怒りはひとつの「パーツ」の感情
IFS(内的家族システム)のコアとなる考え方の一つに、私たちの内側にはさまざまな「パーツ」が存在しているというものがあります。怒りのパーツ、悲しみのパーツ、不安なパーツなど、それぞれのパーツは私たちの一部であり、それぞれのパーツなりに私たちを助けようとしています。
IFSの目標の一つは、これらのパーツと「関係性を築く」ことです。つまり、パーツに自分を完全に乗っ取られることなく、自分とパーツを区別して向き合うということです。
もし怒りのパーツに乗っ取られてしまうと、自分とパーツの区別がつかなくなり、自分が「怒りそのもの」になってしまいます。そうではなく、自分が「怒り」と関係を持つことで、大きな違いが生まれます。感じ方や、そこから生じる行動にも変化が現れます。
「怒りの問題を抱えている」と感じるのは、実はその怒りのパーツが私たちを乗っ取り、一時的にそのパーツと分離する能力を失っている状態なのです。強く怒りを感じたとき、そのパーツと自分の間に少しでも距離を置くのは難しいかもしれません。
そこで、怒りのパーツと仲良くなるセルフワークを紹介します。これは、怒りのパーツと少し距離をとりながら、怒りのパーツを理解し、自分と怒りのパーツの関係を育むためのものです。
簡単なセルフワーク:怒りのパーツを感じたら試してみよう
もし怒りのパーツが出てきたと感じたら、以下のエクササイズを試してみてください。
深呼吸を数回しながら、次のフレーズをそれぞれゆっくりと3~5回繰り返してください。フレーズを進めていくうちに、自分の内側でどんな変化が起きるか、注意深く観察してみましょう。
このプロセスは、最初は怒りのパーツが自分と一体化していることを認めるところから始まりますが、徐々に少しずつ距離を取り、最終的にはそのパーツを「歓迎する」ような気持ちで受け入れることを目指します。
以下のフレーズをゆっくり3〜4回ずつ言いましょう。
私は怒っている。
私は怒りを感じている。
私は自分の怒りに気づいている。
私は自分の一部(パーツ)が怒っていることに気づいている。
本来の私は落ち着いていて、思いやりを持っているが、私の一部(パーツ)が怒っている。
全てのパーツは歓迎されている。そしてパーツは私を助けようとしている。
次のステップ
このプロセスを終えた後、怒りのパーツと向き合い、関係を持つことができるようになっているかもしれません。この状態から、怒りのパーツが何を伝えようとしているのか、好奇心を持って探ってみましょう。
以下の質問を怒りのパーツに問いかけてみると、パーツがどのように助けようとしているのか、さらに理解が深まるかもしれません。
そのパーツに問いかけて、そのパーツの気持ちや願いを聞いてみましょう。
あなたは私に何を知ってほしいかな?
私のためにどんなことをしてくれてるの?
今、あなたが怒らなければ、どんなことが起ってしまうと心配しているの?
あなたは、私の他の部分(パーツ)を守っているのかな?
私の境界線が何かに越えられたことを知らせてくれてるのかな?
今、私が何を必要としているのか見せてくれようとしているのかな?
なにか私にお願いしたいことはある?
いかがでしたでしょうか。このパーツの願いや役割について何か発見や気づいたことはありましたか?
このセルフワークを通じて、怒りのパーツとの健全な関係を築く一歩となることを願っています。怒りを否定せず、受け入れることが、あなた自身を深く理解し、成長する鍵になるかもしれません。
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