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愛の花束

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スキの数なんて関係ないやい。私の愛が深い作品です。
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100文字桃太郎。

100文字桃太郎。

爺さん婆さんが川に流れてた桃を勝手に拾って、そこから当たり前のように誕生した桃太郎。鬼から村を守るためとか言って、そいつは雉と猿と犬を連れて鬼を倒して宝を掻っ攫った。割と強引な話。

小さい頃は文章読むのも書くのも苦手だった。
今も得意ではない。

そんな私に親が与えてくれた宿題。

童話を100文字で説明しろ。

これ難しいね。今でも。

今の考えて書くとこんな感じかな。

死にたがりの貴方へ

死にたがりの貴方へ

未だに希死念慮を抱いていますか?

大学生の時に会った貴方はどこか寂しげでアンニュイな雰囲気を漂わせるのが上手かった。

明らかに住んできた世界が違う私達が交わることなんてないと思っていた。

それでも、貴方の雰囲気の行方を知りたくて、意を決して友達になろうと歩み寄ってみた。

案の定、拒絶され、大きな壁を作られた。
私はそれなりに人と仲良くなるのがうまい。

貴方と仲良くなりたい、というよりは攻

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部屋に薔薇は一本でいいらしい

部屋に薔薇は一本でいいらしい

よく見てください。いつものスーパーのお菓子棚の上に鯖の切り身が一切れ。

↑よく見てください。"の"の呪縛です。

よく見てください。チャームポイントの黒子から太い毛が一本。

よく見てください。お天気お姉さんの雲ひとつない晴れ空になるでしょう!と言った側から降り出すゲリラ豪雨。

よく見てください。よく見てください。あの子もあいつもあのクソ野郎もあの方も全員おんなじ顔です。

上京しようとしてい

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忘れないために私は息を吐いてるの

忘れないために私は息を吐いてるの

タバコの煙はため息と一緒に吐いてもいいし、美味しさの延長で満足感と吐いてもいいんだ。

なぜ吸うの?

忘れないためだよ。

大好きな祖父が吸ってたんだ。

私と祖父の秘密。

これはね家族みんな知らないかもしれない。

私と祖父だけの秘密。

両親が私が喫煙者だなんて知ったら怪訝な顔をしてくるんだろうな。

大好きな祖父が私の前から姿を消した時に、今までにない絶望と虚無感でいっぱいだったの。

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冬だけ会いに行くわ

冬だけ会いに行くわ

ホッと温まる朝にしたいなら冬は私が隣にいてあげるね。

食べかけのトーストが少しだけおしゃれに見えてしまうのは、それが無くなる前で、無くそうとしているのは自分だからかな。

あまりに寒すぎる朝のせいで、普段は鈍感な私も少しだけ敏感になってしまう。

冬の頭痛は厄介で、中々渦の中から出してはくれないや。

ベッドは好きじゃないんだ。
なんかさ、少しだけ敷居が高いんだよね。

神聖な場所な気がしてさ。

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キャセリーニ

キャセリーニ

あんなに長くいたのに知らないことばっかだったよキャセリーニ

歌を歌うのが嫌いだと言って頑なにカラオケデートは断っていたよね

この間君が大きな声でお風呂場でオオシャンゼリゼを歌っていたのを聞いてしまったよ

何とも複雑な気持ちでいてもたってもいられなくなったんだ

たった一節だけだったけれど、君が人前で歌う事を嫌う理由は分かったよ

僕はそんな君も愛せると思っていたのにさ

あんなに長くいたのに

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先生、息継ぎの仕方が分からないです。

先生、息継ぎの仕方が分からないです。

実家に帰らなくても心がソワソワしなくなったのは、母や祖母が作るカレーを自分の手で拵えることができるようになったからだろうか。

眠れど眠れど、食えど食えど、遊べど遊べど心が満たされないのは恋の欠如でしょうか。

鳩を見ると吐き気、
ランドセルのロックをかけ忘れていた。
首を垂れると、後片付けが面倒な色鉛筆、塊の炭、滞納していた給食費、高層ビルから見える廃れた下着、公文式の看板の前でヤニを吸うご婦人

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曖昧でも人間のふりをするしかなかった

曖昧でも人間のふりをするしかなかった

ありがとう、その気持ちすっごく嬉しいよ。じゃあまたね。

結局そいつは好きか嫌いかを答えることなくお礼だけを言ってその女の前から去った。

曖昧な返答をされてムクっと膨れるその頬が可愛らしいと思ってしまうのは、私がただの通行人Cだからだろうか。

正直言ってしまえば私たちが生きているのかさえも曖昧だろう。もしかしたら私達が口を揃えて言う"魂"とやらが"生"で、この2本足で立っているただの"肉片"が

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丸と四角の間の線になりたい

丸と四角の間の線になりたい

君の好きな食べ物今日からきゅうりに決まったから。と言われた夢を見ました。その夢の続きで奥歯が欠けた夢を見ました。朝起きたら奥歯は半分ちゃんと欠けていました。前歯じゃなくてよかったね。は情け以上の何者でもなくて目の乾燥が潤いました。

クロールは4回目のかきで息継ぎをしてくださいね。3回目で息継ぎをしたくなったり2回目で息が続かなくなったりする私には到底無理な話ですが。

足の指と足と指の意味は聞い

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私のじいちゃん元ヒッピー

私のじいちゃん元ヒッピー

おはようございます。
今日も朝がきたみたいですね。

映像が綺麗すぎる映画みたいな雲でした。
このまま固形となって私の上に降り落ちてくるのではと思い、気が気ではありませんでした。それならいっそのこと触れてみたいと思って天に手の平を翳して3分が経ちました。

人の字になって男女が電車でうたた寝。
ザッピングしながら漁るプレイリストはどの曲もしっくりこず、気がつけば職場の近くまで運ばれていました。

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4日に1回は会いに行きたいけど

4日に1回は会いに行きたいけど

心地いい春を思い出せなくなるあの日を君は私の名前で呼んでいた。好んで端に座っているつもりはないのにいつも両端に私の名前を書いてしまうのはなぜなの。所有物にいつも名前を書く君の手のひらはずっと天を向いたまんま。右目だけ隠れるその前髪を勝手に切ってみる。雨の降らない梅雨は名前だけもらって安心しているんだよ。本屋で働いているのに本は読まないんだよ僕。とタバコを吸いながら話す同業者。週に1回は村上春樹好き

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爪は伸びて割れて、また伸びる

爪は伸びて割れて、また伸びる

奥行きが果てしない時間だった。

両手では足りない愛を受ける日が来るとは思ってもいなかった。

淡白でたまに粘着質、遇らったくせに手を繋ぐ、付かず離れず傷跡が見えないようにやり過ごす、燃え移る前に鎮火。

そんな日々とはかけ離れていた。

感情が文字からしか読み取れないSNSでの執筆は楽だった。葛藤や揺らぎを完全犯罪で隠せるから。

一つの空間に直視できる文章を作る時間は非常に悩ましかった。手書き

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君に似合いそうなパンを見つけたんだ

君に似合いそうなパンを見つけたんだ

私にまっすぐな愛を向けてきた君のことをなんと呼ぶか迷っている。

私には眩しすぎる。
橙色をした君の瞳は太陽と遜色なかった。

「パン屋に行ったんだよ、今朝」

「うん、それで?」

「君に似合いそうなパンを見つけたんだよ」

「フランスパン?」

「ううん、クロワッサン、層を重ねすぎている。クロワッサン」

「理解に時間がかかる話は好きじゃないよ」

「感覚的な話だから」

「そう」

それから

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どうせなら神隠し

どうせなら神隠し

Tシャツの隙間から抜ける風が妙に悲しい夏と秋の狭間。吐く息よりも冷たくて吸う息よりも鋭い、その季節に悲しくなるのは私だけで十分でしょうか。

果てしなく続く夜は底がなくて、自分の影を追う事に恐怖を覚えて、他人の影ばかり見つめてしまう。

生を受けた瞬間から死に向かって狂ったように走って走って走って走って走って。

いつか死ぬのかもしれないと生きるよりも、いつでもかかってこいと死にタイマンを張って生

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