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#全文公開 BBC制作テレビ番組「シェークスピア劇場」のおかげ [#好きな番組](1853文字)

私の記憶に残る番組、私の人生を変えてしまった番組というと、思いつくのは、ちょっと古いですが、BBC制作、日本ではNHK放送のテレビ番組、「シェークスピア劇場」です。

「シェークスピア劇場」は、私が物心ついてから初めて、主体的に自分で選び、親にお願いして、特別に観せてもらったテレビ番組です。

シェークスピア劇場
放送年度:
1980~1986年度
シェークスピアの全劇作品をテレビ化することで、世界中の人々が容易にシェークスピアに接することができる文化財とすることを目指し、BBC(イギリス放送協会)が制作したテレビシリーズ。イギリスでは1978年に制作を開始し、全37編を6年計画でテレビ化。総合では2か国語放送で10作、教育では字幕スーパーで全37作を放送した。(カラー/総合2か国語、教育字幕/イギリス/原題: The Shakespeare Collection)
原作:W・シェイクスピア 作:ジェイムズ・タイラー&ロンドン・アーリー 脚本:アルビン・ラコフ 

NHKアーカイブス

NHKのサイトを見ると、午後8時・午後9時50分・午後7時20分・午後9時…日によって開始時刻がばらばらだったようですが、だいたい、当時の私の就寝時刻を過ぎてから始まる番組でした。

この番組を観る時だけは、私も夜更かしを許してもらえました。

同居の祖父母がメインのテレビのある部屋で早めに就寝するために、メインのテレビでは観られず、同居の叔父にお願いして、叔父の部屋の小さなテレビを観せてもらいました。

その小さなテレビは、普段は押入れの下段に収納されているもので、観る時には、引き戸を開けて、縮こまって観ます。

当時の私は、ちょっぴり大人になったような、あるいは、複数人の大人たちに迷惑をかけたり、眠らなければいけない時間帯に起きてテレビを観たり、悪いことをしているような気分でした。

私は、叔父の部屋で一人、「シェークスピア劇場」を観ていました。

観ている途中で、父が様子を見に来て、私の背中に毛布を掛けてくれました。

思い出すと、ほんわかします。

「シェークスピア劇場」は、豪華で優美な番組でした。

当時の私は、偉大な劇作家であり詩人である、シェークスピアの作品に関心があったというより、テレビ番組「シェークスピア劇場」に登場する、金髪の役者さんたち・美しい衣装・美しい建造物、そして、美しい画面に魅かれていました。

私は、「シェークスピア劇場」を観たことで、ヨーロッパを初めて、きちんと意識して憧れの目を向け、ヨーロッパ史に興味を持ち、比較文化の発想を持つようになりました。

肝心の「シェークスピア劇場」ですが、当時の私は幼い子どもでしたし、就寝時刻を過ぎていたので、眠くて眠くて、せっかく観せてもらえたのに、半眠りの状態で、あまり観られませんでした。

美しい場面がいくつか印象に残っているだけで、物語の展開までは覚えていません。

「シェークスピア劇場」自体も3作分くらいしか観ていません。

ですが、私は、シェークスピアの作品を本で読むようになり、文学作品をテレビドラマ化した他のBBC制作番組も観るようになり、そこで知った文学作品を本で読むようになり、後年、高校で世界史を選択しました。

それらは、小説やエッセイを書く私の基盤のひとつとなりました。

また、これまでの人生のほとんどをヨーロッパに憧れていた私は今、京都で文化財めぐりを楽しんでいますが、
「京都の文化財が面白い」
と感じたことにも大きな貢献をしていると思います。

母の教育の影響で西洋かぶれだった私の目から見ても、京都の文化財は、とても面白かったのです。

京都の文化財の多くは、豪華で優美と私は感じています。

殊に、京都の寺院の名勝庭園の、豪華さ・優美さに加えた、緻密さ・繊細さ・アイデアの豊富さには、強く魅かれています。

見ていると、感覚を研ぎ澄まされるような感覚になるところも気に入っています。

子ども時代に、日本でヨーロッパの文化に憧れて学ぶことにより育まれた目で、大人になってだいぶ経ってから日本の文化を見た時、私は衝撃を覚えました。

自分の生まれ育ち過ごしてきた国に、こんなに凄いもの・面白いものがあったのかと。

これほどまでに日本の古都京都での生活を楽しめているのは、「ヨーロッパ大好き!」だった時代があったからだと私は思っています。

たくさん観て、たくさん読み、たくさん学びました。

「シェークスピア劇場」は、そのきっかけとなった番組です。

再放送してくれたら、今度はちゃんと観たいです。

天野マユミ


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