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逢いたいって想う気持ち

逢いたいって想う気持ち

「宝物が消えた日」一瞬だけためらったあと、ゴミ箱に放り込んだのは、タオルと青いシャツ。それと彼女がくれた何通かの手紙。

「あとは・・・」

寂しそうにぶら下がっている小さなフライパンと、おそろいのマグカップをそっと段ボールに詰めた。

どれも彼女と一緒にいたときに生まれた大切な宝物だった。

初めて彼女が僕にプレゼントしてくれた、真っ白いタオルと青いシャツ。

(きっと似合うと思って)

そう言

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別れた人との歩き方

別れた人との歩き方

「いったい何個目だっけ? お前にスマホケース渡すのって」

俺はそう言いながら、カウンターの端っこでスマホを凝視している女性に、持ってきた紙袋を差し出した。

「お、待ってたよ」

そう言いながらも、その視線は画面を見つめたままだった。

隣に座った俺が飲み物をオーダーし終わるころ、やっと顔をこっちに向けた。そして、その手は紙袋の中に突っ込まれている。

「機種変更したんだけど、自分のスマホの種類

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アナタの彼氏は私の元カレ

アナタの彼氏は私の元カレ

「それってアリなの?」

いいのかな?

それが最初に思ったこと。

私の目の前に座っている男は、美味しそうにパスタを頬張っている。その姿を見るのは久しぶりだったけど、あれから何も変わっていない。

あいかわらずよく食べるし、きっとこの後に甘いものをオーダーするに違いない。

「で、誰かを紹介しろって?」

「うん、誰でもいいってわけじゃないけど。一番俺のこと知ってるだろ?」

そんな会話をしてか

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悪魔と交わす約束も、私はきっとためらわない

悪魔と交わす約束も、私はきっとためらわない

その人の為だったら、腕の一本や二本、喜んで差し出すことができた。

自分のすべてを失うことで、その人の未来を守れるとしたら、そこに迷いなんかなかった。

そんなふうに思えるって、誰かを本気で愛した証。そして、それに必要だったのは覚悟。

だけど、私の愛した人はもう近くにはいない。

悲しくて、切なくて、立ち上がれなくなるほど泣いた。それでも彼が戻ってくることなんかない。

私は窓の外に降り続ける雨

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復讐はデートのあとに

復讐はデートのあとに

あっけない終わり方だった。

4年も付き合ったのに、別れるってなったら、それまでどんなに長い時間を過ごしていようが関係ないんだっていうのが嫌ってほど理解できた。それくらい、あっさりとした別れ。

どうして私がフラれるの? なんで別れなきゃならないの? そんな気持ちなんて一切あなたには伝わらない。

私が涙を流しながら、寝られない夜を過ごしているときも、彼はきっと何も考えずにぐっすり寝ているんだろう

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きっとアナタをまた騙す。

きっとアナタをまた騙す。

私が男だったら、きっとろくな人生を歩けなかった。女に刺されるか、気がつけば独りぼっちで死んでゆく。そんなところ。

でもラッキーなことに、私は女に生まれた。それも、そこそこのルックスで。そして、それは自分でもわかってる。

笑っていることさえ忘れなければ、チヤホヤされる。それが居心地がいいんだから仕方ない。恋人だった男たちは、みんな私とヨリを戻したがる。

今でも好きだよ。もう一度付き合いたいって

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寂しくて、切なくて。そして、最後は悲しくなった物語。

寂しくて、切なくて。そして、最後は悲しくなった物語。

何の前触れもなく、スパっと気持ちを断ち切られたような別れ方。ただ、私はこんな日がいつか来るだろうと思っていたから、傷つく準備だけはしていたつもり。

それでもやっぱり、今までそばにいた人がいなくなってしまうのは寂しかった。別れた理由なんて、どうでもいい。心変わりは仕方ないから。

恋人同士でいる最後の瞬間まで、彼のことを好きでいたかったし、自分の中でとっても大切な存在を失うことの寂しさも予想はでき

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君の未来に僕はいる?

君の未来に僕はいる?

彼女が流した涙の理由がわかったのは、少し後のことだった・・・

僕と彼女の出会いは、どこにでもある平凡な毎日の中で訪れた。当たり前のように流れる時間の中で生まれた、特別な時間。

お互いに惹かれ合うまでは本当に一瞬だった。そこには、なんの戸惑いも躊躇もなく、二人の距離はどんどんと近づいていった。そんなある日。

僕と彼女は昼下がりの公園を歩いていた。しっかりと手をつないで、同じ速さで。すると彼女が

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僕の覚悟と彼女の戸惑い

僕の覚悟と彼女の戸惑い

「彼女のそばにいよう」

僕はそう決めた。

何事もなく過ぎていく毎日の中で、一滴のしずくが落ちたあの日。

僕と彼女は、別々の時間を過ごし、違う景色を見る。そんな仲になった。

それでも、毎日のように来るライン。「おはよう」の一言で終わる日もあれば「今日は何してる?」と、予定を聞いてくることもある。何してる?のあとは、読まなくてもだいたいわかる。ランチしよう、買い物に付き合って・・・ほとんどはこ

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二度と戻らない気持ちを追いかけて

二度と戻らない気持ちを追いかけて

自分のほうが立場が上だと思っていた。

彼女の方が自分のことを大好きで、なんでもしてくれたし、頼み事だって、いつも笑って聞いてくれた。

だから、僕はいつの間にか、そんな彼女に、いや彼女の気持ちに甘えるようになってしまった。そして、いつしか「この人は自分から離れていくことはない」なんてことを平気で思うようになっていった。そんなことは、絶対にありえないのに・・・。

その日、テレビを見る僕の後ろで、

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薄れていくキミへの想いと、寂しさの分岐点

薄れていくキミへの想いと、寂しさの分岐点

ずっと一緒にいたキミは、もう違う場所へ行ってしまった。だから、毎日の中で、必死で寂しさに慣れようとしてがんばってみた。

だけど、それってなかなか難しくて、どんなシーンにいても、ついついキミのことを思い出してしまう。

一方的にフラれたから、別れたことを引きずらないわけがない。本当は今だってキミのことを心のどこかで想っている。そして、それは自分が一番わかっている。

いろんなことをきっかけに、キミ

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悲しいのは、アナタがいないから・・・じゃなかった・・・

悲しいのは、アナタがいないから・・・じゃなかった・・・

少し前からなんとなく気がついていた。アナタの気持ちが、どこか他の場所にあるってこと。

優しくしてくれないとか、近くにいてくれないとか、そんなわかりやすいことじゃない。

だから、自分が想像する通りの結末が、近いうちに訪れるだろうからって、必死で身構えていた。

「ねぇ、もしかしたら、他に好きな人ができた?」

彼は少しだけ私の顔を見てから、こう答えた。

「うん、気になる人はいる」

その言葉を

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僕が彼女だけにすること

僕が彼女だけにすること

一番大切なものはなんですか?

こう聞かれたら、迷わず「彼女」と答えるだろう。

じゃあ、二番は何ですか?

「自分」

これも間違いない。

親とか友達とか、仕事とかお金とか、大切なものはいっぱいあるけれど、僕にとっては、そういうものと比較できないのが彼女という存在なわけで・・・

「名前」

僕はラインでも電話でも、必ず彼女の名前を最初に呼ぶ。ラインなら「おはよう」「お疲れ様」「おやすみ」なん

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