ベンジャミン・フランクリン著、青木仁志編訳(2017)『弱さに一瞬で打ち勝つ 無敵の言葉』株式会社ライツ社
自己啓発本の原典ともいうべき本
実は以前にもベンジャミン・フランクリンのエッセンシャル版を読んだことがあるけれど、積読本の中にも埋もれていて、つい先日発見したので、読んでみた。
「Time is money.」は有名だけど、本書は最初のページをめくると、自分の頭に投資することが最高の利子を生む主旨の言葉で始まっている。わたしもこの主旨の言葉を、ある作家の書いた本から真似、社会人になったのは高卒でしたが、以後働きながら大学、大学院と進学し、学ぶことが楽しくなり、結果的に現在に至って、その利子が大きく自分の人生を変化させてきた…
本書で扱われている数々の言葉は、現代の自己啓発本でも繰り返し語られていて、つまりはこの本のエッセンスが今もなお多くの人達のやる気を支えているとも言えるのかも知れない。それだけに何度読み返しても、その都度、新たな思いや新たな観点、新たな考察を読者に与えてくれるように思う。
そして「勤勉は幸運の母である」から名言集の始まりである。これには人の一生の豊かさの違いは、求める心の強さの違いと解説してある。そして「無知はコスト」、無知ほど大きなことを言うことが出来るし、言ったことに責任すらもたないだろう。知れば知るほど人間はその奥深さを知ることとなり、自然に謙虚になっていくものではあるが、現実にはそれと異なる行動をする人もいる。そんな時は、その人の有名度合いや職位の高さ、影響度等を多くの人が素晴らしいと感じていても、自分の尺度としては無知なところが多い人という認識でみてみると、納得感がでてくるというものかと…
本書はこれらの名言を、人としての基本(「勤勉」と「美徳」)、人間関係(「発言」と「感情」の管理)、金持ちの条件(「時間」と「お金」の管理)、リーダーシップ(「選択」と「使命」の管理)、自分を鍛える(「甘え」と「弱さ」の管理)、生き恥を晒さない(「欲」と「プライド」の管理)という切り口で整理して展開されている。
じっくりと自分の頭で吟味しながら読み進めると、どれもが至極の名言であることに気づき、良い頭の体操になるし、読後のすっきり感も味わえる。本書の解説も簡潔な文書で構成されているので、短い文書でその意図することを読者に理解させるという点からも要点を絞って伝えるためには、どのように言語化するのかという観点からも勉強になった。
また、何年か経過後に再読すると、新たな気付きに出会えるのかも知れない。