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『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』 悪のカリスマなんか存在しないから、ただの犯罪者だから、犯罪者の最期はこういうことだから、とひたすら訴える犯罪抑止映画
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年/トッド・フィリップス) 【あらすじ】 悪いことをしたので裁かれる 誠実で覚悟のある映画だと感じた。全く嫌悪感は抱かないけれど、このビッグバジェットでこの構造、ヒットするはずがない……。 でも、作品のヒットとか観客の欲求とかを全て放棄して、同じ監督同じキャストで「作らなければけじめがつかなかった」作品、挑戦として漏れなく成功していると感じた。 一先ず、「ジョーカーは俺だ」なんて言っちゃうワナビーに対して、「絶対に犯罪なんかし
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『メリー・ポピンズ』 スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスな映画と、カウンター・カルチャーとしてのメリー・ポピンズ
『メリー・ポピンズ』(1964年/ロバート・スティーヴンソン) 【あらすじ】 空からメリー・ポピンズが降りて来る 星10。いつ何度観ても圧倒的に素晴らしすぎる、愛すべき大切な一本。 とにかく「映画が喜んでいる」という楽しさでみなぎっている。ほとんどドラッグ的な幸福感の連べ打ち。ジュリー・アンドリュースは生きて歌って踊る「幸福」そのもの。ウルトラナイスガイの我らがディック・ヴァン・ダイクは、彼が楽しそうに思い切り踊っているだけで、涙が出るような感動が湧き上がる。本作が名作