Netflixで観られるおすすめドキュメンタリー映画4本
Netflixについて、この機会に知っていただきたいことがある。それはNetflixではドキュメンタリーが、質量ともに素晴らしいということだ。あまり知られていない可能性を感じているのだが、ドキュメンタリー映画の愛好家として、これは声を大にして言いたい。
NetflixのTOPページから「映画」タブを選択し、ジャンル選択で「ドキュメンタリー」のページをのぞいてみてほしい。かなりの本数の作品があることがお分かりいただけるだろう。数ある作品群の中から、食指の動く映画に出会えるはずだ。
正直に言うと、今回伝えたいことは以上である。
Netflixを契約しているのならぜひドキュメンタリー鑑賞でも活用いただきたい。それ以上でも以下でもない。ただ、本数が多くどれを観るか悩むという方のために、Netflixで鑑賞できるドキュメンタリー映画を、蛇足的に4本ほどご紹介したい。
『スカイウォーカーズ ある愛の物語』(2024年)
世界中の高層ビルやタワーなどに上るインフルエンサーカップルの密着ドキュメンタリー映画である。高所恐怖症の方にとっては、非常に厳しい映画だ。雄大な自然が観られるドキュメンタリー映画は多くあるが、超高所から街を見下ろす映像集は珍しい。登った人しか見られない景色なのだから、それもそのはずだ。
それもただ登るだけではない。その世界では「ルーフトッパー」と呼ばれるインフルエンサーたちが、命を危険に晒しながら「究極のインスタ映え写真」を追い求める。
狙ったビルへは、建設中でオープン前の高層ビルはセキュリティが甘いという弱点を突き、その時期を狙って侵入する。その経路をどうするか、どれくらいの時間をかけるかなども入念に計算。そんなミッション・インポッシブル的な側面も面白い。
そしてこの作品の魅力は、副題「ある愛の物語」の意味する通り、ラブストーリーに、ちゃんとなっている点である。危険と法をおかして超高所に登る男女はどんな恋愛観なのか…ぜひ見届けてほしい。
そんな危険な映画はちょっと…という方にはご安心いただきたい。お次は「タコ映画」である。
『オクトパスの神秘 海の賢者は語る』(2020年)
南アフリカの美しい海を舞台にした、映像作家の男性と1匹のタコの約1年間にわたる交流を描いたドキュメンタリー映画。この作品は、ただの癒し系映画ではない。第93回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞受賞作なのだ。
全てが溶けそうなほど暑い日が続く中、涼感のある海中の映像だけも十分に観る価値があるが、それだけではオスカー像は獲得できない。
この主人公の男性の、タコを含めた自然と関わっていくうえで「あくまで自然界に介入しないようにする」態度が非常にユニークで魅力的なのだ。ある時タコが魚に襲われるが、それで自分がタコを助けるのは自然の摂理に反するとし、涙を浮かべてその行く末を見守る。地球とのかかわり方について、深く考えさせられるシーンである。
傷心で南アフリカに来た男性が徐々に立ち直っていくという構造も良い。尺も85分とコンパクトなので、その点でも観やすくおすすめである。
海つながりでもう1本。
『ディープブレス 呼吸、深く』(2023年)
酸素ボンベなどの呼吸の補助機材を一切着けずに、無呼吸状態で「誰が一番深くまで潜れるか」を競うフリーダイビングついてのドキュメンタリー。非常に危険なエクストリームスポーツだ。
美しい映像に加え、勝敗の結果を刮目してみるスポーツ独特の高揚感もある。オリンピック熱の高まっている方にこそすすめたい。
また新進気鋭の映画スタジオA24としてのドキュメンタリー映画は非常に珍しく、その看板に相応しい作品である。詳細は過去の記事に譲りたい。
『アインシュタインと原爆』(2024年)
最後に紹介する本作は単体で観ても興味深いが、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』を鑑賞していると、その補完としてさらに歴史を深く知ることのできるドキュメンタリー映画だ。
アインシュタインが母国ドイツを出てアメリカへと行く前に立ち寄った、イギリスに着くシーンから映画は幕を開ける。再現ドラマと実際の映像や写真を挟みながら歴史を解説するドキュメンタリーになっており、非常に分かりやすい。尺も76分と非常にコンパクトだ。
こちらも過去に単体で記事を書いているので、興味がある方は下記もご一読いただきたい。
おわりに
「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、ドキュメンタリー映画はオールジャンルで玉石混淆、かつ予測不可能で面白い。周知の事実にすら新しい視点を与える、そんなジャンルだ。
今後も個人的なドキュメンタリー普及活動を行っていくので、ゆるりとお付き合いいただけると幸いである。
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