見出し画像

宗教が支配するディストピア世界「2084 世界の終わり」

<文学(120歩目)>
ジョージ・オーウェルさんの「1984」を意識しての「2084」ですが、文学的に読めます。

2084 世界の終わり
ブアレム・サンサル (著), 中村 佳子 (翻訳)
河出書房新社

「120歩目」は、ブアレム・サンサルさんのイスラム社会を意識したとても斬新な作品。
ちょっと装丁が地味ですが、中身はなかなかすごいと感じました。

内容はさることながら、これだけの静かな鬱屈と恐怖がアルジェリアに存在するという事実(著者はこの作品を期に、フランスに亡命)が迫る。

特にブアレム・サンサルさんのあとがきにもありますが、「社会主義を進めていた軍事政権が倒れ、複数政党制に移行したら、イスラム原理主義政党が議席を伸ばして、急激にイスラム原理主義化が進み、それを批判したら職を追われた官僚」だったそうです。

「軍事政権による独裁」から、「民主主義」を経て、「イスラム原理主義」までたどり着くこともあり。
すると、「全体主義国家」って軍事独裁以外からも出来上がる不気味さを感じました。

おそらく「1984」を意識しての作品だと思いますが、この「世界の終わり」単体で勝負した方が比較されず、独自の価値観が示せた気がします。
それにしても、「少数派が排除される世界」って、とても怖いと感じました。

#読書感想文 #わたしの本棚 #2084 #世界の終わり #ブアレム・サンサル #サンサル #中村佳子 #河出書房新社 #アルジェリア #フランス #イスラム原理主義 #一党独裁 #全体主義 #ディストピア #宗教国家 #文芸 #小説

いいなと思ったら応援しよう!