質の高い三つの指導法
文部科学省から、道徳の質の高い三つの指導法というものが提示されています。
今まで言われていたただの生活経験の話し合いや、テキストに書いていることだけを言わせたり、登場人物の気持ちだけをおった、心情理解のみの道徳授業にはなっていない授業には三つのタイプがあるということが示されています。
どのようなものがあるかと言うと
・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習
・問題解決的な学習
・道徳的行為の体験的学習
です。
・読み物教材の登場人物への自我関与が中心の学習
読み物教材の登場人物に思いを重ね、心情や行動のわけを推測していくことが学習の中心になります。形式としては「読み物道徳」に最も近い形になります。
【教師の主な発問例】 ・どうして主人公は、○○という行動を取ることが できたのだろう(又はできなかったのだろう)。 ・主人公はどういう思いをもって△△という判断を したのだろう。 ・自分だったら主人公のように考え、行動すること ができるだろうか。(質の高い三つの指導法についてより)
このような発問が例として挙げられています。今までは、「どんな気持ちだったのか」ということが発問の中心となっていたものが、行動の理由や自分だったらどうするかといったところを問う発問になっています。
・問題解決的な学習
ある問題状況において、どのような解決策を取ることが出来うるのか、その結果どのような状態になるのかといったことを議論していくタイプです。心情よりも、最も善い解決のためのアクションを考えるというのが特徴的な点です。
【教師の主な発問例】 ・ここでは、何が問題になっていますか。 ・何と何で迷っていますか。 ・なぜ、■■(道徳的諸価値)は大切なのでしょう。 ・どうすれば■■(道徳的諸価値)が実現できるのでしょう。
・同じ場面に出会ったら自分ならどう行動するでしょう。 ・なぜ、自分はそのように行動するのでしょう。 ・よりよい解決方法にはどのようなものが考えられるでしょ う。(質の高い三つの指導法についてより)
アクションを考えると言いながらも大切になってくるのは、そのアクションを取るべき理由の部分です。ここが曖昧だと、その行動とる意味や価値が明確になってきません。
・道徳的行為の体験的学習
教材の中の葛藤場面や、実際に道徳的問題が起きている場面を想定してどのような行動をすればよいか(話せばよいか)を実際に体験する学習活動です。実際にやってみるというところが一番のポイントです。
ペアでお互いに役割を交換してロールプレイング等をした後、そうする方が良い理由や感想を交流します。
そして、大切なのがこの三つの指導法は
それぞれが独立した指導の「型」を示しているわけではない。それぞれに様々な展開が考えられ、例えば読み物教材を活用しつつ問題解決的な学習を取り入れるなど、 それぞれの要素を組み合わせた指導を行うことも考えられる。 (質の高い三つの指導法についてより)
ということです。三つの指導法法というのは、あくまでの結果としてのパターンであり、あらかじめ、この形に当てはめて学習を行う必要はないということです。
実際に自我関与が中心の学習であっても、問題場面を想定して、そのうえで役割演技をすることから、主人公の行為の理由や心情を考えることもできます。
この三つの指導方法はあくまでも、この一時間の授業のねらいに対して、最も効果的な方法はどれか?ということを考えて選ぶことが大切です。
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