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【子の読書】本を「買う」ことでしか起きない奇跡がある―最初は借りても「気に入ったら買う」「家にある」のすごい効果

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本屋にふらりと立ち寄って
ぶらり歩いて手にした本は
表紙・手ざわり・においと共に
いまもむかしも根を張り心(ここ)に
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 子どもの読書を願うパパママさんのヒントに少しでもなれたらと思い、これを書いています。

【子の読書】シリーズ前回はこちらから↓↓↓
「10冊から3冊選ぶ」リピートで「好きな本」だけじゃなく「好きの本質」が見えてくる

「家の本」の気軽さが読む気を支える

 
 子どもに本を、と試行錯誤してきたなかで自分なりに得た結論は、「家にそれなりの冊数がいつもあること」「最初は借りても(子どもが)気に入ったら買うこと」が重要という、おそらくとてもシンプルなものでした。

  読書の筋肉をつける過程で子どもは同じ本を何度でも読み返しますし、家にあるからこそ「読もう」という気が起きることも多いです。

  ――と、言うとたまに仲良しのママ友さんから「え~っ」と渋い顔をされます(笑)。
 
 確かに本には借りるという手段があるだけに、そう思うのもよくわかります。もちろん図書館は素晴らしい施設ですし、「借りる」をやめるわけじゃない、という前提でお話するのでご興味のある方はおつきあいください。

「文章読むのが面倒くさくない」習慣を手に


 読書を習慣にするのは、言い方を変えると「文章読むのが面倒くさくない」という状態や習慣を子ども自身が身体的な感覚として手入れること・・・だと思います(これは学習面でも強みになります)。

 土台になるのは家の環境なので、そこで「買う」と「借りる」に大きな違いが生まれます。私が図書館通いで子どもの「好きな本の傾向」を把握した後、かなりお世話になったと感じるのは家の本と本棚で、恥をしのんで言えば整頓が苦手な我が家では「なんかそこら辺にころがっている本に手を伸ばす」という気軽さが子どもの読む気を長らく支えきたと思うのです(片付けたほうがいいです)。

先にデジタル漬けになると読書へのハードルが上がるのでご注意を…

「買う」と「借りる」はどう違う?

 
 ではもうちょっと具体的な話を。
 本を借りたらいずれ返しますよね(当たり前)。図書館なら平均2週間でしょうか。すると気分や時間の問題で読めなかった場合、「読まなかったのに返却の手間」が生じます。そしてまた、友人や知人から借りた本の場合は「ごめんね・・・うちの子ちょっと読めなかったみたい」と、親としてひと言添えて返すこともあるでしょう。

 これ、重なるとけっこうなストレスだと思いませんか?

 もしかしたら返却期日が近づくと「せっかく借りたんだから〇日までに読んでね!」と言ってしまうかもしれません(言ったことあります)。すると子どもにとって目の前の本は「読む義務のある本」になってしまい、これは楽しくない。

 読書ってストレスを抱えながらするものじゃないんです。

 「せっかく借りたのに読まなかったね・・・」と子どもに言うのもやめたほうがよくて、これは親子間で本に関するネガティブなエピソードをひとつ作っただけ、になってしまいます(もちろん言ったことあります・笑)。読めなかった本についてはあまり触れないほうがいいでしょう。

 その点、家の本なら期限や義務はないですよね。
 親も「もしかしたらそのうち読むかも」とどっしり構え・・・ざるを得ない状況で、本の視点からするととりあえず本棚から子どもを温かく(?)見守っている状態。だからと言って読むとは限りませんが、家になければその本を読む可能性はほぼ0パーセント

 ちなみに「図書館や図書室通いで本好きになった」という人もちろんいると思いますが、それは親が頻繁に連れて行ってくれたり、小学生以上でも自分から積極的に足を運ぶ子の場合でしょうから、万人に当てはまる条件ではないと思うんですね。

「家の本」のように気軽に扱える物のほうが子どもは親近感を覚えやすいという点も

子どもにとって本は知力以前に「愛着」


 小さな子どもは本に対して「知識を与えてくれるもの」という認識がないので、自分から手を伸ばすとしたら「読んだら面白かった」という実感の積み重ねでしかない。その点はオモチャと一緒ですが、文字や文章が読めるようになると好みの物語や内容にワクワク感を覚えるようになってきます。これがスタート。

 ところが大人側の「本は賢くなるもの」という意識が強いと、「借りて読んで内容を認識したら手放しても問題ない」と思ってしまうことがあるんです。同じ本をもう一度借りたりはしなくなる。これ、すごくもったいないんですよね。個人的な実感ですが、「自分自身が本に愛着を持たずに育った」というパパさんママさんと話していると、これを感じることが多いです(違ったらごめんなさい)。

 「それ、もしかして自分かも・・・」という方がいたらぜひ信じて欲しいのは、子どもにとって本はまず愛着を感じるもの、ということ。

 たとえば友人家族の家で「このオモチャいいな、うちの子にも・・・」と思った時、オモチャを借りて遊ばせた後に2週間で返却するという人はほぼいませんよね(数年後に成長して手放すのは別)。毎日飽きるまで遊んでほしいと考えるはずで、それは本も同じなんです。

「読んだら急に読書に目覚める奇跡の1冊」は、ほぼない


  「おすすめの本は?」「子どもにどんな本を読ませたらいい?」とはどんな親でも考えることですよね。私はこの話題が出る時、仲の良いママ友さんには「おすすめはあるにはあるけど〝それを読んだら急に読書に目覚める奇跡の1冊〟はたぶんないから、特定の本に過度に期待しないほうがいいよ」と答えて、「え~っ」と苦い顔をされます(笑)。
 ・・・すみません。

 でもこれは実感で、打率の高い本は確かにたくさんあるけれど、子どもって本当にそれぞれだから、どんな名作も響かない子は響かない(おすすめ本の否定ではないですよ)。
 
 なので代わりにこう提案します。
 「親が奇跡の1冊を探してる間に子どもは暇でゲームや動画のほうにいっちゃったら残念だから、とりあえず〝それなりに良さそうな10冊〟をまず本棚に並べちゃおう!」と。

 であれば、メディア等で紹介されている本や、店頭でビビっときた本を集めればいいので選書も気楽です(私は予算が乏しい時は古本屋で10冊位ずつ買っていました)。
 
 それが「世界的ベストセラー」なのか「ママがビビっと選んだ本」なのかは子どもには関係ないので、気になった本をその時々で手に取るでしょう。

 たとえ大人が仕掛けた環境であっても、子ども自身が「自分で選んだ」と感じられれば自主性に繋がりますし、読んでイマイチでもすぐ「次の本」を手に取れる気軽さも大事。定食屋のメニュー(!)と一緒で、本もたくさんの中から選ぶのが楽しいんです。
 
 ちなみに、「たまたますごい1冊に出会って読書の世界に引き込まれた」という人って確かにいますよね。けれどそれは大半が中高生以上かなと思うんです。自我が確立されていない子どもの場合はその縁や運にかけるより、もともと本が身近という環境を用意してあげたほうがずっと近道。その延長線上にすごい1冊との出会いだってあるかもしれませんよね。
 

どの本が子どもに好影響をもたらすのかは親にもわからなかったりする

「読んだ本」か「読まなかった本」かは親の時間の概念次第


 ここで我が家の話ですが、私がおすすめした『ハリー・ポッター』シリーズを長女が全巻読破したのは小学4年生の時でした。なんと、「この本いいよ~」と全巻本棚に並べて(さりげなく)宣伝し始めてから4年目くらいの出来事。その間長女はいろんな本を読んではいましたが、決定的な「大好き」に出会えずにいたんです。

 その前年、3年生の時に第1巻のページを一度めくったものの、その時の気持ちにうまくハマらなかったのか途中で断念。「そのうちまた読むかも」と見守っていると、翌年になって突然「やっぱりこれまた読んでみる!」と本棚からひっぱり出してきたのです。ゆっくり届いていたんですね。

 その日から、本当に魔法がかかったかのように寝ても覚めてもハリー・ポッターを読み続けた数カ月間は、親にとって、と言うより彼女の人生にとって宝物のような時間だったと思います。

 読み終わった最終巻を抱きしめて「ハリー良かった!」とジャンプしていた目の輝きは、今でも忘れられません。挿絵もほぼない状態を気にもせず夢中で読むようになった時、読書の筋肉が確かについたと感じました。
 
 そして私は思ったのです。

 おすすめしたのに読まなかった時、「もういいよ」とムカついて子どもの本棚から撤去しなくて良かった! (笑)

 「なんで読まないの? 面白いのに」と怖い顔でゴリ押ししなくて良かった!(笑)

 そんな誘惑は何度もありましたが、家の本棚にある本は子どもが来年、さ来年、いや5年後とかに読むかもしれない本なんですよね。何歳で読んでもいいじゃないの、と焦らないことが生んだ結果なのでした。

子どもの本棚が家にあればふとした時に手を伸ばすかも…小さくていいんです

シリーズものを揃えると子の読書の強い味方に

 
 どの本に夢中になるかは子ども次第ですが、シリーズものはハマると2巻、3巻・・・と一定のスピード感で読み進めることができますし、選書に悩む親の強い味方にもなります。

 本に限らず子どもは成功体験のあるものに手を出しやすい性質があり、一度気に入った主人公や世界観の物語なら読むハードルがぐんと下がるんですよね。

 なので、1巻を読んでいるうちに3巻位まで家に用意しておくと、熱が冷めないうちに「はい次!」と渡すことができますし、子どもも「う、うん」となんか勢いに押されて読んでしまったり(笑)。中だるみの時間をつくって、もういいやと子どもの興味が薄れてしまわないうちが勝負です。

 まずはいろんな人気シリーズの第1巻を試してみるのも良いですよ!

読んで心が満たされる感覚を…味わってほしい

 
同じ本を何度でも読む、そして本が好きになる


 そして基本的には図書館で、というご家庭も、子どもが気に入ったり何度も読みたがる本は買ってあげたらいいなと思います。

 その時は決して「またこの本?」と言わず、「本当に好きなんだね」「どんなところが面白いの?」と声をかけてあげたら、きっと笑顔が見られることでしょう。

 ーー家にある本、本棚の本、買ってもらえた本。

 ふとした時に手に取って、「前に読んだ時は気づかなかった・・・」と物語の深みやエピソードの繋がり等に気づくことがあれば、それが子ども自身の成長の証(あかし)。 

 「本を与えられた子ども」から、「立派な読み手」に成長していく過程を、1冊の本や本棚は見つめています。

 何十冊、何百冊読めることも素晴らしいですが、同じ本を読み返せるのもすごく意義深いこと。家に本があるってそういうことかな、と私は思います。

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

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子どもが本を身近に感じ
手に取り読んでワクワクもらう
それにはやっぱり紙の本
一緒にだって眠れるよ
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家の本はのんびり読めるわん


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