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85 %工数カット!話し相手の想いを視覚化し構造化できる富士通の社内実践
こんにちは。富士通で生成AI活用を推進している淺間です。
生成AIの活用範囲は多岐に渡りますが、そこにフレームワークやノウハウを取り込むことによって、より質の高いアウトプットを得られることが知られています。今回は、富士通が独自開発したインタビュー手法「AIm(Appreciative & Imaginative)インタビュー」に生成AIを組み合わせ、従業員がより高度なインタビュー内容の分析を行い業務の質や生産性を高められるようにと、社内向けに新たなアプリケーション(以下、インタビュー分析アプリ)を開発したチーム(富士通 デザインセンター 中村、井上、野川)の取り組みをご紹介します。
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今回ご紹介するインタビュー分析アプリは、簡単に言うと会議やインタビューなどで人が発した膨大な情報を分析し、7つの項目に簡潔にまとめてくれるツールです。
と、言ってもイメージしにくいかと思いますので、まずインタビュー分析アプリがどんなものか実際にお見せしたいと思います。
今回淺間が開発チームにインタビューした時の録画データをもとにインタビュー分析アプリを使ってみました。使い方は簡単で、インタビューの文字起こし結果をインタビュー分析アプリにコピー&ペーストして、送信ボタンを押すだけ。
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3分ほどで結果が返ってきました。
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今回のインタビューの所要時間は30分程度で、インタビュー分析アプリの概要や開発背景に始まり、開発時に苦労したことや工夫したこと、将来に向けた展望など、開発メンバーの「想い」を語っていただきました。
わずか3分で、7項目、約1,800文字に構造化、可視化されたデータが返ってきました。AIで単に内容を要約するだけでは、発話者の大切な「想い」が込められた部分が省略されてしまうことがあります。
インタビュー分析アプリでは、要約前に有識者視点で内容の分析が行われるため、今回出力されたデータには、マーケティング戦略やユーザーエンゲージメントの向上、技術拡張、グローバル展開などの説明や、その会話の端々から見られた開発者の「想い」についても省略されることなく明示されたのが印象的です。
さて、インタビュー分析アプリの良さを分かっていただいたところで、インタビュー分析アプリの心臓部分とも言える「AImインタビュー」についての説明です。
そもそも、富士通研究所が開発した「AImインタビュー」ってなに?
富士通研究所が2008年に開発し、一般公開した「AImインタビュー」は、顧客視点に深く根差したビジネスソリューション創出を目的に開発されたインタビュー手法(質的デザイン方法論)です。顧客の発言内容を以下7つの項目で、視覚化・構造化した上で、顧客に響く理想像やアクションプランまでをシームレスに作成することが可能です。
現状認識
エネルギー源(原動力)
価値観
強み
理想像
理想と現実のギャップと課題
アクションプラン
この手法により、表層的なニーズではなく、実際のユーザーが織り成す多様な関係性やユーザー自身が気づいていないニーズを引き出し、中長期的な視野に立ったビジネスソリューションの検討が可能となります。
「AImインタビュー」はこれまでに、保険営業職や銀行の融資・渉外職、保健師、大学教員、大学事務、小学校教員、デザイナーなどの職種などで活用され、富士通社内では個人や組織のビジョンを構造化することや、営業活動に役立てられてきました。
今回開発したインタビュー分析アプリの特長を教えて下さい
今回開発したインタビュー分析アプリは、この「AImインタビュー」に、相性の良い生成AIを組み合わせたツールです。
「AImインタビュー」単体では、データ内容を分析し手直しする工数や、経験・スキルを要することがネックとなっていましたが、有識者のノウハウを学習させた生成AI(大規模言語モデル)を組み合わせることにより、従来は人手で作成していたレポートをAIが数分で生成してくれるので、あとは手直しするだけになり、「個人のスキルを問わず」「従来の15%の工数」で発話内容の分析や文章の整理が可能となりました。
2023年10月頃から、社内の会議や車座、アンケート分析、事業企画、1on1など12のユースケースで計50件以上の検証を行いました。また、従業員が安心してアプリを利用できるように、利用規約の整備なども行った上で、翌年3月から社内展開しています。
「想定していた以上に可視化された内容が具体的で、高い精度だと感じました!」「要件を引き出すのが難しいお客様に対して案件化に向けた具体的な話に進めることができました」「1年間通っていたお客様の今までにないくらいの反応に、営業として非常にびっくりしております!」などポジティブな意見が寄せられています。
おわりに
今回、開発者へのインタビューを通じて、生成AIと人間が積み重ねたノウハウの掛け合わせにはまだまだ多くの可能性が眠っていそうだと感じました。反響次第では、今後も社内の実践的なユースケースを共有していくかもしれません!?
今後はインタビュー分析に留まらず、マネジメントやビジネス戦略など、富士通が培ってきたナレッジと生成AIの組み合わせにも挑戦していきたいと思います。
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