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半世紀前から普通の人生に挑戦した車椅子おばあちゃんの物語

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語1~58
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#車椅子

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語①

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語①

はじめまして

はじめまして、
高校卒業後の半世紀の記録を書いていきたいと思います
脳の老化防止も兼ねていますので
一部にフィクション、妄想、記憶違い、思い込みありますが、
ご勘弁ください(;´∀`)
 
私は、昭和20~30年代に猛威を振るったポリオウイルスに
生後10か月で感染し
その後遺症で首から下はほとんどマヒがある
車椅子ユーザーです。
 
それでも3年前くらいまでは、
車を運転し、

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑥

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑥

ぶんなぐってやりたい

お昼を知らせるチャイムが鳴り、廊下には長い列ができ始めました。
障害がある人も、無い人も作業着姿です。
ランチは広い社員食堂のようなところで、お盆を車椅子の膝の上に乗せ
セルフサービスで給食をいただきます、
こういうことも初めての挑戦です
「小盛おねがいします」
「はいよ~」
調理員の方が温かい料理を盛り付けてお盆に乗せてくださいます。
最初はひっくり返しそうで心配でしたが

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑦

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑦

家を出た~い!

そんなこんなで、すったもんだのいろいろあった3年間が過ぎ
仕事にも生活にも慣れてくると
またまた何だかうずうずしてきました。
 
「?」
「なんか違う」
このままではいつまでも自立ができない
だって、働いてはいるけれど、
家に帰ればなにもかも親がかり
食事も洗濯も掃除も買い物も全部
やってもらっているではないか
 
私が家にいたら兄に嫁が来ないかもしれない
両親にもしものことがあ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑧

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑧

女の子を産みなね、お雛様買ってあげるよ

「あのね、結婚したいと思うんだけど」
母にそう打ち明けたのは、よく行くデパートのレストラン
ひな人形の売り出しが始まっている頃でした。
「おめでとう、いいんじゃない、がんばれ」
うすうす分かっていたようで、母はよろこんで応援してくれました。
食事を済ませお店を出ると、華やかなひな人形の段飾りが所狭しと並んでいます。
「きれいだねぇ」
それを見て母は車椅子の

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑩

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑩

てんやわんやの 普通の結婚式

実は、結婚式当日の記憶はほとんどありません。
憶えていることと言えば
挙式の時に私達新郎新婦の前を歩くはずのフラワーボーイ
牧師さんの息子さんにお願いしてあったのですが
ご機嫌斜めで、急遽他の女の子にお願いしていた情景
牧師様の
「汝、病める時も、健やかなるときも・・・」
「誓います」
の後の
「では、誓いの・・・」が
「誓いの握手を」
と言われたこと
 
五月晴れ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑪

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑪

ぶりの照り焼き、いなだ?

とりあえず、お買い物
昭和55年(1980年)
ネットスーパーもAmazonもありませんでしたが、
団地のすぐ裏手にはお肉屋さんとお米屋さんがあり、
少し先のバス通りには小さな商店街もありました。
お肉屋さんは車椅子でも行ける距離だったので、
夕方帰宅してからポテトサラダやコロッケ、
生姜焼き用の豚肉や合いびき肉などを買い夕食に間に合わせ、
お米屋さんはすぐ近くですが配

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑫

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑫

そろばんとコンピューター

パチパチパチ、パチパチパチ
パチパチパチ、パチパチパチ
ザッ、
パチパチパチ、パチパチパチ
パチパチ・・・
 
しんとした事務室に
そろばんをはじく音が響きます。
1980年代
まだまだアナログ
手書きと、そろばん(時々電卓)の事務仕事です。
経理も会計システムも表計算ソフトもワードプロセッサーも
ありませんでした
毎日複写伝票を起こします。当時は3事業所あり、
伝票の

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑬

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑬

車椅子担いで「渡っちゃえ~」?

旅に出ました
北陸、金沢、能登半島2泊3日
 
朝の京都駅のホームです。
若いイケメンの駅員さんに車いすを押してもらって
舞い上がってます。Sパイセンとわたし。
これが、間違いの始まりでした
 
東京駅で新幹線に乗る前に旅費をATMで引き出す予定でしたが
何故か
「京都駅でおろせばいいよ、時間あるし」
「あ、そうだね」
 
ところが、京都駅でイケメン駅員君に出会っ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑭

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑭

ハワイ!

空港に到着
またまたイケメンのスタッフがお出迎え
素敵な笑顔で「アロ~ハ~」と
車いすを押してくれます。
空港には甘い花の香りが漂い
ウェルカムのブーゲンビリアのレイを首にかけてくれます
 
そうです!
ついに!
憧れのハワイ!
今回はツアーではなく、M課長とTちゃんと3人の女子旅です!
 
TちゃんはSパイセンの後継者です
Sパイセンは、めでたく寿退社をされたのでした。
車椅子のM課

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑮

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑮

京都、沖縄、スキー!

Tちゃんと京都旅行へ行き、奮発して観光タクシーをチャーターしました。
観光タクシーの運転手さんは少しご年配の方でしたが、
とても親切にしていただきました。
化野念仏寺では、車椅子では回れないからと、ずっと私をおんぶして
あの石仏群の中を歩いてくださいましたし、
金閣寺では、急な坂道を一生懸命車椅子を押して案内してくださいました。
 帰りにホテルまで送っていただきましたが、

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑯

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑯

さらば、わが青春の職場

さて、
よく働き、よく遊び、よく旅をしました。
旅の思い出は、きれいな景色とか、美味しいグルメとか
も、ありますが
私の旅の一番の思い出は
一緒に旅をしてくれた友人や
旅先で声をかけて頂いた方
助けて頂いた方
そういう方たちとの触れ合いです
それらがたまらなく好きで
たくさんの元気をくれます!
 
普段の暮らしの中でのちょっとしたお出かけも
私には、一人では出来ない事ばか

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑰

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑰

夢のマイホーム!

「フリーター家を買う!」
ではなくて
「車椅子ユーザー家を建てる!」
 
その頃の私たちの住まいは
予定通りに建て替えられた、きれいで、便利で、
とっても使いやすい県営団地の車いす用住宅でした。
お家賃もそれほど高くなく、
建て替えの時には何度も現場へ行かせていただき
浴室やキッチンなど全て
チビな私に合わせて作ってくださいました。
駐車場も玄関のすぐ前に2台分
車椅子での乗り

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑱

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑱

夢のマイホームで同居生活って

さて、いよいよ夢のバリアフリー住宅計画が始動です。
駐車場もキッチンも浴室も県営団地よりも暮らしにくくなっては
意味がありません
当時木造住宅には認可されていなかったらしいのですが、
ホームエレベーターは必須です
さらに、いろいろ夢を見ていた私達は、あれもこれもと
設備に注文をつけたのでした
さあ、大変です
どうなることやら、小さな町の建設会社が対応してくださるので

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑲

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑲

行くぞ!産婦人科!

家に2人の主婦はいらないですよね
と思い始めたころ
リハビリでお世話になった先生から連絡がありました。
「病院で受付のアルバイトを募集しているの、どうかな」
「フルタイムじゃなくて、週に2~3日なんだけどね」
仕事を辞めてしばらく休み、だいぶ気力も復活した頃でした、
「行きます」
「お願いします」
またまた専業主婦は一休みして、嬉々としてアルバイトを始めました。
やっぱり仕事

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