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コラム“Pediatrics Note”と小児科医

こんにちは。小児科医のcodomodocです。神経疾患、神経発達症、心身症などの診療をしています。最近はマルトリートメント(不適切な養育)な環境から発達性トラウマ障害をきたした子ども達への医療的な関わりについて勉強をしています。

うちの病院の院内報に毎月書いているコラム“Pediatrics Note”です(800字前後)。診療をしていて感じる、とりとめもないことを書いています。
今回は2024年の10月号です。

食欲の秋です。普段からよく食べ、よく太る僕なので、嬉しいような怖いような季節です。職員健診、具合が良くない僕の股関節を診て下さる主治医の先生、小児科のスタッフ、家族一同からことあるごとに痩せるように言われる僕ですが、趣味のダイエットをやめられず、今に至っています。

ダイエットといえば同じ時刻に体重を記録するレコーディングダイエットがありますが、今日も小数第二位まで測れる体重計に乗りながら、ふと目盛りについて考えました。僕はちゃんと算数を習ったので、小数第二位は四捨五捨します。だから小数第二位は必要ありません。なんなら0.5kg単位でもいい(僕は大雑把なのです)。かように物事を測る目盛りは、測る人や測りたい物によって意味合いが変わります。

さて、小中学校の夏休み明けは不登校が始まりやすい季節です。まだ不登校の診察に慣れていない頃、僕の目盛りの解像度は低く、登校 or 不登校しかありませんでした。しかし、それでは診察のたびに、行った? 行かない、のやり取りしかできず、行けないと「残念だったね」になってしまいました。

学校に行けないことは悪いことではなく、残念なことでもないのにです。子どもたちに元気になって欲しいのに、これでは元も子もありません。

ある日これは子どもたちの問題ではなく、僕の定規の問題だと気づきました。目盛りが間違っていたのです。それからは、「登校」を目盛りにすることをやめ、「心身の健康」を目盛りにしました。

僕はこう見えても医者ですからね。すると、子どもと一緒に元気になる方法を話し合えるようになりました。学校に行くのが負担であれば、まずしっかり休む。休むのは悪いことじゃないので正々堂々と胸を張って休む。

休みながら睡眠や食事をしっかり摂り、生活リズムを整えるように努める。体質や体調でこれらが難しい子はできるところから始め、今できていることがあれば、それを続ける。どうでしょう? 目盛りを変えたらできることが増えると思いませんか。

何かに困った時、自分の目盛り(尺度)を見直してみてはどうでしょう。できることが増えるかもしれません。

そう、体重なんてただの重さ。悩むほどのことでは無いんです。みなさま、良い秋を!
 

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