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読みやすいコロナ禍の記録「武漢日記:封鎖下60日の魂の記録」

<文学(176歩目)>
もう過去になってしまいそうなコロナ禍に起きたことを記録する。
ロックダウンの経験は次に生かせるのか?

武漢日記:封鎖下60日の魂の記録
方方 (著), 飯塚容 (翻訳), 渡辺新一 (翻訳)
河出書房新社

「176歩目」は、ニュートラルな、そして自由な発信をそのまま記録することの重要性。

コロナ禍における、完全なロックダウンを実施した中国の武漢市に住んでいた方方さんが日記として執筆、ブログとして発信を継続。

武漢市の完全封鎖は76日間に及ぶ。完全封鎖の中での市民の目線での発信は、2020年1月25日に開始。59篇の日記をそのまま英語版で出版。そして翻訳されてたちも読めるようになった。

方方さんは、その後、刊行された「柩のない埋葬 河出書房新社」も素晴らしい。素晴らしい才能だと思う。

「柩のない埋葬 河出書房新社」

まだ邦訳が少ないのですが、渡辺新一さんと河出書房新社に興味深い作品をさらに邦訳して出版してもらいたいと思っています。

方方さんの2作品は、「事実をありのままに」で統一されていて、政府よりでも、反政府でもなく、普遍的な人間の目線で描かれているので、この災禍を忘れたころにも再読させられる作品になると思う。

人間は、どこの国にも完璧な人はいない。
私たち国民は、政府を頼ってしまうところあり。
ゆえに、失敗には容赦ない。

しかし、方方さんの目線からの教訓は「反省と責任は取らないといけない」が、「完璧を求めすぎること」が「失敗したときの隠蔽につながる要因」にもなる。
中国にかかわらず、このコロナ禍では日本でもいろいろな問題が出た。

大切なことは、声高に自負心とか小さなプライドを満足させるための姑息な手段を取ることよりも、「ウィルス」や、未曾有の危機の際には、政府が素早い検証を継続して、失敗は改める。
そして、国民は未曾有の危機に対して、まとまることが大切だと感じた。

「我が国はすごいぞと空しく叫んでも意味がない」との言及は、どこの国にも当てはまる普遍の言葉で、それ以外にも方方さんの切り口はとても鋭い。
こんな作品が残ったこと。これは財産だと思いました。

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