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芙蓉歌句集

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わたくしが詠みました短歌・俳句をこちらでご紹介させて頂きます。
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2019年4月の記事一覧

いかなごの鋭き命箸を置き

いかなごの鋭き命箸を置き

四月廿九日 俳句席題演習 一時間十題十句練(実測九十分)

いかなごの鋭き命箸を置き
衣染むギンポ女将の忙しなく
食わせぬと澄ました顔や菜種河豚
春暮るる茜の影や準備室
花蘇芳といふ赤飯を鳥の食み
君の編む浜簪やこそばゆし
幼子の蟻つつきしや招魂祭
牡丹百合きみの手のひら包みたり
花山椒小さく吾を攻めよがし
石滲む傘止太夫は鈍の空

春惜しむピヤノの粒の降りしきぬ

春惜しむピヤノの粒の降りしきぬ

4月27日はヴェートーベンさまが『エリーゼのために』を作曲された日だそうでしてよ。ピヤノのお稽古ですと、まず最初の目標になる曲の一つではないかしら。飽きの来ない旋律ですからよく耳にしますわよね。
誰もが聞いたことのある一曲ではないかしら。

この『エリーゼのために』が作曲された頃、本邦は文化年間を過ごしておりまして、異国の船が次々と来航するので対応に追われて各地で事件などが起こっておりました。

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春惜しむ珈琲残して空の席

春惜しむ珈琲残して空の席

はるおしむこーひーのこしてからのせき

今日特に意味はないのですけれども、久しくお洋服を着ていない気がいたしましたので、なんとなくお洋服を撮ってまいりましたわ。

今年はすでに初夏のような気温ですから、衣替えの頃合いが難しそうですわね――。

そういえば、珈琲もお洋服の衣替えのようにその頃合いが難しゅうございますわね。わたくしはいつも珈琲は熱いものを頂くのですけれども、こう暖かな日が続きますとやは

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若蘆の一番槍と水出づる

若蘆の一番槍と水出づる

わかあしのいちばんやりとみずいづる

ごきげんよう。今日もお暑い一日でしたわね。上着を脱いでも汗ばむような陽気の昼下がりでしたわ。

ということで今回は少し涼しげに水辺の葦と撮ってまいりましたわ。七十二候「葭始生(あしはじめてしょうず)」ということで、ちょうど葭の芽が芽吹き始めまして緑豊かな水面の季節ですこと。

葦と申しますと水辺に良く茂っている植物ですけれども、わたくしはむしろ漢字の「葦」のほ

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見上げればもう一羽居り木の芽雨

見上げればもう一羽居り木の芽雨

季節が巡るのは早いもので、二十四節気も「穀雨」に入りまして次は「立夏」。いよいよ暦では夏が近づいてまいりましたわ。

ここ最近は随分汗ばむ陽気でして初夏のような気温の日もありましたから、そろそろ夏服を用意しなくてはいけないのかしら。

まだ寒い日もありますから難しい季節ですわね。

進学に花一輪の決意かな

進学に花一輪の決意かな

本日4月20日は本邦初の女子大學校、日本女子大學校の創立日ですわ。明治34年、キリスト教牧師の成瀬仁蔵さまの手によって開校いたしまして、女學生教育を牽引する存在となっております。

有名な方ですと平塚らいてう様が卒業生ですわね。けれども、平塚らいてう様、そのあと世間を騒がせた心中未遂を起こしまして、日本女子大學の同窓會名簿では「無かった」ことにされておりますわ。

大學校良いですわね。実は女學生間

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笛鳴れば流氷割るる海の底

笛鳴れば流氷割るる海の底

ごきげんよう。4月15日は、明治45年に豪華客船タイタニック号が北大西洋で沈没した日だそうでしてよ。

多くの方が亡くなられた事故ですけれども、実はおひとり細野正文さまという官僚の方が日本人では乗っておりましてその後無事に帰国しておりますわ。人生何が起こるかわかりませんわね――。

わたくし、船は良くて渡し船や遊覧船に乗るくらいかしら。船旅をした経験はありませんわね。何日も乗っていて、皆さま船酔い

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雁行けば月代見ゆる日本橋

雁行けば月代見ゆる日本橋

ごきげんよう。
4月14日は西暦1603年、慶長8年に日本橋が架けられた日だそうでしてよ。当時は木造の橋だったそうで、何度か焼け落ちた後に現在の立派な石橋になったのは明治44年になってからだそうですわ。

橋柱の銘板は徳川慶喜さまの筆によるものだそうでしてよ。
江戸と東京、過去と未来を繋ぐ橋でもありますのね。

花の雨カフェー燻らす水の音

花の雨カフェー燻らす水の音

ごきげんよう。
本日は明治21年に日本初の喫茶店「可否茶館」さまが上野に開店した日だそうですわ。わたくしもよく銀座のカフェーにお出かけすることがあるのですけれども、店内の程よい喧騒と音樂がまことに落ち着きますわよね。

ところで皆さまはカフェー、一人で行かれることってあるのかしら?

わたくしそう言えば連れて行って頂いたりですとか、お友達と一緒ですとか誰かとお話するために行くことが多い気がいたしま

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息吸へば石畳濃く花の雨

息吸へば石畳濃く花の雨

本日は昨日とは打って変わって、麗らかな一日でしたわ。やはりお天気が良いと気持ちも晴れ晴れと致しますわね。

けれども困ってしまうのが何を着ればよいのかですわ。寒暖の差が激しいですから、体調を崩さないようにしないといけませんわね。

さて、本日のお寫眞は石畳の通りにある柳なのですけれども、柳と申しますとわたくしは「銀座の柳」という言葉を思い浮かべますわ。
煉瓦の通りに柳の街路樹という取り合わせがなん

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