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ナッジ研究者がお答えします#35:「~ましょう」の言い換えは?

【問】講義で「ましょうの攻撃(「~しましょう」の連発)を避ける、と聞きました。どう言い換えたらいいのでしょうか?

この質問はよくいただきます(以前の質問はこちら)。確かに、今まで普通に使っていた言葉を使わないように言われると、戸惑うものです。しかし、私たちは「〜しましょう」と一度にたくさん言われるのが好きでしょうか?そして、実際に行動に移すでしょうか?具体例で考えてみます。

「仕事をしっかりしましょう」「住民の規範になりましょう」「災害対策は怠らないようにしましょう」「エビデンスに常に目を通すようにしましょう」「質の高い睡眠を確保しましょう」

これらは全て正論を「ましょう」で伝えたものです。あなたがこれを聞いて「わかった!今すぐ仕事に関するセミナーを自費で受け、住民の規範になっていない部分がないかチェックし、防災マップを点検し、海外論文を毎日読み、質の高い睡眠を得るために生活全般をゼロベースで見直そう」と決意し、実行する気になったのなら、これからも「ましょう」の攻撃をしてもいいのかもしれません。
しかし、多くの人は、正論を言われ、逆に読む気を失せたことと推測されます。自分が好きでないのなら、他人に対して使うのは控えた方がよい気がしませんか?

「ましょうの攻撃」は、情報過多で、行動の阻害要因になり得ます。相手に読んでもらえない提案メッセージであれば、メッセージそのもの見直し、情報を絞り込んだ方がよさそうです。

どうしても「ましょう」を書く場合は、達成可能で具体的提案した方がよいです。
例えば「21時になったら、スマホの電源をオフにしましょう。なぜなら、疲れるにつれスマホやめるタイミングを自分でコントロールするのが難しくなり、少しでも理性が残っているうちにスマホと距離を取っておいた方がよいからです」と書くのだったら、効果がありそうです。

参考になりましたら幸いです。

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