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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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2023年6月の記事一覧

徒然を連れて 2

 一昨日から日記を書き始めた。
 日記の中身には「もういやだ」とか「もう書けない」ばかりが目立つ。その他にも「もうやめたい」「嫌いだ」「ずっと寝ていたい」「疲れた」がある。これらは小説書きのことについてだ。

 日記にはすごい力がある。思ったことをそのまま書いても大丈夫。どんな文章でも受け入れてくれる。日記が大好きになりそうだ。日記ならいくらでも書ける。数えてみたが、一日に三十行近くは書いている。

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幸せをシェアしたい

幸せをシェアしたい

 一昨日の朝。虹が見えました。

 虹は雨上がりや晴れ間に雨が降ると現れますが、現れる場所は太陽と逆の方向になります。この知識を覚えておくだけで、虹を見つけやすくなります。

 昨日の仕事場。四葉を見つけました。

 蝶々のような形をした四葉でした。とても可愛かった。その日は母からフルーツカスタードを貰えたのでラッキーな日でもありました。カスタードクリームが美味しかった……また食べたい。

 以上

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徒然を連れて 1

 人付き合いをしていて、否、本当に人間関係があったかどうかさえも怪しくなり始めて、孤独を感じている今日この頃。いつものごとく布団の上で衾を被って寝転んでいる。土日はいつも予定は無く、特に暇な日だ。暇な時間に出来ることは山ほどあるが、やりたくない。そんな気分じゃないからだ。色んなことを後回しにしてごろ寝している。そんな生活。

 そういえば昨日にサプリメントを買ってきた。お金が底を尽きようとしており

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残喘の喞ち言《ざんぜんのかこちごと》

 山に舂く、斜陽を愁う。
 何故こうも哀しくなるのでしょう。

 死に花を咲かす人生をと、そう思って今まで生きてきたのだが、見事に咲かせる魂も無く、慚愧がこの身を喰らうては、ただ蠢爾たる芋虫の如く、終日と、衾を被って生きている。
 そろそろ文反故をどうにかしなければならないと思いつつ、間がな隙がな心の奥処にある芥に惑溺して、ただ時間を駄目にして過ごしていた。
 其の瘠軀は貧窶にして不如意。全くの懶

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小説の埋葬

 ある男はお茶を飲みながら考えていた。
 読まれない作品は何処へ行くのか。それは、きっと、ガラクタの山の一部となるのだろう。自分一人だけで作った山もあれば、人と一緒になって作った山もある。日の目を見ることも無く、埋もれていく。読まれない作品は誰の目にも触れることなく、作者の元で静かに埋葬されていく。
 彼の作品もそうであった。誰にも読まれることがなく、誰の目にも止まらず、悲しい思いに暮れる日々を過

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文字という絵

文字という絵

 私が書いた小説『花緑青色の遺言』の後半の記述について、書いておきたいことがある。

 花緑青の画家が最後に描いた絵が遺言であるという箇所。文章には絵と書かれてあるのに遺言とは、おかしいぞと思った人も多いだろう。(言ってしまえば読む人が少ないので、そう多くもないが。)その箇所についての弁解のようなものを今回は書いていきたい。

 私が遺言を絵として文章内に入れようとしたのには理由がある。私は花絵文

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花緑青色の遺言

花緑青色の遺言

 昔、花緑青の画家と呼ばれる男がいた。
 彼はパリスグリーンと呼ばれる人工顔料だけを用いて、キャンバスに絵を描いていた。描かれた絵はどれも抽象的な模様ばかりであった。その為かどうか、絵は全く売れずにいた。
 彼はこの色の虜となっていた。初めてこの色に出会った時に、何も言わずに一目惚れをしてしまった。この色こそ自分が求めていた色だと、人生の全てを賭けていた。キャンバスの上を走り出した筆先は、今日も輪

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祠より、人の世へ。

 朱殷色に染まる雨に、地に、何思う。世は末。阿鼻地獄と化したそれは誰の仕業か。人々は、神が人世を見捨てたと吼えていた。アイツのせい、コイツのせい、と宣って罪を塗り重ねては断罪し、また残った者同士でのいがみ合い。ここに赦しを持つものは存在しない。それ故の地獄絵図。
 小さな祠に祀られし神は、修羅場を覗いて安堵した。嗚呼、これこそは《人の世》であるが故の出来事である。神の世にはない出来事。ここは人の世

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