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エッセイたち

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切れたスカートとわたしの気持ち

切れたスカートとわたしの気持ち

小学一年生の時、わたしはスカートの裾を切った。

とくに深い意味は無かったけれど、あたらしいハサミをどこかで試したかったのかもしれない。ばれないように、1cmにも満たない小さな切れ込みを入れて、自分だけが知っている内緒ごとをつくったつもりだった。

「スカート、どうしたの?」
お母さんが次の日聞いてきた。
「自分で切った」
「ほんとうは?」
「自分で切った」

わたしは本当のことを言っているのに、

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くたばれホルモンバランス

くたばれホルモンバランス

朝起きたら、ラインに通知が来ていた。
昨日送った資料の言葉のニュアンスが違うから訂正して欲しい、とのことだった。

よくあるミス、頭ではわかっていながら、わたしは、顔をぶたれたような、ひどく惨めな気持ちになった。

わたしの、何か大きな山が、派手に崩れた音がした。

時間をかけずに終わらせる課題のこと、傷つけたかもしれない友達のこと、自分には不釣り合いなほど難しい資格に手を出したこと、みんなに合わ

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ティラミスが必要な夜には

ティラミスが必要な夜には

夏になると食欲がなくなるのは、まあよくあることだとして
心が空っぽになったような、何も考えられない夜は初めてだった。

帰り道にあるコンビニで翌朝のパンを買おうとしたとき、何も欲しいと思えなかった。
代わりに、目に入ったケーキコーナーの新商品のティラミスを買って帰った。

プラスチックの小さなカップに入ったティラミス。カロリーのでかでかと書かれた蓋をはがして、透明なスプーンを差しこんだ。

無抵抗

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赭とカーマインレッド、

赭とカーマインレッド、

洗濯機の中から化粧品が出てきた。

私は戦慄した。さっきまでげんきいっぱいで、寿命をもう少しで全うできそうだった赤い口紅が、無残にひび割れ、水に濡れ、ついでに柔軟剤のよい匂いを纏って現れたのだ。
早々に見切りをつけ、私は街に繰り出した。

電車内、でがたがた揺られていると、母からと七五三の写真が送られてきた。
ぎこちなくポーズを取る幼少の私の口元には、着物と同じ、青みがかった赤色が塗られていて、ふ

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ガソリンスタンドは冬の匂いがする

ガソリンスタンドは冬の匂いがする

窓を開けると、身を切るような北風が舞い込んできた。

思わず身震いして、箪笥から冬物を出す。
袖の長い上着を羽織ると、箪笥の匂いが染み付いていた。

寝坊に寝坊を重ねた罪深き昼下がり、食材を求めにスーパーまで歩く。

風は頬を冷やし、ガソリンスタンドの石油の匂いを運んできた。

ああ、冬が来た、と思った。

故郷を離れ、すっかり車離れした都会の生活に身を置くようになってから、ガソリンの匂いにノスタ

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