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道徳科の時間に関しては、いくつかの主だった批判があります。今日はそのうちのいくつかを紹介していきます。 ①国が望ましい価値観を決めて良いのか 主な批判といえば、これが上がるでしょう。道徳を教えるといったときに、直感的出てくるものであるといえるかもしれません。日本は特に、戦前の修身科の学習の影響もあってか、特にこの辺の批判は根強いものがあります。修身科が筆頭科目に置かれていたことにへの反動ともいえそうです。公教育で学力よりも、人間力と完全に言い切ってしまうとどこか違和感を
道徳科の目標は (「第3章 特別の教科 道徳」の「第1 目標」) 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,より よく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値について の理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生 き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実 践意欲と態度を育てる。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より) そして、学習指導要領解説では、この道徳的諸価値の理解とはどのような理解を指すのかとい
文部科学省から、道徳の質の高い三つの指導法というものが提示されています。 今まで言われていたただの生活経験の話し合いや、テキストに書いていることだけを言わせたり、登場人物の気持ちだけをおった、心情理解のみの道徳授業にはなっていない授業には三つのタイプがあるということが示されています。 どのようなものがあるかと言うと ・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習 ・問題解決的な学習 ・道徳的行為の体験的学習 です。 ・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習
道徳教育は道徳科の学習の中だけで完結するものではありません。 学習指導要領にはこのように書かれています。 学校における道徳教育は,特別の教科である道徳(以下「道徳科」とい う。)を要として学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳科はも とより,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動のそれぞれ の特質に応じて,児童の発達の段階を考慮して,適切な指導を行うこと。 ここでポイントとなってくるのは、特別の教科である道徳を要として、という部分と学校教育全体を通
今日は哲学科について紹介します。 哲学科はお茶の水女子大附属小学校が中心となって、新しい道徳の時間の授業を模索している物です。 (ちなみに、お茶の水女子大附属小学校は共学です。) 哲学科の特徴は、学問としての哲学を学ぶのではなく、「哲学すること」を通して、他者との相互理解を目指します。ですので、扱う内容も学問的なものではなく、身近な問題をテーマとして扱います。 例えば、普通って何?友達ってどんな人?大きくなるとは?といったテーマを扱います。 What,Howが中心的
今日は、モラルスキルトレーニングについて解説します。 モラルスキルトレーニングは道徳的行動をスキルとして捉え、子どもたちに習得させようとする学習方法です。 様々な人間の社会的行動を技術として捉えることをソーシャルスキルと言いますが、それの道徳的行為版と考えていただいてよいでしょう。 価値の明確化やモラルジレンマが子どもたちの内面的な側面に対してアプローチをしていたのに対して、このモラルスキルトレーニングは直接的に児童の行動面にアプローチをかけることが出来ます。 また、
今日は、一読総合法以外の道徳の道徳科の授業第二弾ということで、モラルジレンマについてお話します。 前回の価値の明確化は相対主義で善悪の判断を考慮に入れることが出来なかったために、児童、生徒に対して積極的な介入がしにくい。という弱点がありました。 しかし、伝統的な道徳教育の方法では押しつけがましい感じが出てしまいます。押しつけになることなく、しかも、積極的に望ましい価値観を身につけることはできないか。そこで、コールバーグにより開発されたのが、モラルジレンマという教育方法です
前回の投稿から日が空いてしまいました。 今日は道徳科の一読総合法以外の道徳の方法として、価値の明確化について紹介します。 価値の明確化は、1950~1960年代のアメリカの「人間性回復運動」から生まれてきたものです。この時期のアメリカは、ベトナム戦争からくる、厭戦気分や人間や伝統的な価値観に対する反動がありました。 国の示してきた伝統的価値観に従い、正義の戦争を行った結果、ベトナム戦争が悲惨な結果を生み出したことは承知の通りだと思います。 そのため、この価値の明確化は
道徳における質の高い三つの指導法の中に自我関与が中心の学習というものが出てきました。 今までの読み物教材を用いた道徳授業に最も近い形であると言えますが、今回は、そもそも、自我関与って何?ということについて書いていきたいと思います。 さて、自我関与という言葉を辞書で調べてみるとこのように出てきます。 心理学用語。ある事柄を自分のもの、あるいは自分に関係があるものとして考えること。(デジタル大辞泉より) この意味から、心理的な状態であるということ、自分のこととして考えてい
道徳の読み物は基本的に面白さを追求して作られていないということは、昨日のノートでお話ししました。 今日は物語の構造について、もう少し詳しく書いていこうと思います。 物語ですから、必ず登場人物が必要です。そしてどのお話にも必ず主人公がいます。次に、主人公以外のわき役が存在するのですが、このわき役が主人公に何かしらの影響を与えたり、または、影響を受けたりするわけです。子のわき役のことを助言者と言います。 教材を分析する際には、主人公や助言者の言動や行動の意味を探っていくとその教
「こんな面白くない教材を使っているから道徳はつまらない。」 そう、思ったことはありませんか。 道徳の教科書のお話は基本的に面白くありません。 というより、わざと面白くないように作っていると言えます。 国語の教材の「ごんぎつね」とわかりやすく、「はしのうえのおおかみ」を比べてみましょう。 道徳的価値という観点から切り取ってみると、「ごんぎつね」には様々な価値が出現します。 兵十の母への思い、ごんと兵十の関係、悲しいすれ違い等々・・・・ 人によって感動するポイントが
道徳科の授業法の定番と言えば、一読総合法です。 昔は一読四分進法と呼ばれていました。 要は、今ある読み物教材の特性を活かした授業の進め方です。基本的にどの教科書教材もこの進め方に準拠したものになっています。いわゆる道徳の授業というとこの方法が真っ先に考えられます。 授業としては、 ①価値や資料への導入(経験や価値のイメージを問います。) ②先生の範読 ③物語の起・承・転・結ごとに一つずつの発問 ④自分の生活の振り返り ⑤先生からの説話 といった流れです。
様々な附属の小学校が公開授業をしています。土曜日にしてくれることもあれば、平日のところもあります。 土日にはできるだけ授業を参観するようにしているのですが、その中で、気づいたことが一つあります。 それがタイトルにある。 道徳の授業の成功は始まる前から決まっている。ということ。 始まる前から、すでに雰囲気がよいクラスの授業は何をやってもうまくいきます。逆に何だか重苦しい雰囲気が流れているときは、だいたい上手くいかないことが多いです。 今年の6月に筑波大学に授業を見に行
道徳科の教材研究をするのは大変です。というより、道徳科の授業にまで労力を回すのが難しいという方が適切かもしれません。 何故なら、効率が良くないから。 例えば、道徳科の授業の教材研究を3時間かけてしたとします。すると、一時間の授業がぶっつけ本番でするよりも良い授業になるはずです。(理屈の上では。) では、その3時間の教材研究を国語科ですれば?小学校の国語科の一単元が10時間分の単元であれば、その10時間分が充実することになります。 なので、どうしても、道徳の授業研究をす