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映画『箱男』と小児科医
完全な孤立、完全な孤独を得て、社会の螺旋から外れた「本物」の存在。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。カメラマンである“わたし”(永瀬正敏)は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、遂に箱男としての一歩を踏み出すことに。しかし、本物の『箱男』になる道は険しく、数々の試練と危険が襲いかかる。存在を乗っ取ろうとするニセ箱男(浅野忠信)、完全犯罪に利用しようと企む軍医(佐藤浩市)、 “わたし”を誘惑する謎の女・葉子(白本彩奈)......。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、犯罪を目論むニセモノたちとの戦いの行方はー!?
妄想と現実が幾重にも重なって層構造になり、物語がいつのことなのか、誰の視点なのかもわからなくなる場面に溢れているので、途中からすじを追うことをやめて作品の世界に身を委ねた。こういうのは嫌いじゃない。
まともに考えようとすると戸惑うばかりですが、ぼんやりと感じるがままの鑑賞体験は贅沢な時間の過ごし方だったかもしれません。箱男とは何者なのか。感じ方は十人十色でしょう。
映画を見る前に小説を3分の1ほど読みました。前半、箱男になって行方不明になってしまったAについての記載がありますが、まんま現代の、ネット空間に住んでいてSNSに依存した人間のことが書いてあって驚きました。1973年出版の本ですよ。誰が箱男なのか。人間の本質ってそう変わらないのかもしれませんね。
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映画は好みが分かれますが、僕は好きでした。できれば、もう一回観たいな。