『アンチ・オイディプス』の雑な感想② レンツ
『アンチ・オイディプス』冒頭で引用されるビュヒナー「レンツ」を読んでみた(岩波文庫の岩淵達治訳)。自然描写が多く、主人公レンツの目に映るそれらが印象的だ。物語ではレンツの狂気が深まっていく様が描かれていくのだが、そもそもレンツ独りが狂気を孕んでいるというより、作品世界全体が何か神懸かり的である。例えばレンツの世話をするオーベルリーン牧師や、レンツがオーベルリーンを見送った後で迷い込んだ小屋にいた少女(映画『エクソシスト』に出てきそう)など。私が読む限りでは、登場人物中にいわ