【絶対にしっとり美味しい鶏むね② 無料レシピ3選】
鶏むね肉を科学的に考察
①下味は濃い味の液体の中でする②加熱は低温ですることがしっとりするポイントですが、前回に続いて今回はなぜそうなるかを解説します。
普通に下味をしてペーパーなどで拭き取ると水分は抜けるだけですが、塩や砂糖入りの液体に漬けると10%くらい重くなります。
理由は塩や砂糖が筋肉繊維の構造を破壊して内部に入り込み、肉のタンパク質と作用しあって細胞に水が保たれやすくなるからです。なので普通の水に漬けても保水力は上がりません。今回は塩と砂糖を同時に入れていますが、砂糖の方が塩よりも6倍も分子が大きいので塩が早く拡散してしまい、それによって食材内の密度が大きくなって砂糖が入りにくくなります。余裕があれば「さしすせそ」の通りに砂糖を先にしたほうが良いですね。
②パサつきを抑えるには低温加熱が一番です。通常は加熱時には筋肉繊維が収縮するので水分が絞り出されるのですが、このやり方だと多少荒く加熱してもしっとりします。
理由は、加熱前にすでに水分を多く含んでいるし、筋肉繊維の構造が破壊されているので絞る力がなくて固くならないんです。
筋肉繊維を深掘りすると、鶏むね肉には塩で溶ける筋原繊維タンパク質が50~60%と多いです。この繊維を予めしっかり溶かしておくことで水分が入り込む空間ができるし、加熱した時にタンパク質が溶けて筋肉が収縮しにくくなるのでしっとりします。
例外としてしっかり加熱したほうが良いケースがあります。鶏むね肉は少ないですが、牛肉などに多いコラーゲンと言われる結合組織タンパク質です。これは不溶性と言って、加熱をしたら固まったりゼラチン化して柔らかくなるので煮込み料理に使うと美味しくなりますね。
まとめると加熱では20%の水分が失われるので、何もしなければ80%以下の水分になりますが、このやり方だと100x1.1x0.8なので88%以上の水分が残ることになります。
市販のハムやベーコンも、こういった旨味を含んだ水分を入れ込んでいることが多いので人気があるのですね。ただ高温で加熱をしないハムなどは弾力がなくなるので弾力が出るような添加物を、水分を入れることで味が薄まるので旨味の添加物を、水分を加えると色が悪くなるので発色する添加物を加える必要があります。
レシピ①:しっとり鶏むねの中華スープ
材料(2人分)
・鶏むね肉 200g(1/2枚)
・水 50g
・塩 5g(小さじ1)
・砂糖 10g(小さじ2強)
・中華スープ 300g
・卵 1個
・ごま油 適量
・ねぎ 適量
・白ごま 適量
①ポリ袋にカットしていない鶏むね肉、水、塩、砂糖を入れて空気を抜くように揉み込みながら密封して15分以上つけておく。
②15分経ったら鶏むね肉は水で軽く洗って1cmにカットし、中華スープとともに鍋に入れる。
③強火にかけて沸いたら溶いた卵、ごま油、小口切りにしたネギ、白ごまを入れて火を止めて完成。
レシピ②:しっとり鶏むねの韓国風サラダ
材料(2人分)
・鶏むね肉 200g(1/2枚)
・水 50g
・塩 5g(小さじ1)
・砂糖 10g(小さじ2強)
・キムチ 30g
・海苔 適量
・ごま油 適量
・レタス 適量
①ポリ袋にカットしていない鶏むね肉、水、塩、砂糖を入れて空気を抜くように揉み込みながら密封して15分以上つけておく。
②15分経ったら水で軽く洗い、しっかりめに茹でたり蒸したりして食べやすい大きさにほぐす。
③ボウルに②の鶏むね肉、刻んだキムチ、ちぎった海苔、ごま油を入れて軽く混ぜてちぎったレタスとともに盛り付ける。
レシピ③:しっとり鶏むねのスカロッピーネ
材料(2人分)
・鶏むね肉 200g(1/2枚)
・水 50g
・塩 5g(小さじ1)
・砂糖 10g(小さじ2強)
・白ワイン 50g
・バター 10g
・レモン汁 10g(小さじ2)
・塩 2g(ふたつまみ)
・胡椒 適量
①ポリ袋にカットしていない鶏むね肉、水、塩、砂糖を入れて空気を抜くように揉み込みながら密封して15分以上つけておく。
②15分経ったら水で軽く洗って、薄く削ぐように5枚にスライスする。
③冷めているフライパン(油なし)に②の鶏むね肉を入れて中火で3分蓋をして焼く。
④3分経ったら蓋を取ってひっくり返し、白ワインを入れて水分がなくなるまで加熱したら火を止めてバター、レモン汁、塩、胡椒を加えて軽く絡めて完成。