codomodoc_小児科医

小児科医です。神経疾患、神経発達症(発達障害)の診療をしています。発達性トラウマ症を勉強中。 細かいことが苦手なので、つぶやくことは大まかです。よろしくお願いします。

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最近の記事

映画『ボーはおそれている』と小児科医

素晴らしい作品でした。様々な噂を聞き(どちらかというと賛否のぴ)、食わず嫌いのまますっかり敬遠していたのですが、思い立って観ることにしました。 観ると前半はブラックなコメディで不条理に物語が展開していき、かなり好きでした(不条理劇、好物なんです)。そして、後半に繰り広げられる、ボーがあらゆることをおそれるようになってしまった物語には完全にどハマりして、胸を痛めつつも観ることを止められませんでした。 以下、少々ネタバレます。 それにしても、ボーはアリ・アスター監督なのでし

    • 『VIVA LA PASTA』と小児科医

      「トゥッティ ピアッティ エーラ(巻き舌)ノ スクイズィーティ コンプリメンティ」 30年前、イル・ポスティーノを観たあと、しばらくイタリアかぶれになって、NHKのラジオ講座を聞いた。3ヶ月ほどしてやめたけど、その時に覚えたのがこれ。確か「この皿はとてもよかったよ、素晴らしい!」みたいな、レストランでシェフに言う言葉だった気がする。 当時一世を風靡していたちょいワル親父(死語)、パンツェッタ・ジローラモが講師だった。いつかいい人とイタリアに行ったら言っちゃろうと思っていた

      • 映画『国境ナイトクルージング』と小児科医

        いいもんみっけ。 目的を失い心身ともに傷ついた女、目的のないまま燃え尽き傷ついた男、目的も無く始められない男、が織りなす三角関係の物語。 と思いきや、傷つき虚ろな二人の男女は早々に互いを求め体を重ねてしまいます。微妙な空気のまま残された男に肩入れしつつ、モノクロの美しい極寒の世界を堪能しました。 ラブストーリーではありません(と思う)。そこがいい。 監督の前作“イロイロ”の時も感じたのですが、心情や行動の描き方がとても丁寧で上手なので、人物の顔や動きを見ているだけで、

        • 映画『Joker : Folie a Deux』と小児科医

          僕はレディ・ガガが少し苦手で、はじめは観る気があまり起きなかったんですが、アメリカでの公開後に酷評を受けて大赤字を出していると聞き、俄然観る気が出たので行ってきました。少しネタバレます⚠️。  いや〜、素晴らしかったです。ただし、これは『Joker : Folie a Deux』じゃなくて、『Arthur Fleck : Folie a Deux』ですね。 誰からも相手にされなかったアーサーが重大な犯罪を犯すことで注目されて闇堕ちした前作の続編なので、どうなるのかと思いき

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医

          こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。 うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。 今回は2024年の11月号です。 昔々、「ハタラ・キカタの改革」が起こる遥か昔、あるところに

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医

          こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。 うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。 今回は2024年の10月号です。 食欲の秋です。普段からよく食べ、よく太る僕なので、嬉しいよ

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医

          映画『リトル・ダンサー』と小児科医

          4Kデジタルリマスター版が公開中の「リトル・ダンサー(原題:Billy Elliot)」(2000)を初鑑賞しました。 母を亡くしたビリーは父が勧めるボクシングやサッカーなどには興味が持てず、学校もサボりがち。そんな中、ダンスフロアが使えなくなったバレエ教室の女子たちがボクシングの体育館で練習をすることになり、彼はバレエに出逢い、のめり込んでいきます。 少年が少女の中に混じってバレエを踊るほのぼの日常映画と思っていたのですが、廃れゆく炭鉱の坑夫で労使交渉が決裂してストライ

          映画『リトル・ダンサー』と小児科医

          映画『ナミビアの砂漠』と小児科医

          ナミビアの砂漠が舞台ではありません。 きつかった。ずっと胃の辺りが不快。 会話らしい会話はなく、前半は何者かよく分からない主人公カナの日常の時間が流れ続ける。パキッとわかりやすいキャラじゃない方がリアルと言われればそうなんだろうけど、中途半端にふわふわしているのが観てて気持ち悪い。 行き当たりばったりでいい加減なのは見てとれたので、てっきり一人で汚部屋暮らしかもと想像したが、そんなことはなく男性との同棲暮らしをはしご。そんなことがあの年代の女性なら可能なのか?そういうタ

          映画『ナミビアの砂漠』と小児科医

          映画『花様年華』と小児科医

          良かった!! 「午前十時の映画祭」なのに夜にかかっていて初めての鑑賞でした(UCなかま16さんありがとう)。 互いのパートナーが不倫関係にあることに気づき、時間を共有するようになった二人が戸惑いながらも、強く惹かれ合っていき・・・、という話で、不倫に対抗してこっちも不倫しちゃろうやないか的な話かと思いきや、プラトニックなラブストーリーでした。でも、そこは二人ともいい歳の大人なので、色気があって、艶やかで、よかったです。 前半は二人が関係を築くまでのオムニバス的なやり取り

          映画『花様年華』と小児科医

          映画『恋する惑星』と小児科医

          二つの物語のオムニバス作品。 前半はサングラスレインコートレディ(ブリジット・リン)と金城武のパート。アクションシーンのカメラの動きや色使いがめちゃかっこよかった。でも、なんか観たかったのと違う〜ってなりつつ後半へ突入…。 フェイ・ウォンが出てきた時、まあまあの奇行に沈没しそうになったけど、不思議なものでどんどん可愛くなっていった。魔法? 好きになった彼の家でのひとこわレベルの部屋改造シーンがピークで刺さりまくって声出して悶絶してしまった。 オイ、大丈夫か!?自分、、、

          映画『恋する惑星』と小児科医

          映画『箱男』と小児科医

          妄想と現実が幾重にも重なって層構造になり、物語がいつのことなのか、誰の視点なのかもわからなくなる場面に溢れているので、途中からすじを追うことをやめて作品の世界に身を委ねた。こういうのは嫌いじゃない。 まともに考えようとすると戸惑うばかりですが、ぼんやりと感じるがままの鑑賞体験は贅沢な時間の過ごし方だったかもしれません。箱男とは何者なのか。感じ方は十人十色でしょう。 映画を見る前に小説を3分の1ほど読みました。前半、箱男になって行方不明になってしまったAについての記載があり

          映画『箱男』と小児科医

          映画『墓泥棒と失われた女神』と小児科医

          追い続けるEnglish man in Italia.な話。探すことには長けた男だけど、大切なものは見つからず、ずっと心ここに在らず…。 お盆明けの時期に一時的に独り身になったので、いつもと違う少し都会のミニシアター(KBCシネマ)で鑑賞しました。 始まる前からいつもよりセンチな気分になっていたせいか、妙に響きました。観て良かったです。 そして、僕の探し物も彼と同じく全然見つかりません。いつの間にか何を探してるのかも忘れる歳になりました。orz. 邦題より原題の『La

          映画『墓泥棒と失われた女神』と小児科医

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医〜インサイド・ヘッド2〜

          こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。 うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。 今回は2024年の9月号です。 今月も映画の話を。『インサイド・ヘッド』はご覧になりましたか

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医〜インサイド・ヘッド2〜

          映画「インサイド・ヘッド2」と小児科医

          すっっっごくよかった。 陰・陽を問わず全ての感情(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ)が存在することの大切さを教えてくれた前作。本作では思春期にさしかかったライリーに新たな感情(シンパイ、ハズカシ、ダリー、イイナ)が芽生え、彼女は他者との違いに気づいたり、将来のことを考えたりすることができるようになります。それは彼女にとって大切な成長ですが、悩みの種が増え、やがてある感情が暴走してしまい、おおごとになっていきます。 暴走したその感情を抑えようとすれば

          映画「インサイド・ヘッド2」と小児科医

          “秋刀魚の味”と小児科医

          よかった‼️喜怒哀楽がギュッとつまった作品で見応えあり(“怒”はほとんど無いけど)❗️ これまで観た小津監督作品の中で一番キャラが立っていて、味付けが濃いので前半〜中盤にかけてはかなり笑いました。こんなに腹抱えたのは小津監督作品で初めてかも。トリスバー良かったな〜。 その分、父親の孤独と悲哀が描かれる後半との落差が大きく、終始監督にやられっぱなしでした。最高❗️ とはいえ、自分も人生の折り返しを通り越して久しいので平山が皮を剥かれるように孤独になっていく様はこれからの自

          “秋刀魚の味”と小児科医

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医〜夜明けのすべてさえあればそれでいい〜  

          こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。 うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。 今回は2024年の8月号です。 一番好きな映画は何ですか? 映画好きな人にとってこれほど難

          コラム“Pediatrics Note”と小児科医〜夜明けのすべてさえあればそれでいい〜