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ついつい常識や当たり前を疑ってみたくなる、不思議と気持ちよい本「実験思考」
しゅんしゅしゅんです。
今、話題の「実験思考」をよみました。
何が話題かというと「後払い+価格自由」という売り方。
電子版は0円、紙の本は印刷原価分の390円で販売。本の最後にQRコードがついているのですが、その遷移先特設サイトで、読んだ後に好きな価格を支払ってねという仕組み(5/12現在、743人で44,193,500円でした)
本自体が現在どれくらい売れているかは不明ですが、追加でお金を払っている人は意外に少ない印象。しかしながら、集まったお金は約4400万なので、一般的な本の定価1500円で考えると、3万部販売時相当のお金が集まっているわけなので、大きいですね。
700人ちょいで4400万なので、平均は5万円ですが、支払い額に応じた特典が用意されており、100万、500万、1000万などの高額特典もあるので、高額支払い者が牽引して、平均単価を引きあげているのでしょうね。
購入冊数に応じて特典をつける本の売り方は、最近よくみますが、この本の特典の内容はバラエティがあって面白いですよ。一緒に韓国のカジノに行って500万ルーレットにぶっこむとかね。確率1/2なのに、不思議なもんで勝てる気がするから面白い。
まあまあなんてことは今日はどっちでもいいのです。「新しい本の売り方」に注目が集まっていますが、今日はそれは置いておいて。
僕が今日お伝えしたいのは中身の話。
いつものNEWSPICKS BOOKSよろしく、今回も文字は大きいし、本は薄い。価格も0円だし、中身はどうかなと思っていたのですが、これがまた面白かった。売り方以上に面白い。
エキサイティングで頭やわらかくなります。今の自分の仕事や私生活でひとつくらいは実験してみたいって好奇心や冒険心、わいてきます。当たり前の崩し方、狂い方のヒントあります。
なんか不思議と読後感が気持ちいい。
「自分、常識人だな」
「自分、世の中の当たり前を受け容れすぎだな」
「自分、ボーっと生きてんな」
イヤな気持ちを伴うことなく、そんな気づきある感じ。
ふつう、起業家とか経営者とかイケイケなイノベーターに焦点あてた本って、読後ちょっと疲れません?キラキラオーラにやられる感じありません?
この本はね、それがないんです。
文体のテンションが秀逸で、高くも低くもないから、ですかね。説教臭くもないし、好きなことをやっている高揚したキラキラ感もない。たんたんとしたテンション。
誰もやっていない実験で、誰もしっていない結果がわかったら楽しいじゃんってだけの、ニュートラルなテンションが実にきもちいい。
そんなテンションで著書の光本さんの過去行った実験、今後やりたい実験(要はビジネスのたね)がぽんぽんと語られる。
「こんなんもあるよ。こんなんもあるよ。こんなんもあるよね。」と話されたら、こっちは「うんうん。うんうん。そうですね。そうですね。あ、だったらこんなんもありますね。」ってな具合で、いつのまにか自分でも新しいアイディアを思いついたりする感じだ。
もちろん、学ぶこともたくさんある。ぜひ本書を読んでほしいが、「人を疑うコストをやめたらどうなるか」「マスの感覚を失わないために、いかに全力で普通の生活者たるか」「市場をひろげるために、わくわくする表現(見せ方)と気持ちよい体験がいかに必要か」なんて視点には思考が揺さぶられまくる。
読了後にお金を払うか、払わないか、そんなことは二の次で、ぜひよんでほしい一冊。ちなみに、こんなにおすすめしている僕は、読了後にお金は払っていない。
しかし実験っていい言葉ですね。
似たような言葉はあれど、よりアカデミックというか、学者然としているというか。そこには「失敗するのが当たり前」「失敗は正解でないことがわかるから失敗ではない」そんな意味合いが強く含まれている。
実験って言葉には、失敗を許さない息苦しさを緩和し、失敗から得た学びを次に活かす力がある。
これから会社でも実験って表現に切り替えよう。
前例主義に陥らない、あたりまえを疑う、やるなら0か100か振り切る。なんてことはもちろんやりたいけど、けっこう難しい。
まずは実験って言葉を使うことから、実験思考をみにつけていきますか。
では。
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