科学的にみた速読
臨床医の森下(仮)です。
※一部改変して編集しようとしたら消えてしまったので再投稿になります。
スキをつけてくれていた皆様大変申し訳ありません。。。
前回と前々回の投稿記事ではキシと対談形式でオススメ本をご紹介しました。キシが紹介してくれた本をさっそくポチって購入したのですが、
なかなか読む時間がとれません。。。
そんなときいつも「もっと早く読めたらなあ」と思ってしまいます。
今回はそんな速読について科学的に調べた研究があるのでご紹介したいと思います。
1. どんな研究?
すでにご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
たくさんのサイトで引用されているほど有名なものです。
はたして速読は万人に可能なものなのか、以下で紹介していきます。
ご紹介するのは2016年にカリフォルニア大学の研究チームが、過去に行われた速読についての研究をまとめました。
結論から申し上げますと
「早く読むことと内容を理解することはトレードオフの関係にある」
ということがわかりました。
これを説明するために
・眼球運動の訓練や周辺視野を拡大させると速読できるのか
・頭のなかで読むことをやめれば速読できるのか
・もどって読むことをやめれば速読できるのか
ということが調べられました。
以下で詳述していきます。
2. 眼球運動の訓練や周辺視野を拡大させても速読できない
眼球運動や周辺視野を拡大させると謳われたトレーニングを受けた被験者と、そのようなトレーニングを受けたことがない被験者を比較したところ、点数は変わらなかった。
むしろ速度を上げれば上げるほど理解度は低下した。
眼球の動きを早くしても周辺視野を拡大させても人が単語を見て理解する速度には制限があるようです。
いま現在もこれを読んでいる方々は無意識に
①単語を見る→②理解する→①単語を見る→②理解する →・・・
と、①と②を繰り返して文章を読んでいます。
しかし、どれだけ早く単語を見ても「②理解する」で時間を要してしまうのです。
つまり、眼球運動を早くしたり周辺視野を広げて一度に見える単語数を増やたりしても、理解する前に次の単語を見てしまうと②は行われず、新しく見た単語の理解が始まってしまいます。
では、②理解する、はどうすれば早くなるのか。
「見慣れた単語の理解は早く、見慣れていない単語の理解は遅い」
ということが分かっています。
では見慣れた単語を多くするために何をすればよいのか。
多読です!
似たような種類の本を多く読んで、使われている単語や用語に慣れるしかない!ということです。
多読したいから速読したいのに!と思っている方も多いと思います。
残念ながら多読を避けて速読には至れないようです。
3. 頭のなかで音読をやめても速読できない
読書をしているとき頭のなかで自然と音読していませんか。
頭の中の音読をやめればもっと早く読むことができるのでは?と思ったことありませんか。
頭の中で音読することを内声化といいますが、
内声化をなくすと理解度が低下してしまいます。
読書の際に内声化を促すグループと内声化をさせないグループに分けて比較したところ、内声化を制限されたグループは読む速度は早く、簡単な文章では理解度は低下しなかったが、少し複雑になると理解度が低下した。
頭の中の音読を制限するのは難しいように思えます。
実験では内声化を制限するために、被験者には無関係な単語や音を繰り返し発声させるよう指示して内声化を制限していました。
少し想像するとお分かり頂けると思いますが、
他のことをしながら読書をさせる実験に無理があるような気がします。
そのこともあってか内声化については未だ結論が出ていません。
今後の研究が待たれますがいまのところ
速読のために内声化をやめることは理解度が落ちるためオススメしない
というのが現時点の見解です。
4. 戻って読むことは理解の助けになる
読書しているとき1-2行前に戻って読み返すことはありませんか?
文章が複雑になると文章を読み返すことが多くなりますよね。
読み返したい気持ちを我慢して読み進めるべきなのでしょうか?
読み直したい気持ちを我慢する必要はありません。
むしろ読み直すことは理解の助けになります。
読み直したいという気持ちは、文章の理解度が低下してきたことのサインのようです。時間が許すならば読み直したほうが良さそうです。
5. 結論
速読するために多読する必要がある
最初の読書は早くなくてもいいから理解するようにしましょう!
急がば回れ、千里の道も一歩ずつということでしょうか。
前回の記事でキシが紹介してくれた「新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術」を購入したのですが、これを早く読むためには周辺の似たような本を読まなくてはいけません。私の千里の道が始まりました。