価値理解、人間理解、他者理解

道徳科の目標は

(「第3章 特別の教科 道徳」の「第1 目標」)
第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,より
よく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値について
の理解を基に
,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生
き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実
践意欲と態度を育てる。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より)

そして、学習指導要領解説では、この道徳的諸価値の理解とはどのような理解を指すのかということを説明しています。それがタイトルにある価値理解、他者理解、人間理解です。

・価値理解

一つは,内容項目を,人間としてよりよく生きる上で大切なことであると理解することである。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より)

友情や自由といったことがこれからの自分の人生を良くしていくものであるということを強く理解することが求められています。つまり、ただ、友達が大切だということを知っているだけでなく、それは、どんな友達なのか、自分にとって都合の良い人と考えるのか、縁の切れない人と考えるのか、信頼しあえる人と考えるのかでは、おそらく、これからの人生が変わってくるのではないでしょうか。

・人間理解

道徳的価値は大切であってもなかなか実現することができない人間の弱さなども理解することである。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より)

自由がただの自分勝手ではないことは知っている。でも、自分勝手に振舞ってしまう自分がいる、他者がいる。それも一つの人間の姿として受け入れていきましょうということなのかなと思います。道徳的に高潔なだけで、できない自分や他者を受け入れることが出来ないと、できている自分を善として、できていない他者を悪と見るような、正義の騎士となり果て、自身の道徳観を人に押し付けるという不道徳を犯すことになってしまいます。(その行き過ぎた結果が宗教戦争です。身近な例でいえば、モラルハラスメントでしょうか。)

・他者理解

道徳的価値を実現したり,実現できなかったりする場合の感じ方,考え方は一つではない,多様であるということを前提として理解すること。(学習指導要領解説特別の教科道徳編より)

様々な価値観を持っている人がいるのが今の社会です。道徳的価値は全て基本的に善いもの(もちろん、状況によってということはありますが)と考えると、私たちは善いものの中で優先順位を付けていると言えます。それはつまり、自分にとって一番大切にしているものと、他者が一番大切にしていることが違うということを意味しています。違うからこそ人間は素晴らしく面白い存在であるのです。

今日はこれまで。


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