ナッジで伝わるプレゼンに#20:ポスター発表では、まず立ち止まらせる
【問】学会のポスター発表で、誰も聞いてくれずに寂しいです。どうすれば良いのでしょうか?
ポスター発表は「詳細なデータをじっくりと見せることができる」というメリットがあります。が、反面、誰も見てくれないリスクがあります。このため、「まずは、立ち止まってもらう」ということに特化してはいかがでしょうか?
※学会によってポスター発表の形式に違いがあります。ここでは、「演者が一定の時間、ポスターの前に立って参加者が立ち寄る形式」を想定してお話しします。
立ち止まってもらうためには、第一印象が命です。このためには「タイトル」「レイアウト」「スマイル」に重点を置くことをお勧めします。
1 タイトル
タイトルは参加者の関心に直結するものにしてはいかがでしょうか?参加者は「リサーチクエスチョンを見た上で、その先読むのかを決める」というプロセスを踏みます。その意味でも、タイトルにはリサーチクエスチョンを含めた方がよいでしょう。陳腐化したタイトルは抄録の中で埋没されることが多いです。次の問を考えてください。
どちらの演題を聞きたい?
1.食行動のナッジの取組みについて
2.どうすれば野菜が食べたくなる?:説得とナッジを比較する
おそらく、大勢の人は1の演題を見た瞬間、「聞いたら疲れそう」「得るものが少ないだろうな」と感じることでしょう。
2 レイアウト
演題が魅力的でも、ポスターのレイアウトが良くないと、参加者は足を止めてくれません。参加者は「どうせなら楽しい発表に時間を割きたい」という動機を持っています。このニーズに応えるには、ポスターは視認性が良く、立ち止まりたくなるレイアウトに設計します。ちなみに私のポスター発表は、こんな感じです(2019年行動経済学会:慶応義塾大学)。
3 スマイル
私はポスター発表の時は、相手の顔を見て笑顔で語り掛けます。隣のブースでもポスター発表しているので、声を張り上げても、ノイズになる可能性があります。にっこりと「ここを見てください」と示して、ポイントだけをお話しします。笑顔で話しかけていると、意地の悪い質問も出ないものです。
私は次回、日本健康教育学会学術大会(獨協医科大学、2022年7月)で発表する予定です。お会いできると嬉しいです。