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虹色の宝物(童心・短編小説)

太陽がサンサンと照りつける日陰のない道を、タモを持って僕らは歩く。

景色はユラユラと揺らめき、湿った髪の毛からは汗がタラリと流れ落ちる。

石段を登って神社の中を横切り、ブロックの塀に囲まれた目的の人家の横にたどり着いた。

神社から少し離れたその家は、大きな木が塀沿いに3本生えて緑のタワーを形作る。

側溝横の黒いアスファルトに緑の虫かごを置き、僕達は臨戦態勢に入った。

見上げるそのタワーにはいくつかの飛行物体が木を中心にクルクルと飛び回り、僕達に挑戦するかの様にたまに低空飛行を行う。

そんな挑発にワクワクして右手でタモを拾い上げ、僕達は立ち上がった。

そして僕達は一生懸命に考えた秘密兵器を取り出す。

タモの柄に取り付ける竹の棒だ。

120cmのタモの柄を150cmの竹の穴に差し込む。

合わせて270cm、更に150cmのブロック塀によじ登り、空中漂う敵の捕獲を狙う。

敵はフラフラと飛び回り、追いかけるタモを嘲笑うかの様に逃げ回る。

狭いブロック塀の上から更に上を見上げると、青い空と茶色く太い枝、そして僕達の宝物が黒いシルエットになって羽を広げた姿で浮かび上がる。

ブロック塀の上でバランスを崩し、タモを下に投げ落としながらアスファルトの上に飛び降りる。

足の裏からジ〜ンと痺れが上に広がる。

そんな事もお構い無しにタモを塀に立て掛け、塀の上部を掴んで飛び上がり腕力で塀の上に立ち上がる。

あと少し、あと少しなのに、、タモは空をきり、獲物は悠々と飛び続ける。

塀の上でバランスをとりながら、一匹の飛行ルートをず〜と目で追っていく。

ず〜と、、ず〜と、、

よし、、、ここだ!

タモを両手で持ち、身体全体を使いながら網を飛行物体に被せていく。

身体は宙に浮き、タモの網には行き場を無くした獲物がつかまり羽根をたたみだす。

《ズタッ》

アスファルトの上に見事に着地しながら、獲物が逃げない様に網を地面に覆いかぶせる。

『やった〜!獲ったぞ〜』

網の中に見える物体は全体に緑色の金属光沢があり、背中に虹のような赤と緑の縦じまが入る6本足だ。

『やった〜やった〜!とうとう獲ったぞ〜!』

虫かごに【タマムシ】を入れながら、僕の心は次のタマムシ捕獲に突き進んでいた。

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