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映画『ボーはおそれている』と小児科医

日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりなボーは、つい先ほどまで電話で会話していた母が突然、変死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想なのかも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。

素晴らしい作品でした。様々な噂を聞き(どちらかというと賛否のぴ)、食わず嫌いのまますっかり敬遠していたのですが、思い立って観ることにしました。

観ると前半はブラックなコメディで不条理に物語が展開していき、かなり好きでした(不条理劇、好物なんです)。そして、後半に繰り広げられる、ボーがあらゆることをおそれるようになってしまった物語には完全にどハマりして、胸を痛めつつも観ることを止められませんでした。

以下、少々ネタバレます。

それにしても、ボーはアリ・アスター監督なのでしょうか。

小児期の逆境的体験からくるボーの様々な精神症状、母親のボーへの関わり方、さらには母親の生育歴(祖母の母親への関わり方)まで、精神的な課題を持つ子を割と多く診ている小児科医として、あまりのリアルな設定に驚きました。物語の始まり、ボーが生まれた時から、伏線が張られているんですよねぇ。設定には矛盾を全く感じませんでした。

でも、ボー=アリ・アスター監督だとしたら、こんな酷い話作れないような気もするなぁ。ボー≠監督だとしたら、それはそれで鳥肌ものです。

ミッドサマーが怖くて、気持ち悪くて、今でも鮮明にシーンを思い出せるほど苦手で(正直嫌いで)、アリ・アスターと聞いただけでアレルギーが出ていたのですが、今日からファンです。いや、ホントに天才です。

今思えば、映画館で見ればよかったと後悔しそうになるのですが、さすがに上映時間3時間はボーコーが無理よ。ボーコーはおs……(ぐっとガマン)。


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