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発達障害女性にとっての「カモフラージュ」とは?

■発達障害女性の「カモフラージュ」にはどんな意味があるのか?


Ⅰ.発達障害女性の「カモフラージュ」問題

近年
発達障害女性の存在が知られるにつれて

発達障害女性への理解や支援の関心も
広がりつつありますが

「カモフラージュ」の問題
立ち塞がってきます。

発達障害女性が特性に気づかれにくい要因に
深く関わっていると言われている
「カモフラージュ」。

今回は

  • 発達障害女性にとっての「カモフラージュ」

  • 発達障害女性の「カモフラージュ」の特徴

  • 発達障害女性を取り巻く環境の複雑さ

この3点を中心にお話ししていきます。

Ⅱ.発達障害女性にとっての「カモフラージュ」とは?

「カモフラージュ」は

発達障害女性にとって
定型発達の世界で生き抜くための
生存スキルの一つ
と言ってよいでしょう。

ですが女性当事者にとって
発達障害である<本来の私>を隠し

「普通の人のふり」をしながら
生きなくてはならない
という苦悩に繋がります。

普通の人としての<外側の私>が
認められれば認められるほど

発達障害当事者としての<本来の私>が
出づらくなり

二つの<私>の板挟みに苦しむようになります。

また<本来の私>が否定されていると
被虐的に感じる
ことも少なくありません。

発達障害としての<私>と
普通の人としての<私>に苦しむ

カモフラージュすることで
定型発達の世界に馴染もうとする一方で

自分自身のメンタルにも
ダメージを与えてしまう諸刃の剣であるため

カモフラージュすることの問題は
女性当事者共通の苦悩と言えます。

Ⅲ.カモフラージュにはどんな特徴があるの?

発達障害女性のカモフラージュの特徴には
主に以下が挙げられます。

  • その場その場の状況に応じて、自分本来の姿はなるべく隠さなくてはならないという<仮面>としてのカモフラージュ

  • 外国語を学ぶように他人とのつきあい方を学び、観察して模倣する<翻訳>としてのカモフラージュ

カモフラージュは「仮面」

また発達障害女性のカモフラージュには
7つの特徴があると言われています。

❶男性よりも、周囲との関係性を希求する傾向が高い。

❷「受動型」の場合には、特に「普通のような」振りを維持する傾向がある。

❸適切な支援や支援が十分でないために、「普通のような」振りから「自閉症の肯定的側面」へと切り替えるスキルの獲得が難しい。

❹その結果、「自己評価」の低下から不安症や抑うつなどの内在化障害を併発しやすい。

❺しかも、感覚障害が強い場合には、併存症のリスクが高くなりやすい。

❻特定の趣味や興味を持つことや、自分の生活リズムを維持することで現状を乗り切ることはできる。

❼ただし、主体的に将来展望のある対処方略を獲得するために重要になる身近な女の子・女性モデルの存在や家族・周囲の理解を得ることが難しい。

『続・発達障害のある女の子・女性の支援: 自分らしさとカモフラージュの狭間を生きる』p11~p12

発達障害女性にとって
カモフラージュすることは

「普通の人」としての
仮面を被るようなもの
ですが

他人との付き合い方などを
観察する目的
でもあります。

ですが長年のカモフラージュの結果
どんどん素の自分を見失っていく恐怖
発達障害女性は抱えてしまうのです。

私の場合
人前でなるべくおかしく思われないよう

「おとなしい人」として
振舞うことが多い
です。

その間は
無意識に神経を張りつめやすいので
大体ぐったりします…

Ⅳ.発達障害女性を取り巻く環境の複雑さ

次に発達障害女性を取り巻く
環境の複雑さについて考えていきます。

私達が生きる社会は二重構造になっていて

❶男性中心の価値観
❷定型発達の女性の価値観

がそれぞれ多数派を占めています。

それぞれの環境で求められるスキルなどに
発達障害女性は振り回されやすいです。

日本社会は元々
「健康な男性の論理」で成り立っている
社会システムです。

この社会構造での発達障害女性は
「一人の女性」として社会に適応しよう
カモフラージュする傾向があります。

また女性はどうしても
家庭・学校・社会において
女の子らしさを求められる
傾向があります。

ですが発達障害女性は
女性としての性役割を理解しづらいことから

「女の子だからダメ」と言われても
何故なのかすぐに理解できず

また振る舞いや言動などが問題になりやすく

「女性らしくない」
「どうしてみんなと同じようにできないの」「一人だけ偉そうにして」

と周囲から反感を買われることも
少なくありません。

カモフラージュの問題は男性以上に
女性を取り巻く社会の二重構造が
強固に影響しているのです。

「男性中心+定型発達の女性の価値観」
という二重構造が
複雑に絡み合っていることから

発達障害女性は

「発達障害としての自分」を表に出せず
がんじがらめの状態に陥りやすい

と考えられます。

■参考書籍

『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』

『続・発達障害のある女の子・女性の支援: 自分らしさとカモフラージュの狭間を生きる』

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