『箱男』50年前の小説が映画化される安倍公房の先見性
1973年に刊行された作家・安倍公房の『箱男』。ヨーロッパやハリウッドの著名な映画監督らが、何度かこの小説の映画化を試みるものの、安部公房サイドからの許諾が下りず、企画が立ち上がっては消えていた。最終的に安倍公房本人から映画化を託されたのが、本作で監督を務めた石井岳龍(当時は石井聰亙)である。
そして1997年、映画『箱男』の製作が決定。スタッフ・キャストが撮影地のドイツ・ハンブルクに渡り、巨大病院のセットを八割がた完成させるも、製作会社の資金繰りに問題が発生し、クランクイ