コンビニで保護した異形のもの(キモ可愛・短編小説)
ある風の強い日にコンビニのソフトクリームの旗竿に(妖怪)一反木綿が引っかかっていた。
バタバタと風にたなびき、今にも破れそうだ。
生地も黄色く黄ばみ、ところどころ黒くカビまで生えている。
『あ〜ぁ〜可哀想に、、』
僕は旗竿にグルグル巻き付いてしまっている(妖怪)一反木綿を丁寧に解いて外してあげた。
もう何日もこの状態だったのか(妖怪)一反木綿は元気も無く、シワシワヘロヘロのボロ切れ状態だ。
さすがにこのまま野に放すのも可哀想なので、丁寧に畳み家に持ち帰る事にした。
家に持ち帰り早速(妖怪)一反木綿を床に広げてみた。
破れてはいないが、だいぶ汚れている。
早速ソ○ランをつけて洗面所で手洗いをし、洗濯ネットに入れて洗濯機のドライコースでも洗う。
その後は、軽く脱水して(1分)広げてみた。
だいぶ白くなってきたが、まだ黄ばみや黒ずみが残っている。
《白い木綿なら塩素系でも大丈夫か、、》
塩素系漂白剤○イターに(妖怪)一反木綿をつけて漂白した。
しっかりと水洗いし室内干ししてから、半乾きのときに頑張ってアイロンをかけた。
そして、再度しっかり乾かした。
今度は広げると真っ白だ。
『やった〜綺麗になったぞ!』
僕は一人ガッツポーズをして、とにかく凄く嬉しくなった。
それから3日程(妖怪)一反木綿を部屋のハンガーにかけて、元気になるのを待った。
4日目、、仕事から帰ると(妖怪)一反木綿はハンガーから離れて部屋の中をヒラヒラ飛び回っていた。
僕が部屋に入ると(妖怪)一反木綿は身体に巻きつく様に纏わりつき、右に左にスリスリしてくる。
《(妖怪)一反木綿も元気になったなぁ〜、寂しいけど、、もう自然に帰さなきゃ、、》
最後に綺麗にアイロンをかけて、(妖怪)一反木綿は真っ白のパリパリになった。
軽く四つ折りにしてカバンに入れる。
(妖怪)一反木綿を見つけたコンビニにほど近い丘の上の公園に来た。
僕は四つ折りの(妖怪)一反木綿を広げ、大空に向けて放り上げた。
(妖怪)一反木綿は一瞬風に流されながらもヒラヒラと飛び回り、2回、3回僕に近づいた後、夕日で赤く染まる大空へヒラヒラ、ヒラヒラと元気に飛び去っていった。