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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑰

夢のマイホーム!


「フリーター家を買う!」
ではなくて
「車椅子ユーザー家を建てる!」
 
その頃の私たちの住まいは
予定通りに建て替えられた、きれいで、便利で、
とっても使いやすい県営団地の車いす用住宅でした。
お家賃もそれほど高くなく、
建て替えの時には何度も現場へ行かせていただき
浴室やキッチンなど全て
チビな私に合わせて作ってくださいました。
駐車場も玄関のすぐ前に2台分
車椅子での乗り降りに十分な広さを用意していただいて
まるで注文住宅のようでした
県の担当の方からは
「長く住んでくださいね」と言われ
「もちろんです」
「こんなに良くして頂いて、ありがとうございます」
と感謝していました。
 
なので、何の不自由もなく快適に暮らせていて
何も35年ローンを組んでまで家を建てる必要はあまりなかったのですが
 
とりあえず、挑戦です!
 
さあ、何から始めればよいのでしょう?
マイホーム購入なんて、生まれて初めての経験です
新聞の折込チラシにたくさんの物件が載っています
多かったのは
「建売住宅」
お買い得ですが、車椅子では住めません
「中古物件」もありました
まあ、だいたいこれも無理です
「建築条件付き分譲地」
これは建て主の思うような設計ができるようです。
しかし、多くは当時流行の規格住宅のメーカーが指定されていて
まだまだバリアフリー対応は難しいのでした。
住宅情報誌やマイホーム関係の本を読み漁り
わくわくしながら
休日の度にチラシを持って、物件探しに出かけていました。
 
ある日夫が
「ちょっとよさそうな物件があったんだけど、見に行ってみない?」

私が休日出勤の時、一人で探してきたようです。
「近くで、まだ空き地になってるだけなんだけど、
これから売り出すらしいんだ」
現地へ向かう車の中で夫はちょっと得意げに言います。
 
その物件は、当時住んでいた団地から車で5分もかからないところにあり
近くの農家の方が牛の餌用の草を育てている土地でした
立地的には、バス通りから少し入ったちょっと高台で
水害もがけ崩れも突風も心配のない好立地
4m道路に面していて
少し高くなっている道路の向かい側には畑が広がり、
茶畑や梅、桃、桜、無花果などの木々が植えられていました。
高層マンションなどが建つ心配もなさそうです。
扱っている不動産屋さんは地域のお店で
そこの建設会社で家を建てることが条件です。
在来工法の木造住宅なので世界に1件だけの
オリジナルバリアフリー住宅が可能です
「いいね~」
 
夢のマイホーム
車いすで快適に生活できる家を建てるという
夢のような挑戦が始まります。
 


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