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午後3時の物語(童心・詩のようなもの)

午後3時の物語(童心・詩のようなもの)

初夏、照りつける太陽。

田んぼも水が温んで黒い小さなものが泳ぎ回る。

泥にくねくねと模様を描く三角を避けて、黒いものはくねくね泳ぐ。

バシャッ

《入ってない、、》

バシャッ

《入ってない、、》

僕達のチャレンジは挫けず続く。

バシャッ

《ん、?、、や、、》

黒い泥に蠢く姿。

《やった〜》

潰さず掴んで水で洗う。

『やった〜足付きの獲ったぞ〜』

バケツの中を覗きに来る頭、

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コンビニで保護した異形のもの(キモ可愛・短編小説)

コンビニで保護した異形のもの(キモ可愛・短編小説)

ある風の強い日にコンビニのソフトクリームの旗竿に(妖怪)一反木綿が引っかかっていた。

バタバタと風にたなびき、今にも破れそうだ。

生地も黄色く黄ばみ、ところどころ黒くカビまで生えている。

『あ〜ぁ〜可哀想に、、』

僕は旗竿にグルグル巻き付いてしまっている(妖怪)一反木綿を丁寧に解いて外してあげた。

もう何日もこの状態だったのか(妖怪)一反木綿は元気も無く、シワシワヘロヘロのボロ切れ状態だ

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虹色の宝物(童心・短編小説)

虹色の宝物(童心・短編小説)

太陽がサンサンと照りつける日陰のない道を、タモを持って僕らは歩く。

景色はユラユラと揺らめき、湿った髪の毛からは汗がタラリと流れ落ちる。

石段を登って神社の中を横切り、ブロックの塀に囲まれた目的の人家の横にたどり着いた。

神社から少し離れたその家は、大きな木が塀沿いに3本生えて緑のタワーを形作る。

側溝横の黒いアスファルトに緑の虫かごを置き、僕達は臨戦態勢に入った。

見上げるそのタワーに

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心躍らせる春の嵐(童心・短編小説)

心躍らせる春の嵐(童心・短編小説)

《ビュービュー、パチパチパチ》

春の嵐が家を揺する。

雨は窓ガラスを打ち、絶え間なく雨水は流れ落ちる。

窓の外を眺める僕は一人ワクワクと気持ちが高なってくる。

学校が休みの土曜日が待ち遠しい、、そして土曜日の天気は晴れでも雨でもどうでもよいのだ。

土曜日さえ来ればいいのだ。

やっと《土曜日》だ。

家族がまだ寝静まる時間に早起きして駅に向かう。

始発電車を待つ駅の、山に向かうホームに

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