IFSの変容の旅を語ってくれており、その内容はアラニス

          バウンダリーバブルの作り方

          バウンダリーバブルとは、あなたと他者の境界線を明確にすることで、自分自身を守り、大切するための心なエクササイズです。以下のステップでバウンダリー・バブルをつくってみましょう。 リラックスして呼吸に集中する:安心できる場所で座り、ゆっくりと深く呼吸してみましょう。 自分の中心を感じる:おへその下あたりに手を当ててみましょう。手の温かみを感じながら内側の落ち着きを感じ、自分自身の中心にいる感覚に集中します。 バブルをイメージする:目を閉じて、自分を取り囲む透明な保護バブルを

          IFSとNVCで内的批判を統合する

          この記事で紹介するのは内的家族システム(IFS)のパーツワークと非暴力コミュニケーション(NVC)の自己共感を組み合わせ、内なる批判的な声に対処し、自己理解と自己受容を深める強力なワークです。 IFSモデルでは、自己の内部に多くの異なる「パーツ」が存在し、これらが人格を形成していると考えます。これらのパーツは保護的な役割を持つものや、傷ついた感情を持つものなど、様々です。自己の中心には「セルフ」と呼ばれる、穏やかで、受容的で、リーダーシップを持つ部分があります。 IFSと

          フリーズとシャットダウンの違い

          ポリヴェーガル理論を学んでいくと、私たちの体が固まったり、動けなくなってしまうような状態(低覚醒)があることがより明確にわかります。 でも実は、その状態に2種類違いがあるのですが、その2つの違いを知っておくと、自分がどちらの状態なのか、またはクライアントさんがどちらの状態なのかによって対処法が変わってきます。 NICABMのサイトにわかりすい画像があったので日本語訳をつけてみました。 フリーズとシャットダウンの見分け方 フリーズとシャットダウンは、どちらも動くことがで

          SDGsを達成するために感情を解放する: 非暴力コミュニケーション

          UN 国連でSDGsを達成するためにNVCを導入する働きかけが起こっています。以下、国連のホームページに載っている記事です。 https://www.un.org/en/academic-impact/unlocking-your-emotions-achieve-sdgs-nonviolent-communication NVCトレーナーのアランさんが国連アカデミックインパクトのオンラインカンファレンスで語った内容を簡単に翻訳しました。 非暴力コミュニケーションとは何で

          SDGsを達成するために感情を解放する: 非暴力コミュニケーション

          グループプロセスについて

          グループプロセスで誰かのトラウマを扱うのは、そこにいる参加者の耐性の窓を超える反応が起こる可能性がある。トラウマインフォームドな設定として、十分なリソースを確保して、ソマティックな反応に気がつけるような配慮をする必要がある。 いくつかの可能性として、全員で誰か一人のプロセスをホールドする場合、その人体験にまつわるトラウマ反応を動きに変えて、参加者全員でやってみるなど、起こった反応が置き去りにされ、再トラウマ化を防止するような全体を含むワークを考慮する必要がある。 NVCの

          内的家族システム:No Bad Parts翻訳出版①

          去年、2022年の8月から、IFS内的家族システムの本「No Bad Parts」の翻訳出版を手掛けています。今年の秋ぐらいには本屋さんに並ぶといいなぁ思いつつ、私ともう一人のIFSセラピスト仲間とでゆっくり丁寧に、1ヶ月に一章のスピードで翻訳を進めています。(現在第7章翻訳中) 翻訳出版にいたる道のり、そして、今まだ現在、粛々と進めている翻訳の内容なども少しずつ書き綴っていきたいと思います。 2021年、コロナ禍真っ最中にこの本が出版されてから、この本を翻訳出版したいと