竹林/津軽弁のナッジ研究者

行動経済学とダンディズムを愛する青森県民。「相手を自発的に健康行動へと促す」をテーマに…

竹林/津軽弁のナッジ研究者

行動経済学とダンディズムを愛する青森県民。「相手を自発的に健康行動へと促す」をテーマにした研究をしています。ナッジの講演やコンサルティングを通じて現場からの「なぜ?」「何をどうしたらいいの?」の声をたくさん聴いてきました。noteではそれにこたえる発信をしていきます。

マガジン

  • 第8章 ナッジで伝わるプレゼンに

    せっかくのプレゼンです。ぜひとも相手に気分良く伝えたいものです。ナッジを使うことで、プレゼンが伝わるものに生まれ変わります。

  • 質問にお答えします。

    読者からの質問に行動経済学の観点からお答えします。

  • へるすあっぷ21

    へるすあっぷ21(法研)に2020年4月から連載されている「その問題、ナッジで解決できるかも!」を紹介します。https://www.sociohealth.co.jp/magazines/healthup21.html

  • 第6章 ナッジ研究者はニュースをこう考える

    気になるニュースを行動経済学の切り口で解説します。

  • 第9章 ナッジ研究者、TEDxトークへの道

最近の記事

ナッジ研究者がお答えします#40:相手の機嫌が悪い時には?

私は「相手の機嫌が悪い」と感じたら、よほどの緊急時以外はすぐに引き下がります。機嫌が悪い時には難しいことは言われたくないものです。が、そうしているといつまで経っても進まないので、「次回この話をしますね」と笑顔で予告をします。「今言ってよ」と言われても、「今は時間がないので、予告だけにさせてください」としておくと、相手も心の準備ができた段階で改めて話ができます。参考になれば幸いです。

    • ナッジ研究者がお答えします#41:相手が怒り爆発した時には?

      御質問ありがとうございます。「ナッジは万能ではなく、成功確率を上げるもの」という前提で、一般論としてお話しいたします。 相手が暴走して、初動でそれを止めるのに失敗したら、その場を離れることをお勧めします。人間の直感は象のようにパワフルです。象の暴走を止めようとするには、相応の被害を覚悟する必要があります。それよりは「野生の血が騒いでしまったのかなぁ」という視点に立ち、「そうなんですね。大変でしたね」とポジティブな終わり方にしてはいかがでしょうか?相手もその後、冷静になるチャン

      • ナッジ研究者がお答えします#39:安全ルールを守ってもらうには?

        私は2022年の冬に転倒して太ももを骨折し、「人の骨は簡単に折れる」と痛感しました。それ以来、手すりは必ず使うようになりました。怪我をしたことのない人は、頭で手すりの重要性をわかっていても、「自分は使わなくても大丈夫」と歪んで捉える傾向があります。どうすれば予防できるでしょうか?3つのシチュエーションに分けて考えます。 ①感染が怖くて手すりを使わない場合 これは手すり利用の阻害要因が明確なので、「手すりは10分おきに消毒しています。安心してお使いください。総務課長 竹林正樹

        • ナッジで伝わるプレゼンに#20:ポスター発表では、まず立ち止まらせる

          【問】学会のポスター発表で、誰も聞いてくれずに寂しいです。どうすれば良いのでしょうか?  ポスター発表は「詳細なデータをじっくりと見せることができる」というメリットがあります。が、反面、誰も見てくれないリスクがあります。このため、「まずは、立ち止まってもらう」ということに特化してはいかがでしょうか? ※学会によってポスター発表の形式に違いがあります。ここでは、「演者が一定の時間、ポスターの前に立って参加者が立ち寄る形式」を想定してお話しします。  立ち止まってもらうため

        ナッジ研究者がお答えします#40:相手の機嫌が悪い時には?

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        • 第8章 ナッジで伝わるプレゼンに
          19本
        • 質問にお答えします。
          38本
        • へるすあっぷ21
          23本
        • 第6章 ナッジ研究者はニュースをこう考える
          9本
        • 第9章 ナッジ研究者、TEDxトークへの道
          3本
        • 第2章 バイアス論:心には癖がある(完)
          20本

        記事

          ナッジ研究者がお答えします#38:詳細情報はどう伝えたらよい?

          【問】健診案内は簡潔に伝えた方がよいということはわかりましたたが、注意点等の詳細情報はどう伝えたらよいでしょうか? 健診案内で、相手に伝えるべきメッセージは「来てください」です。一方、多くの健診案内では、「当日の持ち物」など、決定通知に書けばよい事項を記載したものも見られます。これは健診を受けるかどうかも決めていない人にとって、今すぐに必要ではない情報です。 今すぐ必要ではない情報を入れ込むと、情報が増え、相手は読むのを後回しにしたりやめてしまいます。このため、まずは健診

          ナッジ研究者がお答えします#38:詳細情報はどう伝えたらよい?

          ナッジ研究者がお答えします#37:どのタイミングで栄養指導すればいい?

          【問】「この時間でこれを食べる」と栄養指導する際のポイントを教えてください。 Timelyナッジを使うのがお勧めです。 例えば、相手が14時に「昼食にはサラダを注文した方が午後のパフォーマンスが上がる」という話を聞いて「ランチにサラダを注文しよう」という気持ちが生まれたとします。でも、それを実行できるのは、最短でも明日のランチです。その間にモチベーションも下がりやすく、いざランチタイムになった時に忘れてしまう可能性が高まります。このプロセスが長いほど、離脱ポイント(ボトル

          ナッジ研究者がお答えします#37:どのタイミングで栄養指導すればいい?

          「これは使える!みんなのナッジ」最終回:楽しいナッジでプログラム参加

          【あらすじ】地域保健・産業保健の月刊誌「へるすあっぷ21」(法研)で2021年4月から連載が始まった「これは使える!みんなのナッジ」。青森県保健所・竹林紅所長と私が全国のユニークなナッジの実践を紹介します。  今回紹介するのは、「生活習慣バージョンアップチャレンジ・くうねるあるく」*です。これは、食事・睡眠・運動をトータルで学び、ヘルスリテラシーを育成し生活習慣を改善していくオンライン事業(健保組合で参加)です。順天堂大学・福田洋先生の監修で、私たち2人も立ち上げ時にサポー

          「これは使える!みんなのナッジ」最終回:楽しいナッジでプログラム参加

          ナッジ研究者がお答えします#36:新聞記事はエビデンスになるのか?

          【問】行政職員です。上司が「エビデンス」として、新聞記事の内容を根拠にしています。新聞記事はエビデンスになるのでしょうか? 「エビデンス」は広い意味を持つ言葉で、学術的には「科学的根拠」として使われることが多いです。この場合、専門家の言葉や調査結果もエビデンスに含まれることもあります。このため、新聞記事もエビデンスに含まれる余地があると言えますが、そうではないものもあります。ましてや行政機関が新聞記事に基づく意思決定をするのは、問題を内包していると考えます。 だから、「新聞

          ナッジ研究者がお答えします#36:新聞記事はエビデンスになるのか?

          ナッジ研究者が見たニュース#9:講演には遅刻してはいけない

          プレゼンの神様・澤円さんのVOICYの「ミーティングに遅れてはいけない理由とは」が示唆に富みます。澤さんは、「聞き逃した部分を発表者に確認すると、貴重な時間資源を無駄にする」という切り口でお話ししていました。これはもっともです。素晴らしい内容ですので、ぜひ聞いてほしいです。 さらに行動経済学の観点から付け加えるのなら、「よいプレゼンは、クライマックスが冒頭にあるので、最初を聞き逃すと魅力が半減するため」という意味もあります。 人間の心理傾向(認知バイアス)のうち、プレゼン

          ナッジ研究者が見たニュース#9:講演には遅刻してはいけない

          ナッジ研究者がお答えします#35:「~ましょう」の言い換えは?

          【問】講義で「ましょうの攻撃(「~しましょう」の連発)を避ける、と聞きました。どう言い換えたらいいのでしょうか? この質問はよくいただきます(以前の質問はこちら)。確かに、今まで普通に使っていた言葉を使わないように言われると、戸惑うものです。しかし、私たちは「〜しましょう」と一度にたくさん言われるのが好きでしょうか?そして、実際に行動に移すでしょうか?具体例で考えてみます。 「仕事をしっかりしましょう」「住民の規範になりましょう」「災害対策は怠らないようにしましょう」「エ

          ナッジ研究者がお答えします#35:「~ましょう」の言い換えは?

          ナッジ研究者がお答えします#34:あぶく銭の場合、損失回避は生じない?

          【問】「懸賞で100万円当たった後、100万円を落とした場合、落としたときのショックが大きい」という心理(損失回避性)について、「同一人物が時系列的に獲得と喪失を経験する状況」は別の話であり、あぶく銭であれば、別になくなってもそこまでダメージは受けないだろうと考えます。いかがでしょうか? こちらは現役の医学部生からいただいた、とても鋭い質問です。 100万円が当選した時点で、「参照点(=基準)」が「100万円保有した自分」になり、「100万円で車を買おう」「海外に行こう」

          ナッジ研究者がお答えします#34:あぶく銭の場合、損失回避は生じない?

          ナッジ研究者がお答えします#33:バイアスを思いっきり簡単に言うと?

          【問】講演を聞いて、バイアスの定義は理解できたのですが、他人に説明するのが難しいです。中学生にもわかるくらい、簡単な言葉で説明するとどうなりますか? バイアスは多義語で、偏見や先入観といった「社会的バイアス」、統計における歪みである「統計的バイアス」、そしてこの連載でも取り上げる「認知バイアス」(心理が持つ癖)です。いずれも、「あるべき姿からのズレとして、法則性のあるもの」というニュアンスで使われます。 認知バイアスは「人間らしさ」「本能的に、ついそうしたくなる心理」と言

          ナッジ研究者がお答えします#33:バイアスを思いっきり簡単に言うと?

          「これは使える!みんなのナッジ」1月号:アンケートが受診率向上に?

          【あらすじ】地域保健・産業保健の月刊誌「へるすあっぷ21」(法研)で2021年4月から連載が始まった「これは使える!みんなのナッジ」。青森県保健所・竹林紅所長と私が全国のユニークなナッジの実践を紹介します。  駿東田方圏域歯科会議(静岡県東部健康福祉センター主催)は、圏域の10市町と4歯科医師会が参加し、歯科保健推進を目的に開催されています(竹林もアドバイザーとして、R2,3年度に出席しました)。今回は、R3年度の会議で発表された静岡県裾野市の「歯周疾患検診を受診しない理由

          「これは使える!みんなのナッジ」1月号:アンケートが受診率向上に?

          「これは使える!みんなのナッジ」12月号:漫画を使った受動喫煙防止広報

          【あらすじ】地域保健・産業保健の月刊誌「へるすあっぷ21」(法研)で2021年4月から連載が始まった「これは使える!みんなのナッジ」。青森県保健所・竹林紅所長と私が全国のユニークなナッジの実践を紹介します。  喫煙者の多くは何度も禁煙指導を受けている一方、タバコ産業による強烈なプロモーションにさらされ、禁煙したくても前に進めずに苦しんでいます。そのため、喫煙者へのアプローチにおいては、相手に「どうせ無理」という感情が起きないような工夫が必要です。丸井健保では、「受動喫煙防止

          「これは使える!みんなのナッジ」12月号:漫画を使った受動喫煙防止広報

          「これは使える!みんなのナッジ」11月号:フェムテックで更年期のコミュニケーションの悩みを共有(よりそる)

          【あらすじ】地域保健・産業保健の月刊誌「へるすあっぷ21」(法研)で2021年4月から連載が始まった「これは使える!みんなのナッジ」。青森県保健所・竹林紅所長と私が全国のユニークなナッジの実践を紹介します。  2021年の流行語大賞に「フェムテック」(Female(女性)の健康問題をTechnology(テクノロジー)で解決していくサービス)がエントリーされました。今回紹介する「よりそる」は、フェムテックの先駆け的存在です。  更年期に関する問題は、男女のコミュニケーショ

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          「これは使える!みんなのナッジ」10月号:コンビニでヘルシー食材を選びやすく(台東病院)

          【あらすじ】地域保健・産業保健の月刊誌「へるすあっぷ21」(法研)で2021年4月から連載が始まった「これは使える!みんなのナッジ」。青森県保健所・竹林紅所長と私が全国のユニークなナッジの実践を紹介します。  台東区立の台東病院・老人保健施設千束((公社)地域医療振興協会が委託運営)が、同協会ヘルスプロモーション研究センターや女子栄養大学と協働した 「地域ヘルスプロモーション病院の活動」が、厚生労働省「第8回健康寿命をのばそう!アワード」で健康局長優良賞を受賞しました。その

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