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(連載39) 自分にしか出来ない事〜「汚れの首輪」のファッションショー:ロサンゼルス在住アーティストの回顧録:2001年
わ〜〜!!
このタイトル!!
今回、大きく出ちゃいましたー!!笑
自分にしか出来ない事!!だと?
うプププ〜〜〜。
何をエラそうに、ライフコーチみたいに語るかー?爆笑
汚れものを集める? そんなん、もともと誰もやらんわ〜!
自分しかやらない=自分にしかできない!
この、なんという自分勝手な自己肯定!!爆
しかし、後輩たちよ!(小声で)人生ってもんは、これでいいのだよ!
前回までのお話(っていうか、実話ですけども)読まれてない方に、ざっくりお伝えしますと、私は、メンズの白シャツの衿についたシミというのが、自分の作品のテーマとして、何かズド〜ンとくるものがあり、汚れた白シャツを集め出しました。
そして、汚れた襟の絵を描いていたのですが。
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調子にのって、集めてたシャツが、だんだん溜まってゆき、どうしたものか?と、思い悩んだ挙句、新しいプロジェクトとして、衿だけ切りとって、服として再構成してみようと考えついたのでした。(詳しくは、連載37と38に書いておりますので、よろしくお願いします。)
「汚れたものを集める」のは、フェチの方々には王道かもしれませんが、私の場合は、前回も申しましたが、作品の題材としての「汚れの首輪」なので、臭いをかいで、ウフフ。。。。ってのは全くありません。
っていうか、もうーこの、臭いで、何回も気絶しそうになりました。
もう、当たり前ですが、臭いのなんのって!!爆
いっそ、フェチだったらよかったわ。苦笑
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買ってきたらすぐ、ビニール袋に入れて、密封してたのですが、少しでも袋から出して、広げたとたん。。。
最初はマスクをしたりしてましたが、そんなんじゃ、もう。。。
もちろん窓は全開、空気循環装置も、大きいのを買いました。アロマも試してみました。。。。。。しかし。
ああいう臭いというのは、なんでしょうか、頭の中のメモリーの保存されたら最後、その臭いがない場所でも、例えば、ベッドにはいっても、思い浮かべるだけで、ムカついて、寝れなくなるんですよ。
アーティストの友達にこれを話したら、まだまだ修行が足りんとばかりに、
アートの為だったら、そんなのは当たり前だね。
って言われるし。。。。
しかし、これで自分の健康を害したくないしな〜。(臭いで健康を害した人っているのか???)
ともかく、なんとかいい方法はないのか?と、この汚れモノどもの保管の方法を考えたんです。
まず、この汚れの首輪コレクションで、絵の際材になるくらいの「素晴らしい汚れ」「ルックスのイケてる襟」は、そのまま密封して(特別に箱に入れたりして)保管した。とくに、ブランドのシャツについた汚れは、超レアものなんで。苦笑
この箱もひとつひとつ作りました。
(箱を作る方が大変だった!)
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で、それ以外は、「服として再構築するグループ」と決めて、衿だけを切り取って、いらないところは全部、捨てた。これで少しは量が減ったので、整理した気分になった。
この時点での私の「汚れの首輪プロジェクト」のゴールというのは。。。
誰もやってない=自分にしかできない(しつこい)
汚れの首輪のファッション・ブランドってものを作る。
ネタとして、(実は本気の)ファッションショーをやる。
そして、あわよくば、お店で売ってみる。
うふふ。買う人がいれば。。。。。ですが。
この点はあらかじめ、私が店番をしているお店のオーナーに、「汚れの首輪の服を作ったらおいてもらえるか?」と、たずねてみたら、
臭いものは、売れん!
と言われました。
「破れているもの」は売れるが、
(パンク・ファッションやコム・デ・ギャルソンを見たまえ〜〜!!笑)
しかし。
臭いのついたものは、お断り!
と。
はい。そうですね。っと。
これで、この課題に対する心構えと問題点がクリアになった。
1。ネタ目的で、店で売ってもらう為にも。
2。そしてあわよくば、売れてお金がはいる?という野望を満たすためにも、
3。そして、それよりも、まず、自分が吐きそうになるのを抑えて、健康を害さないためにも。
〜あのね〜。いろいろと、ごちゃごっちゃ、口出しするのをやめてほしい。
今はただ、これだけに集中ですよ。
なんとかこの臭いを消せないか?
それで、この問題の解決するために「汚れの首輪」実験室、ラボトリーが開設された。
って、ただの自分の仕事部屋ですが。。。。苦笑
開設記念撮影。友達も誘って、パチリ!!
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まず、臭いといえば、消臭剤。 ??ファブリーズ??
そんな初心者用のプロダクトで、消えるような匂いじゃないス。
逆に、この臭いとファブリーズが合わさった臭いになって、さらに不気味な匂いになる。。。
もう鼻が曲がりそうになり、呼吸困難になった。
そして、もうこうなったら、「洗うしかない」と決断した。
でも、せっかくついた「シミ」は消したくない。
なので、なるべく汚れがとれない洗剤を、、と、いろいろ試してみた。
これはほんの一例ですが。他にも、ナチュラルなんだら。。というような、ニューエージ系のやつなど。
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混ぜたり温度を変えてみたり、
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臭いを消して、そのシミの部分だけ、残す、、、、
それで、思いついたのは、アイロンでシミの部分を少し焦がしてから、洗ったらどうか?と思った。
これがもうアイロンをかけるのが地獄でした。
しかし、結果は、正解だったんです!!!
一番汚れがとれない洗剤で、洗って、臭いはなんとかとれたが、シミは残った。
匂いが全くなくなったわけではないが、そこまで気にならなくなった。
ふう〜〜。
やはり自分しかできない事をやるのは、大変だぜ。
そのために必要なのは、
圧倒的な勇気と、そして根性というのもわかった!!
おかげで、第一段階はクリアした。
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つまり、これでやっと、汚れの首輪を服として再生させるプロジェクトの スタートラインに立てたというわけです。
ファッションショーの準備
素材の準備がやっと出来たので、これで、縫製は人にも頼める。
縫ってくれる人を探して、つぎはぎを手伝ってもらえる。ここまでくれば、もう、大丈夫!!そして、片っ端からどんどんつないだ。作りながら、ショーの企画を考える。
以下のスケッチでおわかりのように、今までような見るからに、「アートでござい」的な服ではなく、今回は汚れの襟自体がコンセプトなので、あくまで、デザインは普通に日常に着れるような服にした。
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今までも、「アート・パフォーマンスとしてのファッションショー」は、やりましたが、今回はちょっと、規模が違った。
なんせ、アパレル・ブランドに見せかけようとしているので、服、モデルなどの数も増え、気がついたら、今までやった、ファッションショーより、スケールが大きくなって、実際のファッション・ビジネスの人がやるような規模になってしまった。
それでもう、仕切りがめちゃくちゃ大変になりました。
モデルごとの進行表がいる →
知らんかった。
フィッター(控室で着替えを手伝う人)も必要 →
知らんかった。
全体オーガナイズする人も必要 →
知らんかった。
セキュリティーの人も必要 →
知らんかった。
音楽を流すでかいスピーカーやアンプもいる →
知らんかった。
ともかく、知らないことだらけの連続。。。。しかも、このイベントを、まったくお金をかけずにやろうとしている →
知ってたけど、無意識に考えないようにしてた。
今から考えたら、大変なのは、当たり前っちゃ、当たり前かもしれないけど、その時はド素人だから、逆に簡単に出来ると思ったのであります。
いろいろな人を巻き込んで、迷惑かけたり、助けられたりしながら、なんとか形になりました。
いよいよ、ファッションショーの始まり
結果、今までで一番、ファッションショーらしいファッションショーになりました。
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パッと見は普通の服ですが、ほとんどが「汚れの首輪」からで出来ています。
結果。。。。人はたくさん集まりました。まるで、本物の、コマーシャルのファッションショーみたいな仕上がり!!!手伝って下さったの方たちに感謝しかありません!!
そして、なんとかショーが無事終わりました。
ふ〜〜〜!!!!
ファッションショーが終えて
このショーの後、私が店番してたお店に、「臭くない」という条件で、置いてもらいましたよ!!
これで、ハッピーエンドだと思う方もいらっしゃるでしょうね。
よかったね!!と。
そんなあなた!!
甘い!
あまい!
ア〜〜〜〜〜マイ!
そのお店で、、、、
盗まれたんですよ。。。。
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他の高いビンテージのものといっしょにごっそりと。。。。
その頃は、お店には万引きやら、置き引きやらが発生してた大変な時期だったのです。自分も店番してたので、それはよく知ってました。
高い値段をつけていたので、泥棒は、きっと値札を見て盗んだに違いないです。
犯人は衿フェチではないと思います。苦笑
しかし、結果、お店のオーナーが保険を使ってくれて、そのおかげで、いくらか、お金がはいりました。。。。
もー、運のいい事と悪い事の上がり下がりが極端で、自分にしか出来ないことをやるのは、その両方をうけいれる覚悟といいますか、図太い神経がいりますねー。
ところで、
これは、手元に残った、ウエディングドレスですが、
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誰かに貸して着てもらったら?どうかなと声をかけてみましたが、さすがに誰もいませんでした。涙
しかし、もう、またここで、上がったり下がったりですわ。
今までと違い、今回は、次につながったんです!!
このコレクションのおかげで、前回のロンドンのキュレーターからの紹介で、再びイギリスのアートフェアに招待されたんです。それでこのドレスや絵を持ってゆき、展示させてもらいました。
ノーウッチというイギリスの古い町のアートフェアで、いろいろなアーティストが招待されて、現代アートに関するディスカッションやイベントがありました。イギリスの小さな町には、それまで行った事なかったので、観光気分で楽しみました。
。。。。そんなこんなで、2001年は、多忙な年になりました。
このアートショーでイギリスへ、そして前にお話しした(連載36)バンドに、ビジュアル担当(音以外の演者)としてスカウトされて、パリ、イタリア、ドイツ、スイスなど、ヨーロッパ・ツアーへ、と、行ったのも同じ年でした。
思いがけず続けて年に2回も、ヨーロッパに行かせて頂いた!!
そしてこのファッションショー以降は、このバンドのユニフォームにも、この汚れの首輪の服を使いました。
これとか。
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これです。自分のサイズで作っておいたので、よかった。苦笑
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そして、このバンド活動に自分自身もガッツリのめり込んでゆきました。ローカルでの評判も悪くなく、2枚目のCDが、今度はロサンゼルスのレーベルから出る事が決まって、アメリカ国内のツアーのスケジュールも、びっちりという展開になったところに。。。。
とんでもない事が起こりました。。。。
人生のアップダウンはこれからも、ずっと続くのであります。
L*