がねこ

旅と映画と音楽好き。Nサロン3期にいた人。

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マガジン

  • Room of Essay

    つらつらと書いたエッセイの小部屋

  • #COMEMO

    日経COMEMO投稿募集に書いた記事

最近の記事

流れ星の正体 #ショートストーリー

「あーーーぁ」   呼び出された教員室から戻るなり、叫び声にも似たため息をつきながら、凌は教室の机に突っ伏した。   だらんと前に垂らした右手の先には、担任から長いお小言付きで返されたばかりの進路希望調査票が、かろうじて親指と人差し指の先に挟まれひらひらしている。 「…くっそ」   小さく吐き出された言葉が、誰もいない放課後の教室をあてもなく浮遊した。  高校3年生の秋はとにかく忙しい。   いつもなら彼も、熱心に親から勧められた駅前の進学塾へと足を向けている頃だが、今はそ

    • あれから10年、そしてこれから

      子供の頃の10年の長さと、大人になってからの10年の長さって、なんでこうも違うものに感じるんだろう。 小学校の頃は、一か月間の夏休みですら凄く長かった。長かったけど暇という記憶はない。 カブト虫を探して、虫取り網を持ち雑木林をどこまでも歩いた事とか、うどん粉をこねた餌で魚釣りをして釣れなかった事とか、ただひたすら星空を眺めていた事とか、そんなありふれた日常も、鮮やかな思い出になって残っていたりする。 それから。 夏休みは一日中プールで泳ぎまくってその締めに、銭湯上がりのお

      • #わたしたちの人生会議

        夫や私の実家に顔を出すことなく、恒例の旅行にも行かず、ひたすらステイホームをした今回の年末年始。とはいえ、時間が足りない普段の生活でやりきれていない事があれこれと積みあがっているし、大掃除もせねばならない。例年は結構頑張れるのだが、今年は何だろう、力が全くわかない。 ここ数ヶ月多忙だった仕事からの疲れと、どうやっても一向にあがらないモチベーションのせいにして、全て最低限にと片目をつぶりさらに目を細くする。 夫と子供がゲームを楽しむ間、コーヒーを片手にぼーっと時を過ごすうち、

        • クリスマスとサンタと、おばあちゃんのぬくもり

          幼少の頃。クリスマス近くになると、父は必ずホールのクリスマスケーキを持ち帰ってきた。 会社の組合の物販で安く買えるから、という理由らしかったけれど、誕生日にもお目にかかれない、真っ白な生クリームの上にイチゴとサンタクロースのシュガークラフトなどがちょこんとのったまん丸デコレーションケーキ。ワクワクしながらその箱の扉を開けるのは、末っ子の私の特権だった。 やがて切り分けられて私のところにやってくるケーキの上に、シュガークラフトのサンタがのせられているのも末っ子の特権だったが、

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        • Room of Essay
          12本
        • #COMEMO
          3本

        記事

          痛恨の前回寝落ちからの参戦!#呑みながら書きました

          そう、前回。 華麗なる朝まで寝落ちをしたのみ下記!呑み下記!のみかき! 変換できないかrもういい。 マリナさん、あきらとさん、開催ありがとうございます。 勝手に参加させていただいています。すっごい参加した語ったんです。 前回、超絶勝手にひらいみかさんの記事に共鳴して初恋と本命書くといってかけてない人('ω')ノ でも、今回はばっち起きてる!のんで書く。 今回のお題、「愚痴フェチ」 ならば、今年のことは今年にすぱっと清算したいから盛大にぐちっておきたい!聞きたくない人ごめ

          痛恨の前回寝落ちからの参戦!#呑みながら書きました

          夏霞 ー萌芽-

          君に、生まれて初めての海を見せに行こう。 海のない地に生まれた君。ならば初めて見る海は、日本一の富士山が見える美しい三保の松原の海にしよう。 旅を愛する君のパパはそう言って、君と行く初めての旅の行き先を決めたんだよ。 君はまだつかまり立ちもできない頃で。 パパとママが交代で君を大切に抱っこしながら、夏の静岡路を気ままに旅したんだ。 緑が美しい松林を抜けると砂浜があって、そのもう少し先には青い大海原。 君は目を細めて、じぃっとその風景を見ていたね。 実はその日。富士山は夏

          夏霞 ー萌芽-

          もうひとつの愛の味

          仕事終わりの金曜夕方。食材がほぼ切れた冷蔵庫のためにスーパーへ立ち寄ると、やたらとワインが全面押しになっている。 今日はええっと、11月20日。 ‥あ、ボジョレー解禁日!なるほど。 ワーママになってからというもの、巷の話題には遅れがち。あっても全然足りない時間。 そういえばゆっくり晩酌、なんて暫くしてないなぁ。 ーねえ、今日くらいいんじゃない?ー なんて、華々しいワインのラベルが誘ってくれた気がして‥ 「よし!」 食材を見る目を変え、店内をぐるっともう一周してみる。

          もうひとつの愛の味

          風のような君と -已己巳己-

          ある夏の日。初めての旅に君が準備したのは、九州の南端行きと、北端から羽田への航空券、乗り捨てのレンタカーの3つだけ。 宿無しノープラン。心の赴くままの一週間の旅は、少しの不安をバックに忍ばせ始まった。 風のように自由な年下の君。石橋を叩きがちな私。 育った世代も、環境も、考え方も違う。 何処をどう切り取っても已己巳己には程遠い、でこぼこな二人。 左肩にのせたバックの不安は、時にずしりと重力を帯びた。 旅の半ば。火の国熊本。 草千里の中にある小さな丘に登ろうという君。 疲れ

          風のような君と -已己巳己-

          五感に触れるリアルな旅をまたするために、私は今を怠らない(#COMEMO)

          11月3日。今年一番楽しみにしていたものが届いた。 大好き、いや、猛烈に好きなアーティストのツアーDVD。 開催されたのはちょうど1年前。2019年秋。 チケットの申し込みをするかしないか相当に迷った挙句、泣く泣くあきらめたあのツアー。 リビングの50インチTVは頑として息子くんが譲ってくれない。まあ、予想通り。 ならばと翌朝。早々に出社準備を整え、エンジンスタートボタンを押す。10インチのカーナビ画面をめいいっぱい綺麗に拭き上げ、宝物のDVDを丁寧に滑り込ませる。私だけの

          五感に触れるリアルな旅をまたするために、私は今を怠らない(#COMEMO)

          おにぎりでハロウィンをつくルンバ(遅刻組)

          とにかく何かと出遅れがち、忘れん坊ななわたし。 年中行事は過ぎ去った後に「あ…」と気付く質です。 そして今年のハロウィンは土曜日。 そうなると、掃除洗濯布団干しに子供の塾と、いつも以上に通常営業で過ぎ去ってしまったハロウィン翌日の日曜昼。 「おひるごはんどうしよっかー」と尋ねると 『オムライス~』 と息子くんからのリクエスト。 冷蔵庫を覗けば、ケチャップがない。ハムもソーセージもお肉のかけらもない。 フルタイムワーカーなので、平日の会社帰りにスーパーに立ち寄っていては息

          おにぎりでハロウィンをつくルンバ(遅刻組)

          栃木県が今年の魅力度ランキング最下位だというので、本当に魅力度が低いのか、栃木県民が確かめてみた。

          民間調査会社のブランド総合研究所が毎年実施している、「都道府県魅力度ランキング」なるものの2020年版が発表されました。 今年の話題はもっぱら「7年連続最下位だった茨城県がついに最下位脱出!」おめでとう茨城県。 じゃあ成り代わった最下位どこ?と見てみれば‥ 『栃木県』 って・・・ そう。 我がふるさと栃木県。愛しの栃木県! まあねー、薄々そんな気はしてたよね~。 妙に納得の反面、本当に魅力ないの!?こんないいとこなのに?そんな気持ちも湧いてきたり。 なので。栃木県の

          栃木県が今年の魅力度ランキング最下位だというので、本当に魅力度が低いのか、栃木県民が確かめてみた。

          少し未来の自分へ宛てる、なぜ書くのかのnote 《自己紹介#1》

          noteの住人になって4ケ月ほど。 で、note上の沢山の作家さんの作品を見たり、自分で本気で書こうと思うようになったのはこの2ケ月くらい。 意思を持ってnoteの中を泳ぐようになって、沢山の素敵な作品に出会ったり、作者の皆さん自らが立ち上げられている企画やサークルなどが多くあるということを知ったりと、まだまだ真新しいことばかり。 週末だけの物書きが走り始めたばかりなので、もちろん、書きたいことをつらつらと書いてきたのですが、プロフィールは正直一番苦手で手をつけず。いや、

          少し未来の自分へ宛てる、なぜ書くのかのnote 《自己紹介#1》

          2つのラブレターが教えてくれたひとつのこと

          "ブルーハーツのさ、ラブレター、聴いて。" ぽつっと、メールが届いた。 まんま、本心だから。  と。 たったそれだけの、短いメール。 もう、20年も前の話。 * 恋人ではない。 ねじれた、でも、何よりも大切だった人からの最後の言葉は、甲本ヒロトの歌声と共に、鮮やかな思い出の1ページとなっている。 そう、決していい思い出話などではない。 だからこの最後の一言が、もっと多くの言葉で飾られていたら。 メールじゃなくて、電話だったら。 今頃きっと、遠く古びて色あせた写真

          2つのラブレターが教えてくれたひとつのこと

          初恋にも本命にも出会えなかった朝 #呑みながら書きました

          明けた・・・ 東の空で今日の太陽がご挨拶しはじめてる。 今日は晴れるのね。。 アンチ発信 というかSNSってメール替わりにLINEしかしない私が、ふらりとnoteの住民になり3ケ月。 で、こんな楽しそうなイベントを発見し 絶対これ参加w!って意気込んでいたら そう あれですよ。 寝落ちとかいうやつ。 子供寝かしつけてから、しめしめ自分の時間だいえーい♪ のはずが 自分がまんまと寝かしつけられちゃうという謎の魔力 いやそれ、今日発動しなくても・・・ そう。お布団の

          初恋にも本命にも出会えなかった朝 #呑みながら書きました

          まると円盤のお月見団子

          エアコンの風がやけに肌になじまず目が覚めた。 携帯を覗くと、23時ちょっと過ぎ。 明後日のような、明々後日のような方向で、子供は静かに寝息を立てている。 窓を開け、夜風を入れようとする右腕に、 ほの白い月の光がすっと降り注いできた。 なんとなくそれが見たくなって。 気怠い体を半ば無理やり動かし、目をやると。 煌々と静かに輝く月が、随分高い。 周りには、月の光を受けて浮かぶうろこ雲。 姿の見えない虫たちが時折、あちらこちらで新しい季節を奏でている。  ー 綺麗な夜だな

          まると円盤のお月見団子

          管理職は必要かの議論の前に、日本の管理職ってやたらと仕事が多すぎたりしませんか?

          日経COMEMO、今回のテーマ企画のお題。 直球ですね。 個人的に好きです。この直球感。 このお題に対する今時点の私の考えは、 「管理職の必要性は、まず業種業態により、更にはその企業の方向性による。 管理職が必要となる場合、求める役責に対する成果を十分得るためには、業務の明確な分化専任化が必要。 現在の日本のビジネスにおいての課題は、存在の必要性ではなく、顕著なプレイングマネジャー化による管理職の業務遂行力の低下。」 だと思っています。 身近なところこらの視点になります

          管理職は必要かの議論の前に、日本の管理職ってやたらと仕事が多すぎたりしませんか?